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"怒る"祖父の悪意

前頭側頭型認知症


認知症の方にも色々なケースがあるらしい。
一般的な認知症のイメージだと、「食事をしたことを忘れる」「人の顔を忘れる」等知能や機能に支障が出るものだと思う。

祖父は前頭側頭型認知症(ピック症)という、社会性が理性が著しく欠け、怒りっぽくなり自分本位になる認知症だった。初期の場合は知能や機能には問題がない為、気づかれにくいそうだ。
ニュースとかでたまに目にする"怒る老人"はこのような認知症状から来ているケースも少なくないと思う。目が大きく開き、血走りっている。手を振りかざし大声を出す。「どこからそのエネルギーが出ているんだ」と感心するほどの老人。
私はそのような人を見かけるたび、祖父の姿を思い出す。

私達家族は祖父の怒りの症状の時を"怒り認知"と呼んでいた。ただ、祖父がそうであると気づき呼び始めるのにはかなり時間がかかった。 

5年前


5年前には祖父の怒り認知がさらに悪化しており、父への怒りは強くなりどんどん悪化していた時期だ。
そして、私達はこの頃にもまだ祖父の怒りが認知症から来ていることを知らなかった。


父が朝リビングへ行くとダイニングテーブルの父の席に祖父が座っている。父から祖父への挨拶は無視され、席も変わらない。父は朝食をリビングで食べることができなくなった。
昼食や夕食では父が口を開くたび祖父が父を睨みつけ、祖母や母が諭してもやめない。食事は別々に取ることとなった。
家で父と祖父がすれ違うたび祖父が小さな声で「アホが」と言う。悪意を持った父を排除するような行動は祖父にとって日常化し始めていた。
父は、「あの喧嘩が起こるまで自分の子どもが祖父の怒りの対象となり悪化しつつあった。何とかしたかった。あの日以降俺に怒りは向いたが子どもへの怒りは落ち着いた。だから、このままで良い。」と言っており、当たらず触らず、祖父とこれ以上の衝突だけはしないように我慢をしていた。


実は"父が祖父へ暴力を振るった"という祖父の嘘は今回の遺言状開封より前のこの頃に発覚している。発覚というより、嘘を周囲に言いふらし祖母と嘘を信じた叔母2人を連れ立って父に"父が祖父へ暴力を振るったことへの謝罪"を求めてきたのだ。

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