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朝ごはんは「コアラのマーチ」

以前、「早寝・早起き・朝ごはん」をアピールしていた、中学校で働いていた。そのときは「ずいぶん幼稚だな」と思っていたけれど、「わかってない」のは自分だった。思春期の子どもにとって「早寝・早起き・朝ごはん」は、最も大切なのに……。

担当していたクラスに、朝ごはんが「コアラのマーチ」だった生徒がいた。
運動能力や理解力はあるのに、いつも「ぼうっと 」していた。たぶん彼は、「低血糖症」だったと思う。

空腹時にいきなり糖質の多い物を食べると、血糖値が急上昇する。するとインシュリンが過剰分泌されて血糖値は急降下する。繰り返すと、低血糖症になってしまうのだ。

脳のエネルギーは血糖。だから低血糖症の子どもは、ヤル気や集中力がなくなってしまう。そして、だるそうにしていたかと思うと、突然キレる。アドレナリンなど血糖値を上げるホルモンには、「気持ちを尖らせる効果」があるのだ。

睡眠時間の確保は、大人にとっても大切だけれども、思春期の子どもにとっては決定的に重要だ。思春期の子どもは、よく眠る。子供脳から大人脳に切り替わる13~15歳は、ひたすら眠い時期なのだ。

しかも「健やかな眠り」は、睡眠時間だけを確保しても得られない。真夜中に、暗い部屋で使われるスマホやゲーム画面の強い光は、網膜を刺激して成長ホルモンの分泌をジャマする。なにしろ、網膜は脳の一部。目に与える刺激は、ダイレクトに脳に影響する。

「早寝・早起き・朝ごはん」は、思春期の子どもにとって、必要な教育環境を簡潔に表している「名言」なのだ。

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