Nine Lives by Peter Swanson よむよむ
スワンソンのリストアップ好きと『そして誰もいなくなった』好きと才能が炸裂している本作。邦訳を楽しみに待っている。出版社はハーパー・コリンズ。装幀はエルシー・ライオンズ(Elsie Lyons)装幀の文字のレタリングはジョエル・ホランド(Joel Holland)で前作と同じ。表紙に印刷されているレビューはニューヨークタイムズ・ブックレビューですごい!このプロットは見事なパズル!となっています。キャッチコピーは「このリストに名前が乗ったら誰かがあなたに死んでほしいと思っている」。めちゃくちゃ読みたくなりますね。献辞はジョン・メルリル・スワンソンさん。どなただろう?ご家族の方だと思うけれど。
今回は読書会用の質問はなかったけれど、詩のエピグラフがついていました。ヴィスワヴァ・シンボルスカの詩。ノーベル賞作家でもあるので、日本でも翻訳本が出版されている。詩のタイトルは A Word on Statistics。シンボルスカはポーランドの偉大な詩人だからこれは英語訳だよね。内容は誰にでも死はやってくる、違いは何歳かってことだけということを表しているのだと思う。これは、この価値観は『そしてミランダを殺す』のリリーを彷彿とさせる。
リストに載った、9名の方のお名前は
ちなみに前作Every Vow You Break のブルースの名前がニューヨークの文芸誌のオーナーそしてIT企業家として出てくる。アリソンはこの雑誌の仕事をしていたのだけど、雑誌が廃刊になって失業してしまい、愛人生活へと入っていくのだ。
子供がいる男(マシュー)、ゲイのカップル(結婚してる)はスワンソンの作品のメインキャラクターとしては初めて出てくるのではと思う。それからなんと言っても、ジェシカはベトナム系とアフリカ系アメリカ人の女性として描かれている。見知らぬ人に出身地について失礼な質問をされて思ったことだとかも書かれていて、登場人物の幅がどんどん広がっていき面白いと思った。彼女はかなり活躍するので、大注目。
この本には詩のリストも出てくる。
これはイーサンが好きな詩人のリスト。ジョン・ベリーマン(日本では訳されていないよう?)、フランク・オハラ(飯野智幸著『フランク・オハラ 冷戦初期の詩人の芸術』という本がある)、ウェルドン・キース(日本語訳見つけられない)、ロバート・ローエル(日本でも翻訳や、研究書があるみたい)。それに続いて、「それから詩人じゃないって思うかもしれないけど」と前置きがあり、(つまりシンガーソングライターたちっていうことだと思う)
ジョニ・ミッチェル、ディラン、レナード・コーエン、ジェームズ・マクマーティ、ウィリー・ブローティン。ウィリー・ブローティン以外は日本でも有名なミュージシャンだと思う。
こんなリストを送り始めるなんて、恋の始まりだと思った。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?