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サンタさんはいない

現在の我が家に
クリスマス気分はない。
食卓に並ぶ当日のちょっとしたご馳走。
一瞬クリスマスムードを味わうだけ。


子供が小さな頃は

「サンタさんに何欲しいのか
手紙書かなくていいの?」とか。

「そんな事したらサンタさん来てくれないわ」
サンタ頼みのなんて親。
ちゃんと躾しろ。

そんな懐かしい時代もあったなぁと
しみじみする。

私はサンタさんを物心ついた頃から
信じていなかった。
サンタさんを待ち侘びていた記憶もない。
枕元にプレゼントがあったこともない。
親がサンタになってくれなかったのだから
信じる訳がない。
でも1度だけ。
サンタさんはやってきた。


クリスマスプレゼントは
サンタさんからというよりも
親からもらっていた気がする。
それも記憶にないのだが
プレゼントすらあったか微妙だったりする。


両親は子供に夢を見させる
タイプではなかった。
今でこそ円滑な関係を築いているが
虐待に近い躾を受けて育つ
機能不全家族。
でもほぼ乗り越えている。
だが受けた傷の影響は大人になってからも
気質の部分で残るのだ。

そんな家庭にサンタ来なかった。
だが父は常に暴力的だったわけではなく
優しい時もあった。
逆鱗に触れると感情コントロールが
出来ない人だっただけ。
脱線しましたね、戻します。


クリスマスに食べる母の唐揚げと
ケーキと飾られたツリー。
クリスマスソングがあちこちで流れ
綺麗に彩られたキラキラとした装飾や
イルミネーションに心は弾み
ワクワクした。

そんなサンタを信じてなかった私だけど
1度だけ母親に言ったことがあった。

「今年はサンタさん来るかなぁ」

だけど私はわかっていた。
サンタさんはいない。
でも1度でいいから「サンタさん」からの
プレゼントが欲しい。

母がなんて答えたのかは覚えてないが
その年のクリスマスにはサンタさんからの
プレゼントが枕元に置いてあった。
マイメロディのピンクの時計だった。
毎日仕事で忙しい母だったけど
私がメロディちゃんが大好きな事を
ちゃんとわかってくれていた。

「やったー!サンタさん来た!!」

私は大袈裟にはしゃいで見せた。
子供なりに精一杯気を使って
演技をしていた。
でもすごく嬉しかった。
ちゃんと私の事考えてくれたんだって。

母はどう思ったかな。
喜んでくれてよかった。
今までしなかったけど
来年からはしよう。
それともねだられた時だけ
サンタのふりしようか。

翌年からはまたサンタさんは
来なかった。
母はよっぽど余裕がない
毎日だったのだと思う。

それに裕福でもなく
どちらかと言えば生活も
大変だったのだと今ならわかる。

そんな初めてのサンタさんからもらった
メロディちゃんの時計は
いつの間にか無くしてしまった。
捨ててしまったんだろうと思う。
せっかく最初で最後のサンタさんからの
プレゼントだったのにな。
私のクリスマスの後悔事。

そんな過去の経験から
息子にはサンタさんはいますよ!
という概念を植え付けて育てた。
クリスマス近くなれば
サンタさんがやってくる!!
そんな演出をできる範囲で頑張った。
枕元には赤い大きな靴下を下げて
息子からの「サンタさんへ」という手紙も
バレぬよう何年もずっと保管した。
そんな息子はひょんなことで
サンタさんはいない事実を知る。

来年もnoteしてたら
その時にまた書こうかな。

それではまた。



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