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【バトン連載】私の移住ストーリー vol.2 | 松本亮@西表島


僕が八重山に移住した理由

僕は奈良県で生まれ育ち、大阪のエネルギー会社で仕事をした後、事業を立ち上げるために八重山に移住しました。
八重山を選んだのは、好きだったからというのと、地域の特徴として「面白い」と思ったからです。(関西人の使う「面白い」には、「愉快」の他に、「興味深い」や「独創的」などの意味が含まれているとご理解ください)
移住の理由はいくつかあったのですが、この島で色々な方々とお話しているうちに「もっと面白い見方ができる」と学ばせていただきつつ、今に至ります。

面白さの在処についてはずっと考えているのですが、理由の一つに、今後世界が目指すのでは?と思う姿にこの場所が既に近いこと。さらに、今後の取組みによってそれがもっと際立つようになるのではないかという予想があります。

もう少し具体的に説明しますと、日本ではエネルギーを含む各分野における自給率が低いことが課題とされ、自給率向上に関する取組みが注目されることも増えています。僕はこの活動が今後もっと注目を浴びるようになると考えています。しかも日本だけではなく世界中で。

それが「なぜか」や「本当か」の議論は、別の機会にするとして…(僕を見掛けられた際にお声がけいただき、一緒に考えられたら嬉しいです。)

主要国の一次エネルギー自給率比較(2019年)
資源エネルギー庁 HP2021-日本が抱えているエネルギー問題(前編)より
全体の約半分を占める原子力の原料は輸入

「自給率を本気で上げよう!」となった時に最も障壁となるのは、そこで生活している人たちがその思考に慣れているかどうかだと思います。

自給率を上げるということは、今まではお金で解決していたものを自分の手を動かして解決することになるので、自分の能力の多能工化や、完璧でないものを愛する視点が必要になります。

それが、自身の専門性を高め、専門外のものはお金で購入し、購入するものは別のどこかで専門家が作ってくれた完成品であることに慣れ過ぎた都市部の人にとっては、馴染みがない思考なのです。

その点、八重山で生活をされている方々は、課題に対して「まずは自分たちでどうするか」を考えるのが当たり前になっている、ということがとても特徴的だと感じています。もちろん現在は、離島特有の不便さの裏返しでもあるわけですが…。

そうした自律した考えの方々から教わりながら、それらを支えたり、補強したりする事業ができたら、それは絶対面白くなりそうだと思いませんか。
そのためには僕も外から俯瞰しているだけでは学習できず、移住せざるを得なかったわけです。

天日塩を作っておられる様子


移住するためにクリアしなければならなかったこと

いざ移住をするとなり、会社員だった僕がまず考えなくてはいけないことは、収入が安定していて将来の見通しが立つ職を手放すということでした。
この問題について、僕の場合は生来の楽観思考に、八重山で様々な生き方をする方々の話を聞く経験が加わり、自分の生きる力を磨き、足るを知れば、収入についてはリスクになり得ないのでは?と考えるようになりました。そもそも事業を始めようとしているので、将来への投資として一旦収入が減ることが課題とは思わないのです。

今はほぼサンダルな僕も会社員の時は革靴でした

とはいえ会社員である僕と結婚した奥さんにとっては、僕についていたラベルの一つが剥がれ、突然将来への見通しが立たなくなるわけですから、説得が必要だと思っていました。

ところが話をした時の反応は「いずれそうなるだろうと思っていたし、一つの会社に2人が偏った働き方をするのはリスクだと思っていたから、やってみたら?」という意外なものでした。

そうなると、移住先の住まいを見つけなければ!となるのですが、事業を始める場所を定めるまでは、非常に面白いオーナーさんと面白い人が集まるゲストハウスで過ごし、場所を定めてからは面白い方の繋がりで家をお借りする事ができました。

それぞれ人の運に恵まれ、特に大きな問題に当たる事なく移住ができています。

ただそれらも結局は、こういった取り留めもない話を一緒にしてくれたり、自分の経験を惜しげもなく話してくれたり、真面目な話からどうでも良い話まで楽しく話せる友人(僕はそう思っている。笑)が現地に居てくれたからこそ、不安なく移住できたと思います。

移住してみて今思うこと

そうして今は、西表島で電動の小型自動車を使った事業実証を進めています。

事前情報として「島の人たちは新しいものに拒否反応を示す事が多い」という厳しい意見を聞くことも多くありました。

それが実際に少し始めてみると、確かに適切な警戒をされていることはありますが、新しいものも柔軟に受け入れてくださる高い受容性があると感じています。

とはいえ、生活で使う必要のないものは当然使わなくなるわけですから、使い続けてもらい、生活において当たり前のものになるよう育てることが、ここからの僕の仕事です。

実証用車両と一緒にフェリーへ

育っていく方向は、先に述べた島で暮らす方々の特徴も加味し、私の想像を超えた面白いものになるだろうと勝手にワクワクしています。長くなってきたので、その理由は箇条書きにして終えたいと思います。

1.特徴的な風土
2.島で暮らす方々の自律したカッコ良さ
3.都市部との文化的ルールの違い

次のバトンは

それでは、連載を次の方へバトンタッチします。石垣島では内装やロゴデザインなどをしておられる、デボさんこと出堀さん。出堀さんは自転車で10年間無帰国で世界一周をされた後に石垣移住をされている面白い人です。出堀さんは不思議なことに旅の話を全く自慢されないのですが、考えておられることを聞くといつも新しい気づきがあるので是非、移住理由についても聞いてみたいと思います。デボさん、よろしくお願いしますー!!

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この記事を書いた人

松本亮
2010年から13年弱エネルギー会社で勤務し、家庭用機器の品質管理や商品開発、メンテナンス支援、電力需給調整に関する実証などに従事。その時の経験から地域の課題や魅力と、ものづくりやエネルギーの関係に関心を持つ。2021年からほぼ毎月来島する動きをした後、2023年1月から石垣島、7月から西表島に移住。現在は電動小型自動車を用いた新規事業の起業に向けて活動中。



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