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YOUNG WIZARDS 〜Story from 蘆屋道満大内鑑〜を考え続けた10月(前編)

かなり久しぶりのnoteです。

この数ヶ月間、仕事が忙しかったというのもあるんですが、何をしていたのか…は、また別の記事で書いていこうと思っていまして、

しかし、まずはこの何とも言えない気持ちを…
今も全然整理しきれていないこの莫大な感情を…何とか形にしておかなければ、ということでこのタイトル。

行ってきました、パシフィコ横浜。
音楽朗読劇 READING HIGH(リーディングハイ)「YOUNG WIZARDS(ヤングウィザーズ) 〜Story from 蘆屋道満大内鑑〜」

中村悠一さんの沼に堕ち、ほぼ同じタイミングで知った藤沢朗読劇。
円盤化されているREADING HIGHで、中村さんご出演作品を「これは絶対自分が好きなものだ」と内容も大して調べもせず直感的にまとめ買い。

案の定、巨大台風並みの瞬間最大風速でどハマり、そしてこれは絶対生で観たいと思って、幸運なことにその願いがあっという間に叶い、あれよあれよと先日初めての現地観劇したんですが、、、

初回から大千秋楽、そして前方のプレミアム席……(刺激が強すぎました。)

ということで、
あれから1ヶ月経とうとしていますが、配信のアーカイブも毎日観て、そのあとに届いた台本を何度も読んで〜、の感想を残しておくために、noteを開いた次第。
絶賛ヤングウィザーズロス真っ只中です。

お時間あればお付き合い頂けますと幸いです。
以下、ネタバレありです。


READING HIGH とは

藤沢文翁さんとSony Music Entertainmentによる音楽朗読劇で、観客の想像力によって完成される3.5次元の舞台。


YOUNG WIZARDS 〜Story from 蘆屋道満大内鑑〜 ストーリー

時は平安時代。
陰陽師、賀茂忠行の弟子、狐の子と噂される安倍晴明と元僧侶である蘆屋道満は、弟子たちの中で孤立していた。2人はライバルというよりまるで兄弟のように切磋琢磨しあう仲。

ある日、2人は人の心の闇が生み出した鬼を一匹残らず退治せよと帝からの命を受ける。そんな中、鬼がこれまでにないほど増え始めた京の都に、鬼を喰らうという妖狐が現れ始めた。

妖狐は、鬼を喰らうが、人の心も鬼ごと喰らってしまう妖。陰陽師は、心の鬼を術に乗せて鬼を討つため、妖狐を倒すことができない。倒そうとした瞬間、心に生まれた鬼を妖狐に喰われてしまうからである。

だがある日、安倍晴明が妖狐を殺せてしまう。
どうして晴明は狐を殺せるのか…、狐の子だからなのか。


各キャストが演じた役の印象

※敬称略

安倍晴明:宮野真守

優しくて穏やかで、道満を同志として兄弟子として慕っている、純粋な声。能力を持っていることを誇示するでもなく控えめ。セリフがなく座っている時もずっと役に入っているような印象で、特に玉藻前の姿を見た(母かもしれないと思った)とき以降の表情や、道満を失ってしまった後の嗚咽や息づかいがとても心に残っている。

お芝居をされている姿を初めて拝見したが、テレビなどで見かける優しそうな印象はそのままで、でも役に対しての向き合い方は、もはや憑依とも感じてしまうほどのものだったと思う。

槐に語るときの声のトーンがすごく切なくて、「散らすために咲かせたのではない」というセリフが好き。

蘆屋道満:中村悠一

自信家で無鉄砲で、自分の能力を使いたくて(鬼退治がしたくて)仕方ない。もちろん能力もあって、弟弟子である晴明のことを大切に思っている。

現在、幼少期、九尾の狐に心を喰われた時とその正体が晴明に見破られてしまった時、で4役を演じ分けていらっしゃったのだが、切り替えがすごくて鳥肌。声色・表情までもコロコロを変化して、幼少期の時はやんちゃな子供っぽく見えたし、九尾の狐と正体がバレたときは、中村さんの中に朴璐美さんが見えた(気がした)。

感情移入するというよりも、観ている側にその役の心が直接つながるような…そんな演技で、vs玉藻前のシーンではどんどん息づかいが荒くなってい姿に、観ているこちらも息苦しさを感じるほどだった。推しフィルタがかかっていると言われてもいい、やっぱり中村さんのお芝居が好き。感情全部持っていかれる。

源頼光:諏訪部順一

登場シーンがとにかくカッコ良すぎる。頼光さま応援上演があったら絶対行く。(うちわ作るしペンライト持参する。)

晴明や道満、金太郎を失うくらいなら、自分が死んでもいいと思っているところが、生き方として潔くて男前。でも、頼光さまには長生きしてほしい。
金時と2人だけで会話しているときは、金時を頼りにしてるんだなって思うような少し力を抜いた声になっていたのも印象的だった。

自分より若い者たちへの語り口に優しさと頼もしさがあって、槐に「泣いても良いか?」と聞かれて「良いぞ」というときに頭ポンポンしてる所作……………もう!ずるい!!これ絶対、諏訪部さんファン増えるやつやん…あれ観た人、全員好きになるって!頼光さま、私の上司にほしい。

坂田金時:浪川大輔

何より先に思ったのが、金時を演じるのが浪川さんで本当に良かった。藤沢朗読劇は、朗読を聴くだけではない舞台だからこそ、演じる役者さんの地の部分も考えられての配役なのかもと思うようなハマり役。

頼光さまが言うように、金時の笑い声・笑顔で救われる思いをしたシーンがいくつもあったし、頼光さまが望むならいつも笑っていようとする姿は、真っ直ぐな気持ちに溢れていて眩しかった。頼光さまが金時を頼りにしていた(心の拠り所にしていた)のも頷ける。金時がいたから、晴明や道満は頼光さまと良い関係で繋がることができたんじゃないかと思った。

公演後にSNSで公開されたオフショットまでも坂田金時だった。(笑)

槐・童子丸:鬼頭明里

【槐】
まだそこまで大きな木ではないが、白く連なり咲く槐の花が見えるような、凛とした印象。晴明との関係がどれくらいの歳月なのかは語られてなかったが、従うだけではなく自分の意思もしっかり持ち、誰にも甘えることをしなかった槐が、最後に唯一頼光さまに「泣いても良いか?」というシーンで、ここまでよく頑張ったねって抱きしめてあげたくなった。あと、ツンがかわいい。

【童子丸】
かわいい、とにかくかわいい。(語彙力なさすぎて、さっきからかわいいしか言っていない)
「童子丸は子供になるのは初めてだ」のセリフの言い方がとても好き。宮野さんが演じる晴明の元になるような童子丸だったと思う。甘えたり泣いたり、母に駆け寄ったり、セリフの余白部分でもその動きが見えるようなお芝居をされていて、そこが童子丸のかわいさをより強く印象付けた。

藤原道長:津田健次郎

圧倒的ヒロイン。なにこのかわいい道長殿。(すみません、真面目に書きます)
道長の置かれてる立場としては、物語の展開に巻き込まれていく人物にあたると思うが、津田さんが演じる道長があまりにもチャーミングで(感想として合ってるのかは疑問だけど)、あんな風なお芝居やあんな表情もできることがとにかく凄いなと思った。最初の登場シーン(色気たっぷり)からは想像もつかないほど展開を遂げるキャラ幅。

月の宴での晴明との掛け合いで、セリフになかった部分がアドリブなのか…
晴明「良いですか?(道長/…はい)出世して、こんな豪華な宴を開いて、帝を招いているだけで反感を買っているのです(道長/…んぁ)」
の、この掛け合いがツボにハマってしまった。

でも、頼りない訳ではない。締めるところはピシッと締める。声の切り替えがとても絶妙。

葛の葉狐・玉藻前:朴璐美

【葛の葉狐】
童子丸に優しく語りかけるところより、彼に人間の世界でどうやって生きていってほしいのかを伝えるときの、少し低くて力強い意思のこもった声がとても好きだと思った。感情豊かにお芝居をされる朴さんだからこそ、愛情いっぱいで溢れすぎるくらいの母ちゃん。
最後、晴明に背負われているシーンでは、少しずつ弱っていくカカ様が光の中に消えていくように見える、儚いお芝居だった。

【玉藻前】
声も動きも艶があって…妖艶という言葉しか思い浮かばない。vs道満のシーンでは、道満よりはるかに大きな姿しているようにも見えた程の声の迫力。感情の波がゆっくりと大きくて、じりじり迫ってくる闇を、声のトーンで表現されているように感じた。音圧最強。
玉藻前の時の話し方がとても特徴的で、どんな風に役を組み立てていかれたのかとても気になった。


藤沢さん、脚本書かれる(考えられる)ときってアテ書きなんだろうか…と思ってしまうくらい、どの声優さんたちも全員ハマり役だと思ったし、再演があったとしてもこの配役以外に考えられ……、いや贅沢を言うなら、違う配役も見てみたい気もするが、、でも、できれば同じキャストで再演していただきたいと思う。


藤沢朗読劇から受ける刺激が強くて、どうしても書きたいことが多くなってしまうので、今回も前編と後編に。
後編では、脚本や演出面で面白かったことや物語の考察を語ります。

YOUNG WIZARDS 〜Story from 蘆屋道満大内鑑〜を考え続けた10月(後編)はこちら

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