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"1番好きなアーティスト"ってもう古いの?

「1番好きなアーティストって何ですか?」
友達の友達、仕事、合コン、たまたま出会った人、何でもござれな万能話題。

好きなアーティストには人間性が表れる。 と、思う。
少なくとも統計的な傾向はあるはず。
なので私ははじめましての人には必ずと言っていいほどこの質問をする。

もしそれが私も好きなアーティストだったら御の字。一気に距離を縮めるチャンスだし、
知らないアーティストだったら新しい音楽に触れる絶好の機会。
私はBUMP OF CHICKENが1番好きなので、万が一被ったりすればそれはもうその瞬間に心の友だ。

私は音楽について何の知識も無いし、楽器も弾けない。
歌もまあ人より多少自信があるくらい。
それでもやはり音楽に心を救われたことも、追い詰められたことも精通していないなりにたくさんあるし、
間違いなく人生の大部分が音楽と共にある。
だから人の人生も垣間見れるようなこの話題が大好きだ。

私は、仕事の特性上若者(と言っても私自身もまだ27の若造だが)と関わることが多い。
1番のチャンスは車の中だ。
いきなり懐に入られると警戒してしまうのが人間の常であるので、車内で流す音楽から自然に話題に入っていく。


「藤井風くん売れまくってますね〜」「これ今観てるアニメの主題歌で〜」「Adoちゃんほんとに歌上手いですね〜」「こないだCDTV観てたらランキングの半分以上YOASOBIで〜」「小学校からずっとBUMP OF CHICKENが好きなんですよ〜」

、、、頃合いだ。

「1番好きなアーティストって何ですか?」


「ん〜、、、あんまりこれと言って無いですね〜、、、」


まじで??????
え、今までどうやって生きてきたの??????

いわく、サブスクの人気曲からテキトーに流しているらしい。
その時々でよく聴くアーティストはあるが、それはブームの域を出ないとのこと。
最近こういう会話をして驚愕することが立て続けにあった。

もちろん悪いことではない。
昔と比べ物にならないほど気軽に音楽と触れ合える時代だし、
今はかっこいい音楽が豊富に溢れている。
ガラパゴス的に進化してきた日本の音楽は隆盛を極めており、
ランキング上位の曲なんてその最たるものだ。
音楽を楽しむ立場から言えば、本当に良い時代だと思う。

しかし。しかしだ。

好きな子にフられて傷ついた心を、好きなアーティストの新曲が半ばこじつけ的に癒やしてくれたり、
中学生の頃は人と違う音楽を聴いてることに恥ずかしい優越感を覚えたり、
好きなアーティストの対バン相手がクリーンヒットしたり、
学校ですごいバンドを見つけたと意気揚々と語ったら軽音部のヤツがとっくに知ってて悔しくなったり、
好きなアーティストが地上波に出た時はハナから近くもないのに遠くに行ってしまったようで寂しくなったり、
もう何百回も聴いてるのに大人になってから良さを見つける曲があったり、

思わずキショ歴史博覧会になったが、
そうやって共に成長してきたとも言える相棒が彼らにはいないのだ。

私が感じ取れてない音楽の素晴らしさを彼らは知っているのだろう。
きっとずっと耳も肥えている。
最も多感な時期からこんなにたくさんの素敵な音楽に囲まれる彼らを羨ましいとさえ思う。

それでも何となく、
何となくだが、
余計なお世話であることは百も承知で、
自分の持てる宝物が彼らにはないのかと少し寂しくなる。


もしこれを読んでいるあなたにも、1番好きなアーティストが思いつかないというのなら、
今聴いているアーティストでも、最近お気に入りのアーティストでも、
一度アーティスト名で検索をかけてみてほしい。
それで、曲名でも、ジャケットでも、YouTubeのサムネイルでもいい。
何か気になった、聴いたことのない曲を聴いてみてほしい。
どうしても見当がつかなかったら、その時は私が1番好きなBUMP OF CHICKENの「ゼロ」を聴いてくれ。
ひょっとしたらあなたの相棒が今日1人増えるかもしれない。


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