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新仁義なき戦い、を観た!

制作:1974
監督:深作欣二
撮影:吉田貞次
出演:菅原文太、若山富三郎、渡瀬恒彦、金子信夫

■あらすじと感想
時代は高度経済成長期に入りヤクザも経済ヤクザへ変貌を遂げる時代が始まる。その時代に出所してきた主人公・菅原文太が権力争い、仁義、ヤクザとしての生き方の狭間の中で、変貌する時代を生き抜く姿を描いている、という感じでしょうか。「仁義なきシリーズ」は一気に観る事が出来るので、ご覧ください。

■戦後の混乱期から、成長そして安定の時代に移り変わり、暴力から頭脳、男気からお金へと中心が変化していく。その歴史の流れに対して、潮流に乗る人間と抗う人間がおり、その摩擦がドラマを生みだす。
一般論として、魅力的に描かれるのは数字では測れない部分で生きている人である。この映画では主人公である菅原文太は男気の象徴として、渡瀬恒彦は若さの象徴として、松方弘樹は暴力の象徴として描かれ、半面の金子信夫や田中邦衛は人間の弱くてずるい部分の象徴として描かれている。

■仁義なき戦い、という映画はやくざ映画だが人間の見本のようにも思える。自分はこの出演者の中のだれに一番近いだろうか?と、このシリーズを観るといつも考えるのだ。自分としては思うところがあるのだが、それは別の機会にしよう。この仁義なきシリーズで凄いと思うのは、物語上の主人公はいるのだが、全ての登場人物がその登場人物の視点で描かれているので、誰も悪者として描かれている人物がいないという点である。最近、映画の脇を演じる人間を主人公にした映画が製作されるが、それが無くてもこの映画だけで十分に脇の役の深みが描かれている点である。これは特筆すべき点と思う。

■印象に残るカットは、呉に戻った菅原文太が松方弘樹に、渡瀬恒彦を預かってくれ、と海辺で頼むシーン。この時代と登場人物のおかれている環境がすべて内包されているカット、と感じた。

■果たして僕はどんな映画を撮るのだろうか?それは、人生を生きる、という映画で。仁義なきシリーズを観ると、いつも思うのである。

ではでは。

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