見出し画像

子どものトラブルは、丁寧に聴いて交友関係力UPにつなげよう

学校での予期せぬ出来事やトラブルは、
往々にして起こりがちです。

勉強だけでなく
交友関係に心を痛めている子どもたちも少なくありません。

おはよう!の挨拶

校舎入り口で毎朝
「おはよう」と声をかけていた時期がありました。

「おはようございます」と元気に登校して来る子どもたちがいれば
下を向いて黙って通り過ぎる子もいます。
集団登校の人の波の中に色々な顔や姿が通り過ぎます。

何度か出会って、目と目が合って、
目と目で「おはよう」と声かけ合って
小さな声で「おはよう」となり
そして、そこから安心の笑顔が生まれます。

朝の小さな挨拶から始まって
次第に、校舎でも目と目が合って、
にこっとし合えるようになっていきます。
小さな信頼が生まれます。

ときどきは
わざと、そばを通り過ぎてくれたりして・・

「おはよう!」
短い挨拶とにっこり笑顔で
この一瞬が心温かくなりますように!
今日一日を頑張れますように
そんな思いでエールをおくりました。

学校は小さな社会
いろいろなできごとが起こります。
元気のないとき、信頼できる人からにっこり笑顔を向けられたら
元気がでないまでも、心が一瞬ほっとします。

「ちょっと相談してみようかな」と、
子どもに思ってもらえる大人がそばにいるだけでも心強いです。

いつでも どこでも だれとでも
コミュニケーションは笑顔の挨拶から始まります。



小さなトラブルは毎日のように

学校では、小さなトラブルは毎日のようにあります。
大人が「そんな小さなことで」と思っても
子どもたちの心の中では大問題です。

きちんと解決できていないと、いつまでも心に残ります。
小さな事の積み重ねで悩みが増え
子の悩みが親の悩みにも発展していくこともあります。

おとな:どうしたの?元気ないね
子ども:ストレス!
おとな:そうかー、ストレスかー

で、終わってはいけません。

ストレス!の中には、たくさんの意味が隠されています。
天候、騒音、不安、悩み、人間関係・・言葉に表現できないストレスを
わかりやすい言葉で伝えることができるように聴いてあげたいです。

うざい・やばい・きもい・・等の感情表現も低年齢化しています。
表現力の乏しさから発生する対人関係の悩みも大きいです。

トラブルは、その日のうちに解決してあげたいです。
トラブルは、対応の仕方次第でプラスにもマイナスにもなりますから。



トラブルを対人関係の学びとする

<学校編>

①4年生のAくんとBくんが言い合いをしている

教:どうしたの? 何かあったの?
A:ぼく、うざいと言われた~
B:だって、うざいからうざいんだよ!
A:なんでうざいのー、そんなこと言われたくない!
      あ~ もうだめだよ~

②Aくんは相当ショックを受けています。Bくんもプリプリ怒っています。
 担任が順番に聞き取りをすると、こんなことがわかりました。

A:通りたかったところにBくんがいたので「どいて!」と言ったら、
「うざい」と言われた。「どこが、うざいの?」と聞いたら
「全部なんだよ」と言われた。
通りたかっただけなのに、うざいと言われてショックだった。

B:「どいて!」と大きな声でいきなり命令されたから「うざい」と言った。「うざい」と言ったのは、急に大きな声で命令してきたので、うるさいという意味だった。

③担任は2人の話を聴き、気持ちを受け止める。

・通してほしいと言ったつもりだったA君の気持ち
・大きな声で命令されたように感じたBくんの気持ち

・うざいといわれて悲しいAくんの気持ち
・「どうして、うざいの」と言葉を咎められ、腹が立ったBくんの気持ち

2人はそれぞれ自分の行動を振り返り、「どいて」と「うざい」に隠れていた言葉の意味を考えました。そして、「どいて!」と「うざい」に代わる言葉を考えました。

④解決策を話し合う

教「もし、同じことが今度あったらどうする?」

A:今度は小さな声で「ちょっと、通してもらえる?」と言う。
  人がいるところを通らなくてもいいように、隣の列から通ってもいい。

B:どいてと言われたら、少し通り道を空ける。
大きな声で「どいて」と言われて、びっくりしたら
「びっくりしたー!もう少し小さく言ってね」と伝える。

⑤担任は2人の行動のよかった点を伝える

話し合いの後、
担任は2人に「トラブルの原因を振り返り、解決策を考えることができたことはすばらしい」と伝えました。

「あなたたちは話し合いと考える力がついてきている」と担任に認められ、
原因を振り返り、解決できる力があるほど成長してきていると勇気づけられたら、さっきの喧嘩は帳消しです。

※怒りやトラブルには必ず原因があります。
丁寧に聴くことで、「ここだ!」と気づく場面があります。
AくんとBくんは、自分たちの怒りのポイントに気付くことができ、解決策も考えることができました。そして、自分の行動で至らなかった点について相手に「ごめんね」とあやまることができました。
時間があれば、簡単なロールプレイをしてまとめると効果的です。


<家庭編>

「今日、学校でうざいと言われた」とか「〇〇ちゃんがにらんできた」等と、ネガティブなことを子どもに訴えられたら、お母さんの胸は締め付けられるように痛みます。学校の様子はわからないので、いじめになっていたらどうしよう、学校に行きたくなくなったらどうしようと、憶測が憶測をよんでお母さんは不安が募ります。

あわてないあわてない!
まず、お子さまの話をゆっくり聴いてあげましょう。

①聴く

子:今日、学校でうざいと言われた。
  通れなかったから「どいて」といっただけなのにうざいと言われた。
母:えー、そんなあー!

子:どこが、うざいの?って聞いたらね、
 「全部なんだよ」と言われたんだよ。
母:えー、そんなこといわれたの? 
子:なんで、うざいの? ぼく、うざくないよ!

②受け止める

母:〇〇はうざくないよー!
  うざいって言われたくないよねえ。いやだったよねえ
子:そうだよ。
母:お母さんもいやだー。

③気分をやわらげる

母:・・・・おやつ食べる?
子:うん

④振り返る

母:どんな感じで、そうなったか教えてくれる?

子:  ――身振り手振りで教える――

母:教えてくれてありがとう。
  2人とも大きい声だったねえ。元気ありあり!だね、
子:うん、まあね

母:みんな、びっくりしてなかった?
子:うーん、ちょつとね・・・
子:でも、ぼく、うざいと言われたんだよ。もー、言われたくないよー。
母:そりゃあそうだよ。お母さんだって言われたくない。
  ちょっと、わからないんだけど・・・
  うざいってさー、どういう意味だっのだろう?

  そこをどきたくないからほかを通って言う意味?
  小さな声で、言ってほしいという意味?

子:う・・・・ん   わからん!
母:う・・・・ん   わからんね~・・
  Bくんはさ、その時は友だちとしゃべっていたんだよねえ
  小さな声で、通してくれる?って言っても同じかなあ・・・
子:う・・・ん
  

⑤解決策を話し合う

母:今度、通りたいところにBくんいたらどうする?
子:うーん、わからん

母:本当はさー、お互いにさー、
「ちょっと通して」、「いいよ」ってなったらいいよねえ。
子:別のところ、通ってもいいしね。
母:あ、それはいい案かも!

子:うざいって言われるのいやだしね。
母:そうだよねー。 うざい!って言葉はいやだよね。
  今度また言われたら、どうする?
子:いやだよ
母:そうだよねえ。
  そのときはBくんに「その言葉はいやだ」と伝える?
  それとも、先生に相談してみる?
子:先生に相談しようかな。
母:そうだね。そうしようね。

母:今日はAの気持ちがわかってうれしかったよ。
  教えてくれてありがとうね。困ったことがあったらいつでも言ってね。
子:うん。

※実際の場面では、こんなにうまく話が進まないこともありますが、
ネガティブな感情を引きずってしまわないように、ストレスをため込まないようにゆっくり聴いてあげる時間がとれるといいなあと願っています。

※通常学級では、似たタイプ同士がトラブルになる場合がよくあります。
診断されているいないに関わらず配慮が必要な児童生徒は、どの学級にも一定数いることを知っておきましょう。

伝える力・考える力を育てよう

通常学級も支援学級も家庭も
トラブルを早めに回避し取り除くことだけが目的ではなく、
起こったできごとや思いを自分で伝える力、
解決するにはどうしたらいいか考える力、等を育てる場でもあります。

言葉表現が未熟なこどもたちは
うざい・きもい・終わった・やばい・etc等のネガティブな言葉でいろいろな気持ちを伝えることがあります。

身近にいる大人が「場にふさわしい言葉」「意味や内容が伝わりやすい言葉」に言い換えて話を聞くことができると、子どもたちの語彙力も増してくるのではないでしょうか。語彙力のない私が言うのも何なんですが・・・

大人は、児童生徒の「困った感のスキル磨き」の練習になる地点を見極めて介入していけることがベストですがそうとばかりもいえません。

小中学校の場合、先生が発達障害や心の専門家というわけでもありません。

我が子のコミュニケーション力について「困っています」と担任から伝えられたら、「困ったことに対して担任はどのような声かけをしているか」伺ってみましょう。家庭での声かけの方が効果的な場合もあります。

日頃から養護教諭やコーディネーターの先生とも相談しやすい雰囲気作りが必要です。担任から何も言われないので大丈夫だろうと思っても、子どもたちの様子をよくみることが大切です。


marukoの独り言

1年間の予定でnoteを始めて9か月も経った。
始めた理由は自己満足に過ぎないが
特別支援教育のことを伝えたかったから。
支援教育や支援学級の在り方について未だ進歩を感じられなかったから。



次回は4月5日(水)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?