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長く経営者を続けても慣れないこと

私は経営者として20年以上過ごしてきた。
しかし、未だに慣れないことがある。
慣れないどころか、心を痛めることもある。
今回は、この辺りのことについて書き綴っていく。


社長と呼ばれること

私は「社長」と呼ばれることが好きではない。
同じ考えの経営者は多いと思う。

私の会社では、人のことを役職で呼ぶ人はいない。
「〇〇さん」と名前で呼ぶ。
昔、そのようなルールにした。
今は社風となっていて、誰かがわざわざルールを教える必要もない。

そもそも、相手のことを役職で呼ぶことは失礼だ。
「〇〇社長」なら、まだ分かる。
単純に「社長」や「部長」と呼ぶのは、あまりに汎用的で軽い呼び方だと思わないだろうか?
仮に「部長」が「課長」になったら、どうするのか?
「社長」が「引退」したら、どうなるのか?

私は、きちんと相手を名前で呼ぶことが「敬意」だと思っている。

しかし、社外には私のことを「社長」と呼ぶ人が一定数いる。
もちろん、初対面か付き合いの浅い人だ。
修行の足らない私は、私のことを「社長」と呼ぶ人と仲良くなれることは殆どない。

やはり「社長」と呼ばれるのは慣れない。

遠慮されること

まず、時間のこと。

経営者をやっていると「常に忙しい」と思われることが多い。
そして「忙しいと思って…」と言われることがよくある。
この謎の遠慮がいつまで経っても慣れない。
むしろ、悲しい。

次に、金のこと。

私が経営する会社がそれなりに成長すると、私を食事や宴席に誘う人が減った。
ここには「安い店に私を誘うことに抵抗がある」という感情が働くらしい。
これもまた、謎の遠慮である。

私としては、いつも忙しいわけではない。
むしろ、40歳に近づいた頃からは、一般的な会社員より暇かもしれない。
5000円の居酒屋も30,000円の焼肉屋も、楽しさを感じる量に差はない。
個人的には、若干騒がしいくらいの居酒屋の方が落ち着く。

特に傷ついた遠慮。
それは、昔はよく誘ってくれた先輩が自分からは誘ってくれなくなるケース。
「今となっては(私が)出世しちゃったから、なんか誘い辛くて…」と言われたこともある。
そんなことは言わないで欲しい。
3日ほど、凹んだ。

理不尽な敵意を向けられること

外から見て、会社が順調に成長しているように見える時。
身に覚えのない理不尽な敵意を向けられることがある。

特別に関わりが深くない人からの敵意は、どうでも良い。
そんなものは、とっくの昔に慣れた。

しかし、昔は仲良かった人から、身に覚えのない敵意を感じることには慣れない。
昔通り、普通に話しかけた時、その敵意を喰らうとダメージは2倍だ。
私の残された選択肢は、敵意をそれ以上増幅させないため、そっとフェードアウトすることだけ。

何とも後味が悪く、寂しい思いをする。

従業員が転職をすること

独立していくなら良い。
喜んで送り出す。
むしろ、独立後も一緒に仕事をしたい。

しかし、他社へ転職するとなると違う。
これがどうしても慣れない。

もちろん、私の会社がどう頑張っても結果は変わらなかったかもしれない。
しかし、それでも「何かが上手く回っていなかったのだろう」と考えてしまう。
どちらにしろ、配慮が届かなかったことが原因で、全ての責任は経営者にある。

――― せめて転職先で大活躍することを祈る


他にもまだまだ慣れないことはある。
これ以上書くと止まらなくなりそうなので、ここら辺で終わりとする。
くだらない記事に御免蒙る。


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