山道 あられ

そこらへんにいる会社員の内省と自由研究のたまり場です。やまみちではなくやまじとよみます。

山道 あられ

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最近の記事

泣いたあとのマルガリータにsaltはいらない

 留学で、フィリピンのセブ島に一週間ほど滞在したことがある。帰国の前日、生徒とフィリピン人教師の数名で、最後の夜を楽しもうということになった。 海外へ行くとなぜかクラブに行くことが多い。どこの国でも、酒を飲み音楽に身体を揺らせば、隣の知らない人間と明日には忘れる他愛のない会話をするのは同じで、異国で“人そのものの共通点”を見る瞬間は好きだ。 22時ごろに寮を抜け出し、夜の街並みを楽しみながら、地元民の案内の後をただ着いて行く。気を抜いたら転びそうな雑な歩道も、生ぬるい

    • 【ショートショート】黒い本棚の行方

      わたしの本棚が、なくなった。 シックな黒い木目が味わい深い、お気に入りの本棚。それに、どうしてか絵柄が思い出せないけれど、お気に入りの印象派のポスターカードが入っていたのに。その本棚が、ある日帰ったらなくなっていた。 誰かが「あなた本棚も本も、たくさん持ってるんだからいいんじゃない?」という。そんなわけない。大事にしてきた本棚で、あれじゃなきゃだめなのだ。 本は、最悪仕方がない。好きな本は覚えているし、また買えばいい。 あげられるけど、本棚はダメだ、ゆずれない。 走っ

      • 自分と向き合うことの美しさを写し出す 映画『ひかりの歌』を思うとき

         映画というものが、こんなにも長い期間、存在の濃度を保って心に残り続けることができるということを、わたしはこの映画を観てはじめて知った。 『ひかりの歌』を最後に観たのは今年の2月で、もう10か月近くも前のことだ。にも関わらず、ふとしたとき、心にくっきりとシーンが浮かび上がることがある。そうすると、今すぐにでもあの場所に行きたい、という強い郷愁のような感情がわきあがり、居ても立ってもいられなくなってしまう。 ***  『ひかりの歌』は、2019年1月12日に劇場公開

        • 巨乳のタートルネック戦線

          はじめまして。 山道あられ と申します。 今日は、わたしがとある男性から “ お前の存在価値など、デカい乳しかない” といわれた、ハートフルなお話をしようと思います。 ***  寒さも本格的になってきた、12月のとある昼下がり。仲の良い会社の同僚と、いつものようにランチに出かけました。 同僚は、身なりのきちんとしたギャル。きれいに巻かれた茶髪が映える真っ青のモヘアセータに黒いスカート、ショートブーツ。 わたしは赤いタートルネックを紺色のスカートにインして、ショー

        泣いたあとのマルガリータにsaltはいらない