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誤審問題と慶応の応援問題で今年の夏を終わります

今年も高校野球に関して、いくつか書いてきた。
最後に、誤審問題と、慶応の応援問題にも触れて本当に終わりにする。

さて、まずは誤審問題から。

最近は、高校野球の審判の誤審がネットを中心に話題になっている。

例えば今大会の仙台育英対神村学園の試合。
同点に追いついた仙台育英は、ワンアウト三塁の場面でセーフティスクイズを敢行。
際どいタイミングだったが主審の判定はセーフ。
これについて、誤審だなんだと騒いでいる。
あれは、セーフに見えるようにスライディングしたランナーが上手かったと言うことだ。
あるいは、セーフに見えるようなタッチをしてしまった捕手が少し残念だったと言うこと。
甲子園で勝ち進むような学校は、セーフに見えるようなスライディング、アウトに見えるようなタッチや捕球、そんなことまで練習してくる。

神奈川県の予選も話題になった。
慶応対横浜の決勝戦。
5対3と2点差を追う慶応、9回表の攻撃。
ノーアウト一塁。
打球はセカンド正面。
セカンドからショート、ショートから一塁に転送。
しかし、判定はオールセーフ。
揉めたのはセカンドの判定。
タイミングでは完全にアウト。
しかし、塁審はショートの足がベースに触れていないと判断したのだ。
通常、4→6→3のダブルプレーの際には、ショートは少しでも早く送球するために、セカンドベースを踏まずにベースの角を右足のスパイクの先で軽く蹴る。
それを、今回の審判は、ベースに触れていないと判断した。
僕も、いろいろな動画を見てみたが、はっきりとベースタッチを確認できるものはひとつもなかった。
もし、これを不服とするならば、最初からはっきりとベースを踏めばいいのだ。
その代わりに、ファーストへの送球は遅くなる。
つまり、このショートは、ハイリスクハイリターンを選択して失敗したと言うことだ。 

こうしたことで騒いでいる人は、最後には高校野球にもビデオ判定を導入するべきだと主張する。
しかし、もし導入するなら、地方予選から導入しなくてはならない。
現に、上の慶応対横浜は地方予選だ。
しかし、すべての球場がビデオ判定ができるような設備をもっているわけではない。

高校野球はあくまでも、クラブ活動の一環、教育の一環として行われている。
勝負は二の次だ。
判定は審判にすべて任せて楽しめばいい。
納得できないことがあれば、ルールにのっとって抗議する。
そして、その結果に従って、速やかに次のプレーを続ける。
決して、執拗な抗議、試合が終わってもなお納得しない指導者の姿勢が、教育につながるとは思えない。
グッドルーサーであれ。
それも大切な教育だと思うのだけれども。

もちろん、生活のかかっているプロなら話は別だ。
その判定如何で、明日から路頭に迷うことになるかもしれない。
しかし、こちらはたかが高校生のクラブ活動だ。
ビデオ判定なんて、そんな大層な。

誤審だ誤審だと騒いでいる人の記事のタイトルには必ずと言っていいほど、「世紀の大誤審」とついている。
一体いくつ「世紀の」があるねん。
そんなのは、「一生のお願い」がいっぱいあるのと変わらない。
そもそも、たかが野球でなにが「世紀」だ。
「世紀」も軽く見られたものだ。
「世紀」の関係者は怒った方がいい。

審判の判定が人生を左右するとも言われる。
野球の判定ひとつで左右される人生とは、なんともちゃちな人生だ。
こんなもので人生は左右されない
プロを目指しているのに、この判定で負けてしまっては。
大丈夫だ。
この情報時代、プロのスカウトなら、試合の勝ち負け、甲子園出場の有無にかかわらず、もう予選の段階ですでに、有望な選手には目をつけている。
なんなら、リトルリーグからチェックされている。

そもそも、高校野球の審判はプロではない。
ほとんど手弁当のボランティアでやっていただいている。
10万、20万する防具も自前と聞く。
それでも、高校野球を支えたい、高校野球に関わりたい人たちなのだ。
それだけでも、リスペクトする理由にはならないだろうか。

もちろん、アマであろうが、ボランティアであろうが、やる限りは正確な判定をしなくてはならない。
もちろんだ。
それを否定するつもりはさらさらない。

ジャイアンツの江川が現役の頃の話。
ボールの判定に、いつになく感情的に抗議をしたことがあった。
後にその時のことを聞かれた江川はこう答えた。
「あれは、厳密に言うと、ボールだった。だから審判は間違いではない。でも審判には微妙な癖がある。プロの投手はその癖も読み込んで、その日のピッチングを組み立てる。あの時の審判はそれまであのコースをストライクに取ってくれていた。だから抗議した」
審判をリスペクトした、名回答だと思う。

最後に慶応の応援問題について簡単に触れて、今年の僕の夏を締めくくりたい。
まあとにかく107年ぶりだから、盛り上がるのも無理はないだろうと思う。
ただ、それもアルプス席なら、いくら盛り上がってもいい。
それで、相手校に圧がかかったとしても、それは仕方のないことだ。
ただ、一般席での立ち上がっての応援、何かを振り回しての応援は、来年からは控えていただけないだろうか。
選手たちが、せっかく新しい風を吹き込もうとしているのに、OBや関係者やファンが応援のマナーをぶち壊したのでは話にならない。
六大学の応援でも、もう少し統制はとれて、エールの交換から始まり、最後はお互いに称え合って終わる。
どこかの国のマナーの悪いツアー客みたいにならないように。

では、来年も甲子園でお会いしましょう。

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