吉田羊の振れ幅がすごい『母さんがどんなに僕を嫌いでも』

これは想像以上によかった。
もうずっとスクリーンに釘付けで。

幼い頃に、虐待されながらも、
母親の愛を求めた息子と、
その母親の交流を描いた作品。

タイトルにも書いたけど、吉田羊の演技がすごい。
子供を殴るわ蹴るわ罵声浴びせるわで、
この前見た『ハナレイ・ベイ』と180度違う役どころにびっくり。
あれは息子を亡くして10年も想い続ける話だからね。
こっちはその息子を愛せなくて暴力振るってる。
公開時期的に撮影かぶってたのかな。。。
だとしたら、同じ母親で180度違う性格を演じ分けできたことになるから、
その女優としての力量の多さに驚きます。

そして太賀。
今は『今日から俺は!!』というギャグドラマで、
これまたふざけポンチな役をやっているけれど、
彼は彼でそれとは180度違う今回の役。
母親に愛されず、悲しさと寂しさにまみれながらも、
母親を想う健気さに涙。

母親を憎みつつも、その母親を変えたくて自分が変わる、
その決断とそこに至るほどの母親を想う彼の気持ちの強さがすごい。
どんなに突っぱねられてもぶつかっていくあの姿は、
まさに片想いみたいなもんだ。

普通だったらグレてしまうと思うけど、
よくぞ腐らず、立派に育ったなあとしみじみ。

「親は子を愛するものである」
という世間一般のありよう、自然な流れともいえる状況から逸脱した中で、
「みんなには当たり前のようにあることが自分にはない」
という孤独や悲しさを抱えつつ、
「虐げられても愛を求める」
という姿に、人は愛がなければ生きていけないということを痛感しました。

母親とその子供を扱った作品だと、
最近なら『人魚の眠る家』なんかもあったけど、
あれよりも断然こっちの方がいいね、個人的には。

いやー、これは子持ちの人にもぜひ見て欲しいね。
そして、感想聞きたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?