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【文フリ再掲4】その3 まほやくの香水を買った話

この文章は2022年11月の文学フリマで頒布した友人との合作同人誌に、丸野まる名義で掲載した文章です。4回目の文フリでは、「些細な好きも大切にする」が裏テーマです。今回はいつもより長めに書いたので、いくつかの記事に分割して掲載します。もしよければ読んでみてください。 

推しと香りの話
 
 私が愛してやまないアプリゲーム、『魔法使いの約束』の公式グッズとして香水が発売されたので、購入した。そのことについて話したい。
 魔法使いの約束、通称「まほやく」は昨年の11月にリリースから2周年を迎えたのだが、その際の記念グッズとして作られたのが香水である。
 トップノート、ミドルノート、ラストノートと、つけてからの時間経過とともに香りが移り変わっていく仕組みの香水で、このように3段階の香りの変化があること、また、香りのニュアンスが詳細に紹介されていることは、きちんとした香水であることの証左だということだった。この辺の香水についての知識は、同じゲームを愛する香水に詳しい友人に教えてもらった。
 それまで推しのグッズと言えば、ポストカードやフィギュア、アクリルスタンド、といった「モノ」のイメージがあったので「香り」という形のないものを買うことが不思議で面白く、「推しをイメージして作られた香水はどんな香りがするのか」ということが知りたくて購入に踏み切った。要するに推しの匂いという情報を買ったのである。
作中に登場する21人の魔法使いそれぞれをイメージして作られた21種類の香水は、発売前からかなりの人気を博していた。私はオンラインストアで購入したのだが、その人気と受注販売という販売方法から、2021年の冬ごろに注文して、届くまでには約半年間待つことになった。
しかし、その間「推しの香りを嗅ぐまでは何があっても絶対に死なないぞ」という生へのモチベーションを高く保つことができ、グッズが届かない間ですら、人は推しに支えられるのだなと感慨深く思った。
キャラクターの中には兄弟だったり、出身国が同じだったりと、共通点のあるキャラクターが何人かいて、そのキャラクターの香水は同じ香料を使っていたりするので、香りを比較するためにも複数の香水を購入した。
 届いた香水は、主に家の中でつけている。香水をつけ慣れていなかったので、香りに慣れるまではタオルや寝具につけたり、室内着につけたりして香りを楽しんでいた。しかし、香水に詳しい友人から、香水を布につけるとシミになることがあるので、注意が必要とのアドバイスをもらい、現在は肌につけて楽しんでいる。
いくつかの香水を日替わりでつけてみると、同じ香料を使っている香水でも、調合によって香りの印象が全く違うことが分かり、かなり驚いた。
また、以前は「ムスク」「サンダルウッド」「ベルガモット」と言われても、どんな香りか見当がつかなかったものが、いろいろな香りを知ったことで判別できるようになり、その香料を使った香水の香りの方向性がある程度わかるようになった。
自分の暮らしに「良い香り」という文化が新たに持ち込まれたことで、生活の質は確実に上がったと思う。まだ持っていないキャラクターの香水もできれば集めたいし、自分の好きな香りの傾向もわかったので、メジャーなブランドの香水も試してみたい。結果として、「香水」という新たなジャンルにハマることになったのだった。
 香水について教えてくれた友人及びインターネットの先達の方々、そしてなにより私に香水の世界を知るきっかけをくれた『魔法使いの約束』を形作るすべての人々に、この場を借りて心よりの感謝を申し上げます。

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