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『皮膚』を知っているとメディカルアロマは捗ります!

皆さん こんにちは
MART代表の山田佳世です。



今回のお話は『皮膚』について。
MARTではメディカルトリートメントという手技をお伝えしています。
キャリアオイル(植物油)に精油を入れ希釈したものを使い、手や足に対してトリートメント(マッサージ)を行っていきます。


精油成分は香りとして鼻から取り込むだけでなく、皮膚から取り入れることも出来ます。
今回は、皮膚を介しなぜ精油成分が取りこまれるのか
そんなことをお伝えしていきます。




1:4つのルート


さて、精油成分を取り入れるには4つのルートがあると言われています。


  • ◯◯反応:鼻粘膜から

  • ◯◯反応:◯へダイレクトに反応

  • ◯◯吸収:消化器から(*MART、日本アロマ協会では禁止)

  • ◯◯吸収:希釈したものを◯◯に塗布


この○に入るもの、皆さん分かりましたか?

これは、メディカルアロマのみならず、アロマテラピーの基礎としてもしっかり押さえておいていただきたい部分になります。


分からない…

忘れてしまった…

…これは、勉強するチャンス!

ぜひアロマテラピーやメディカルアロマ関連の書籍を確認したり、MARTの受講を考えてみて下さいね、笑


今回の話は4つ目の部分にあたることです。
これだけ正解をお伝えすると、
皮膚吸収
です。





2:低分子、高分子とは?


MART初級セミナーでは、精油の分子量について簡単に触れています。


精油の分子量は500以下である
という部分です。


この辺りを皆さんに質問すると、殆どの方の頭の上にはハテナが見えます、笑
私も、この辺りはメディカルアロマを勉強し始めてから漸く頭の中に入ってきました。


さて、この分子とは一体何か?
理科的にいうと、この世の物質の最も小さい単位は原子
そして、その原子が2個以上組み合わさったものを分子といいます。


例えば、水素原子H、酸素原子O、炭素原子C、などです。
これらがH2Oとなり原子が3つ組み合わさることで、1つの水分子が構成されます。


そして、低分子と高分子というものには、成分を構成する分子量の大きさの違いがあります。

分子量というのは、分子式(例えばH2Oなど)に含まれている元素の原子量の合計のことです。
なので、H2Oの分子量がいくつかというと…

H原子量=1

O原子量=16

になるので、

Hが2個=1×2

Oが1個=16×1

これらを合計すると18になります。
なので、H2Oの分子量は18になります。


高分子は分子量が10000以上であると言われています。
例えば、天然のものならば綿や麻などの繊維、天然ゴムなど…。
生物では酵素やDNA、構成物ではプラスチックや合成繊維などが高分子と言われています。


低分子は分子量が10000以下(この辺りの境目は曖昧であると言われています)であるものになります。
10000以下であれば、先に出た【精油の分子量は500以下】は当てはまりますね。
なので、精油の成分は低分子である、と言えます。


具体的なものを示すと…
スイートオレンジに含まれるd-リモネンと呼ばれる成分の分子式はC10H16になります。
なので、これの分子量は…

H原子量=1

C原子量=12

になるので、

Cが12個=12×10=120

Hが16個=1×16=16

なので、d-リモネンの分子量は136になります。
500より小さいですね!




では、この500以下の分子量…
表皮や毛細血管、皮下組織の血管まで吸収されるのでしょうか?



3:皮膚の透過率



先の質問
表皮や毛細血管、皮下組織の血管まで500以下の分子は吸収されるのか?
それは…


精油の分子量500以下というのは、容易に表皮や神秘の毛細血管、皮下組織の血管まで吸収されます
それはなぜか?


https://www.maruho.co.jp/medical/academic/infostore/vol02/03.html?fbclid=IwAR3X3aQGffP5wH5eOygrPXJNgvjWvnWbErwh9tXT2h4lWNN7EloVC5oATTU


上記のマルホ株式会社様の皮膚透過率と分子量の関係(図3)をお借りしてみても、それは一目瞭然かと思います。
非常に分かりやすい図なので、ぜひ頭に入れておきたい部分です。


さらには精油は親油性であり、油に溶けやすいという性質があります。


皮膚は表皮(約0.1~0.3mm)・真皮(2~3mm)と皮下組織から成る複合組織で、
実質的にバリア機能を担うのは皮膚の最外部に位置する、
わずか10~30μの厚さの角層です。




皮膚の透過性バリアは主に脂質によって形成されていて、表皮脂質の質的・量的バランスの維持は非常に重要です。


更に細かくみていくと、ラメラ構造や細胞の配列や間隔、はたまた細胞って何からできている?
細胞膜って何で作られている?など…
この辺りがハッキリと分かってくると、親油性で低分子の精油成分が吸収されていく理由が分かります。



4:皮膚状態によって気を付けたいこと


さて、皮膚の透過率について少しお話ししました。
これは皮膚状態、健康状態、季節などによって変わってきます


昨今の世界的な感染症の流行で、手を消毒する機会は格段に増えました。
特に現場で働いていると、患者様ごとに手を洗い、追い打ちをかけるようにエタノール消毒…


私は何年か前にこの一連の行いによってステロイド軟膏を処方されるほどの手荒れに悩まされました…


この時の皮膚ってどうなっていますか?

…カッサカサ+真っ赤です。炎症しちゃってます。

めちゃくちゃ痛かったのを覚えています。
しかも、繰り返し手洗いに消毒…元通りの皮膚になるにはかなり困難な状態です。


簡単なイメージをしてみると、皮膚の凸凹が大きくなってしまっているような状態…

正常な皮膚であれば分子量500以上のものは入らないようになっていましたが、凸凹の穴が大きくなってしまえば、分子量500以上のものが簡単に入ってきてしまいます。


完全に皮膚のバリア機能が破綻しています。


これは、手洗いなどだけで起こるわけではありません。
アトピー性皮膚炎の方やその他皮膚疾患をもつ方、高齢者では正常といわれるの皮膚状態から逸脱しています。


特に、我々が関わることの多いであろう高齢者は表皮でのコレステロール合成量が減少、角層で水分補給に関わるアミノ酸やグリセリンの減少、カルシウム分布の異常などがみられ、バリア機能が壊れやすいのです。





MARTではハンドトリートメント、フットとリーメントを手技の1つとして学びますが、皮膚の観察ができる事もメリットの1つです。

もちろん、日常的にリハビリ介入で皮膚の観察を目で見て手で確かめていれば問題ないです。


トリートメントをするときに対象者の皮膚状態を確認し、

そもそもトリートメントして大丈夫か?

キャリアオイルは何が良いか?(キャリアオイルにも多くの種類があります)

精油を使用しても良いか?(使わない、という選択肢もあります)

皮膚刺激の強い精油の使用可否は?

濃度は何%が良いか?

吸収率が高ければ多めにキャリアオイルを用意しておく

などなどなど…


対象者の皮膚状態を観察し、
その人の身体の中はどうなっているのかをイメージし、
どういったことをしていくのか…


常にベストな選択ができると良いです。




その為にも、しっかりと皮膚のことまでも知っておくのがベター!
ぜひこれを機に皮膚のことについても、
改めて学びなおしたり、調べたりしてみて下さいね。



ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

MART代表
理学療法士
山田佳世


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