【俳句】春霞 余寒 山笑う
あの山の名前も知らず春霞
遠くの山を眺めて考えごとをしている。
ふと、あの山の名前も知らないことに気がつく。
普段目にしていても、そのままにしていることがたくさんある。
まずは、春の霞におおわれた、あの山の名前から。
ホームにて父黙りたる余寒かな
進学だろうか。
それとも就職だろうか。
見送りの家族。
いろいろと細かく注意する母。
打って変わって、静かな父。
自分でわかっている。
口を開けば、もうあふれるものを止められない。
それが娘ともなると尚更だ。
少し寒さが残るホームでの光景。
山笑う見知らぬ人に会釈され
歩いていて会釈をされる。
こちらも思わず会釈を返す。
はて、今のは誰だったか。
向こうの人違いか。
こちらが忘れているのか。
でも、悪い気分じゃない。
山にも明るさが戻りつつある。
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