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私の膝は非常に丸い。

まだ小学生の頃、図工の授業で版画に取り組んだことがある。板に彫刻刀で溝を彫り込みを入れてできた凹凸によって、版画を作る。高校生になると美術の時間に石を彫刻刀で掘って削って、オリジナルの判子を作成した。いずれの”アート”も、図工美術とも得意科目であった私は削ることに臆することもなく、サクサクと傑作を作り上げた。

しかしいま私は大きな挫折を味わっている。365日24時間(これは盛りすぎ)考えても、試みても、自分の思い通りを形にできない。

そう、膝である。膝の形である。私の膝は丸い。

私の丸くて優しそうな膝と、友人の角張った都会的な膝が道を歩いていようなものなら、老人は迷いもせず私の丸い膝に道を聞く。膝が上司なら、部下は一度聞いた指示を2度目に確認する際には躊躇なく私の膝を選ぶであろう。というような優しげで柔和そうな膝だ。絶対怒らない。

膝が丸いということは、エラーではない。修正しなければいけないことでも、出来損ないのアートでもない。しかし、私は26年間変わることなく、生まれ落ちたまま常に丸い、可愛らしい丸みに飽きたのだ。そろそろ、新たな形のアートを楽しみたいと思う。丸々とした膝を角張ったそれに削り取るのは、小学生の時に削った版画のように容易ではない。人生は一度きり、難しいことには果敢に挑戦したいと強く願う私である。自分の膝をアートと心得、角張った都会的な、どこか冷たいモダンアートを目指したい。

ゆえに私の丸い膝の軌跡を記録する。レッツ、角張った膝!いえす!

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