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「日本の未来」~高度経済成長とバブル後の経済停滞の仕組みの違いから考察


▼高度経済成長と経済停滞の仕組みの違い

内需循環とは、賃金等で獲得した金銭を源泉として、国内で取引が繰り返されることで、もらった賃金総額以上に市場が膨らんでいく経済現象です。高度経済成長期には内需循環が正常に機能して、給与上昇率(10%)以上のGDP上昇率(15%)を実現しています。

▽高度経済成長とは
時期:1955年~73年
名目GDP平均成長率:15.9%
実質GDP平均成長率:8.2%

▽バブル崩壊後の経済停滞とは
時期:1992年~
名目GDP平均成長率:マイナス0.2% (92年~10年)
実質GDP平均成長率:0.6% (92年~10年)
出典:「参考資料」内閣官房

▽世界の実質GDP平均成長率(1981年~2017年)
世界平均:3.5%
先進国平均:1.9%
中国:0.5%
新興・途上国(中国除く):1.2%
出典:「参考資料」内閣官房

物価を加味した実質GDPで比べると、日本経済の高度経済成長期の「異常な」成長とバブル崩壊後の「異常な」停滞が明白になります。
先進国平均2%を大きく上回る成長が高度経済成長期にみられ、バブル崩壊後のデフレ環境では成長が全く止まっているのです。
中国や新興国の成長率と同じような数値になっていますが、これらの国はインフレ環境下での数値であり、デフレ環境下の日本経済とは事情が違います。つまり、中国等は高い名目GDPがインフレの影響で実質GDPが大きく低下した数値となり、日本は低い名目GDPがデフレの影響で実質GDPが少しだけ拡大した数値となっているのです。

こうした日本経済の「異常な」成長と「異常な」停滞をもたらしている仕組みをまとめたものが、上記図表です。
外部環境、内需循環、政策、企業競争力、全ての項目で正反対の事象が生じているのがわかります。

こうした仕組みを、私見をできるだけ排除して、公的データを中心に詳細に分析し、「日本の未来」を考察していきます。

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