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ちょうど1年前、キングコング西野が目の前に突然現れたら人生が変わった話

1年前の今頃、俺は希望に満ちていた。
サッカー選手としてのキャリアにスペインで蹴りを付けて帰国、都内で一人暮らしを始めたのがこの頃だ。


家賃8万5000円のワンルームにベッドと机がポツリ。


当初、ここは「家」ではなく「作業場」だと思って借りていて、文章を書くのか、動画を作るのか、人に会うのか、組織を動かすのか、何をするか全く決めていなかった。

にも関わらず、とにかく「何の仕事をするにも、集中する場所があったほうが良いはずだ」その思いだけでハンコを押した。雨の日だった。



鍵を渡された日は2017年9月30日。その日は何もない空っぽの部屋で、パーカーを枕にして寝てみた。
窓の横には首都高と国道246が通っていて、ビュンビュンと車が通り過ぎていく・・・

この何もなくて騒がしい部屋から、俺は人生をガラッと変えていく。そう心に深く刻んだ。



そして、そう決意してから丁度一年、自分が決意したとおり、紛れもなく俺の人生はガラッと変わったと思う。



どれくらい変わったかと言うと、


人生が180度変わった直後に、また270度変わって、45度戻ったあとに360度進んだと思いきや、すぐさま90度変わったってぐらい変わった。


要は、変わりすぎて結局自分でもよくわからないということなのだけれど、その変化の一発目はこの本を買おうとしたことからスタートしたと思う。

それが「革命のファンファーレ」


まさに読んで字の如く革命のファンファーレが吹かれた

当時、少なくとも俺のタイムラインでは、誰もがキンコン西野の話題で持ちきりだった。

描き下ろした最新作「革命のファンファーレ」というタイトルは、発売前にも関わらずなんどもなんども僕の視野に入り込んできた。


絵本が大ヒットし、そのプロモーション方法が意味不明に面白く、新しいサービスもどんどんローンチさせて、時代の寵児的雰囲気がムンムン漂う、説明し難い新人類のような雰囲気に、きっと多くの若者が惹きつけられていただろう。

例外なく、その波に間違いなく俺も呑まれていて、好奇心が爆発しそうなくらいふくらんでいた。

基本的に、流行り物に乗っかるのは好きじゃない。
でもきっと、新しい人生をスタートさせる僕にとって、何か意味があるはずだろうと、発売されたばかりの(多分発売当日か、翌日だったと思う)革命のファンファーレを買いに、書店へ向かった。

渋谷に一冊もない。

ところが、渋谷の本屋さんを何軒回っても、革命のファンファーレがまったく置かれていない。
ここは岩手でも鹿児島でもなく、大東京の中心・渋谷なわけで、あれだけ話題になってる本がないことなんて有り得ない。

そういう思いで本屋をどんどん巡っていくが、でかい本屋から小さい本屋まで一冊も置かれていない。



いろいろ考えた。



「流行ってると見せかけて、結局俺がフォローしてる人が話題にしてるだけか」

「世の中って、こうやって売れてるって雰囲気を作って購買意欲を高めていくのかね」

「もしかしたら本屋にないことで、Amazonで買うなり、イベントにくるなり、別のところが得するように出来てるのかもしれない」

「っていうか、西野なんて所詮早熟型の斜陽芸人。今はテレビに出てこないし、俺が尊敬する松本人志には遠く及ばぬ。誰も注目してないだろう。松ちゃん最高」



色んなことを考えながら歩いていると結構時間が経っていて、ここにないなら帰ろうと決めて行った本屋さんにも置いてなかったから、この日は帰ることにした。

「まあ、ないならないでAmazonで買えばいいか。もしかしたら本当に人気で売り切れてるのかもなー」

そうやってハチ公近くの階段から東急線に乗るべくテクテクと歩いている俺に、思わぬ出来事が起きる。



ハチ公前の広場に、さっきまで探していた革命のファンファーレがめちゃくちゃ山積みにされていて、そして目の前にキングコング西野がいた。



引き寄せの法則を作った人も二度見するレベルの引き寄せ

いや、ビックリしたんだけど、意外と落ち着いていた。

なんというか、ヒトコトで言うなら、その頃の俺は「良い調子」だった。
これだけの出来ごとも、そりゃあ生きてりゃそんなこともあるよなー。的な感じ、まあまあいつも通りの自分だったと思う。そんなお年頃(?)だったから、驚いたけど驚かなかった。

とはいえ、人生ってつくづくおもしろいなと思う。引き寄せの法則って割と本当だと思ってるけど、トップクラスの引力が発動したかもしれない。


この日にしたって、渋谷の本屋以外にもいろんな選択肢があるし、家に帰るって決めたタイミングも絶妙だったから、西野さんが目の前にあらわれただけで、多分天文学的確率だと思う。
そんな奇跡中の奇跡みたいな確率を引けたことは結構な思い出だし、今思い出してもワクワクする。



すぐに、そんな奇跡が起きたことを西野さんにシェアしたくなった。
芸能人相手だとビビってしまうことも十分ありえる中、良い調子の俺は、極めて自然に話しかける。


丸山「俺今、西野さんの本買おうと思ったら全然売ってなかったんすよー」
西野「マジで?これもらえるんちゃん?」



渋谷にキンコン西野参上となれば野次馬殺到間違いなしだけど、この時はまだ人だかりが出来る前、本当にジャストなうの出会いだった。

少し会話をしたあと、まだ状況を把握できていない俺は、西野さんよりもこの本を買い占めてる奴らがなんなのかの方が気になってくる。
で、一旦西野さんは置いといて、人だかりの中心部の人に話を聞いてみた。


要は、この時渋谷では何が起きてたかというと、

これからYouTuberになります!っていう「しるばーぼーる」さんというチャンネルが、革命のファンファーレを買い占めて渋谷の人にタダで配るという企画をやっていて、それをTwitterで知った西野さんが「おもろいやんそれ!」と、現場にあらわれた正にその瞬間だった。

(※1分20秒ぐらいから俺出てきます)


というわけで、たまたまその瞬間に居合わせたことで、俺は探していた革命のファンファーレをタダで手に入れたあげく、著者御本人とお話することもできた。それもまったく狙わずに。



なんというか、ミラクル中のミラクルだなと思う。


スペイン行ったんスよー。

そのうち、周りの人が西野さんと写真を撮っているのを見ていて、俺も撮ってもらいたいと思った。
というのも、俺は周りに群がる素人軍団全員にユーモラスな対応をしている西野さんに「か、かっこええ・・・」と心を奪われており、写真はもちろん撮ってほしいし、なんならもっともっと色々話してみたくなった。


というわけで、ツーショットで一枚撮ってもらった勢いで、そのまま話しかけてみる。



丸山「あのー、ぼくサッカーやってたんですけどこの前引退しちゃって。スペイン行ってたんですけど」

西野「え!スペイン行ってたの!超すげえ!」

丸山「それでやりたいことすげえ色々探してて、西野さんの本とか」

西野「え!超すげえー。なんでスペイン行ってたの?それぐらいの実力があったってこと?」

丸山「うーん。ぎりぎり・・・」



こんな風に会話をしたあと、西野さんがサラッと話す一言は俺の中で電撃が走る。











「でも、サッカーでそんなとこまで行けるヤツなんて、根性ハンパねえと思うから、何やってもうまくいくんじゃない?」









正直、自分の中でサッカーで何かを成し遂げた感覚はまったくなかった。


選手としてはまったくのショボショボで、プロと言ったって底辺中の底辺みたいな選手にしかなれなかった。

あんなに努力したのにこんなにしょぼかったってのは結構キツイ思い出でもあって、そのことだけを思い出すと心が押し潰されそうになる。

そんな中、「きっと俺はなにかやれる」という根拠のない自信だけは持っていて、毎日それだけを頼りに生きていたけれど、これだって脳みそを騙してるトリックのようなもの。
もう一回サッカー並みの失敗をどこかでしたら、きっと俺の自尊心なんて粉々に砕け散ってしまうと思う。そんな予感を心の隅にずっと隠していた。


そんな俺にとって、この言葉は衝撃的だった。



「サッカーでそんなとこまで行けるヤツなんて、根性ハンパねえと思うから、何やってもうまくいくんじゃない?」




なんだか、時期、雰囲気、当時の自分、渋谷、すべての空気感が絶妙にブレンドされて、この言葉は超刺激的に俺の胸に突き刺さっていった。



あまりにも良すぎて、さっきまで落ち着いていた俺は、動揺したというか、冷静じゃなくなってしまった。

直後、「西野さん、本で25歳の頃は女優とかアイドルとめっちゃエッチしてたって書いてたんですけど、俺も25なんでめっちゃしたいっす」
とかいう、クソみたいなことを言っちゃうのはパニクってたんだけど、まあそれはそれだろう。(超エッチしたわ!って西野さんは答えてた)




「根性ハンパねえと思うから」
この言葉は本当に良かった。


正直、俺より根性ある人を山ほど見てきたので、むしろ「俺は根性ないからもっと気合い入れていかないと」みたいなことばっかり思ってきた。


でも、理屈じゃなく、「あ、俺根性あるんだ?」って素直に思えたこの瞬間は、俺が根性を武器に社会へ出ていったらイケると確信した瞬間になった。




「何やってもうまくいくんじゃない?」
この言葉もマジでよかった。

っていうか、何やってもうまくいってる人に、何やってもうまくいくよって言われるほど、説得力のあるものはない。


芸人として速攻売れて、絵本が売れて、オンラインサロンが加入者爆増。
描いた本も、やるイベントも、新しいサービスも、全部バカみたいに大当たりしていく人に、



「うまくいくよ」
って言われ、
「じゃあ俺うまくいくじゃん!」
って思えないなら、もうそいつはへそ曲がり界のプレミアリーガー。ありえないと思う。





というわけで、この日の出来ごとをきっかけに俺は、自分がBIGになっちゃうって確信しちゃったのである。


その後の俺は

その後、俺はどうなったかというと、現時点ではBIGになっていないものの、冒頭で話したようにグルグルと回転しながらも成長し続けていて、根拠のない自信がついたおかげか、日々人生が変わっていっている。


まずは個人事業主ベースだったサッカー選手のサポートサービス「プロなろ」をもっと大きくするべく、責任者として関わりは継続しながら企業にサービス自体を売却。
「プロなろFC」がローンチし、サッカー・仕事・海外挑戦がパッケージ化されたものがはじまった。

同時期にNPO法人アルムンドパスプロジェクトの理事となり、貧困地域へサッカーボールを持っていく活動にも積極的に携わらせていただき、ボールを集め、実際にネパールの子どもたちへボールも届けにも行った。



並行してコーチ業やライター業なんかをしつつ講演とかもして、忙しなく働いていきながら、更にガラッと変わったのは「激レアさんを連れてきた。」に出演したことだろう。


テレビに出たことない人間がいきなりテレビに出たからか、それはそれは恐ろしいくらいに携帯が鳴った。人生で受けてきた着信と同じだけの電話が、半日でかかってきて、LINEもTwitterもFacebookもひっきりなし。インスタのストーリーは、俺が映った画面だらけになっていた。


その後、自分が出た回は、総集編である「激レアさん大賞」で3位に選んでいただき、雑誌TV LIFEでは、オードリー若林さんにもナンバーワン激レアさんとして選出していただいた。マジで嬉しい。

その激レアさんがきっかけで、何故か出版社の社長に就任し、寝ずに働きながら今はサッカーマンガを作っている。

そのマンガは、つい先日、Jリーグとオフィシャルライセンス契約を結び、Jリーグのオフィシャルグッズとして全国のスタジアムをはじめとする様々な場所に並ぶ予定となっている。(みんな絶対買ってね)

取材もちょびちょび来ている。メディアの露出も増えそうだ。
大きいところから小さいところまで少しずつ取り上げてもらって、もっとブレイクする雰囲気を何となく自分から感じる。

先日は新R25の特集記事で、世界を変えるかも的パーソンとして、江藤さんに紹介してもらった。

「世界を変えるかも?「これから注目すべき人材」をインフルエンサーたちが勝手に推薦!」https://r25.jp/article/602313821954880772?u=tp


とにかく激動。
間にはまだまだ色んな出来ごとがあるけれど、


ここまでたった1年である。

多分、勢いもスピード感も、全部がヤバイ。
良い意味でヤバイし、ヤバイ意味でも多分ヤバイ。



ヤバイヤバイと言いながら、破竹の勢いってのは多分こういう勢いのことなんだろうなと、染み染みと実感していて、こんな風に猪突猛進に進むことは若いうちしかできないと焦ってもいる。


とはいえ足りないことやできていないことは多すぎて、めっちゃ色んな人に迷惑をかけていて、そりゃ泣きそうになる日もある。

あるんだけど、それもなんとかひとつひとつ克服していきたいとポジティブに思ってるし、トラブルが有ることで自分の志が消えてしまうことはない。歩みを止めてしまうこともない。




それは、間違いなくあの日、
「サッカーでそんなとこまで行けるヤツなんて、根性ハンパねえと思うから、何やってもうまくいくんじゃない?」
って、西野さんに言ってもらえたからだ。

他にもそりゃ頑張れる理由はあるかもしれないけど、辿っていけばこの言葉が持っているバリューがめちゃくちゃ大きくて、これからも大切にしていきたいなと思っている。

だから西野さんにはすごく感謝してるし、そのうちすぐ会える気がするから、会ったらちゃんと御礼は言いたいなって。


言葉ってのは時に、人の人生を変えるパワーが有る。
人間が人間である以上、本能よりも言葉のパワーが上回ることなんていくらでもある。

今度は自分が言葉のパワーを使って、世界中に影響を与えていきたい。もらったものは次の人に・・・じゃん?

ちなみに、この日ハチ公でもらった革命のファンファーレは、読んですぐに先輩にあげた。

西野さんに会えたのは良かったし、本の中身も最高だったけど、「西野にもらった本」をミーハーみたいにありがたがってたら、自分がそこまでのランクで終わりそうな気がしたからだ。だから1週間ぐらいで手放した。

手に入れたもの、手放したもの。いろんな経験をしながら成長していきたい。


俺の革命のファンファーレはまだまだ吹かれ続ける。乞うご期待。



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