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インスタントな効果を求める経営者

経営というのは、行ったことの結果が随分後から付いて来ることが多い。
しかし、経営者の中には「即効性」を求めることしかしない人もいる。
今回は、この辺りのことを書き綴っていく。


インスタントな営業活動

即効で売上になる契約を狙う営業。
別に、悪くはない。
しかし、現実問題として、難しい。

今時、似た商品、似たサービスはたくさんある。
即決で売れることは、稀だ。

経営者は、営業活動に即効性を求めてはいけない。
長い目で見て、地道に積み重ねていくべきだ。

それでも「即効で売上になる契約」を求める経営者は後を絶たない。
営業担当の売り方は強引になる。
会社の評判も悪くなる。

インスタントな営業活動は、自転車操業のはじまりだ。
常に、売り続けないと、会社が成り立たない。
営業担当の心に、余裕などない。
ひたすら「すぐに買ってくれる人」を捜し求めることになる。

営業担当の入れ替わりも激しくなる。
心が折れて、辞めていく人が多い。
結果、優秀な営業担当が育たない。

インスタントな広報活動

1回の広告に対して、その広告費以上の利益を求める人がいる。

例えば、新聞折込。
30万掛けて、新規客からの利益が30万以下だったとする。
インスタントな経営者は、広告担当に文句を言う。
「損した」と言い切る。

そういった経営者は、広告を不定期に単発でしか打たないことが多い。
そして、自社の知名度を客観的に評価する能力が乏しい。
さらに言えば、自社商品・サービスの品質を客観的に評価する能力が無い。

「広告を出せば売れる」という考え方は、安易だ。
そもそも、商品・サービスの品質によっては選ばれない。
「欲しいと思うタイミング」も人によって違う。

他にも、改善すべき可能性はたくさんあるはずだ。
しかし、インスタント経営者は、改善しない。
正確には、反省すべきことに気づいていない。

インスタント経営者は、広告業者から嫌われる。
全責任を広告業者へ押し付ける傾向があるからだ。

仮に、優秀な広告担当であったとして、1回の広告で結果を出すのは難しい。
広告は博打ではない。
広告の結果を分析して、改善することで伸びていく、連続的な仕事だ。

インスタント戦略を抜ける方法

営業や広告は、以下の手順を踏むようにイメージすることが大切だ。

1.見込客を見つける
2.見込客を育てる
3.顧客に成る
4.顧客を育てる
5.優良顧客に成る
6.優良顧客からの紹介や情報拡散を得る

インスタントな戦略は、1と2をジャンプして、いきなり 3 を求める。
そして、4~6 の手順を踏もうとしない。

経営としては6が一番美味しいところだ。
6が継続的に発生すれば、死に物狂いで営業や広告をする必要はない。

丁寧に営業や広告をしようとすると、しっかりとした予算が必要になる。
正直、手間も掛かる。
そのため、商品、サービスの利益率を高くとることが重要となる。

よく「うちは広告費を掛けていないから他社より安い」と言う営業担当がいるが、本当にそうである可能性は低い。
その会社の利益率が低いだけのことが殆どだ。

利益率を高く保つためには、クオリティーや付加価値を担保しなければいけない。
安く売ることは、大量生産や大量供給が得意な会社の専売特許だ。
そんな会社に引っ張られた価格設定は、確実に自分の首を絞めることになる。

商品やサービスを売るためには「それなりの品質」を「それなりの利益率」で「それなりの手間を掛けて売る」ということが必要になる。
これが最低条件だ。
どれかが一つでも欠けると、経営は上手く行かない。
全てを揃えた上で「それなりの」を卒業していく必要がある。

売れないモノは、全く売れない

残念なことに、売れないモノというは、全く売れない。
どれだけ営業や広告をしても、売れない。
利益率は、マイナスだ。

そんな時は、営業や広告に時間や金を掛けても意味がない。
とにかく、商品・サービスの開発や改善に力を入れるべきだ。

営業担当は、売ることよりも「売れるものにする」ための情報を集めるべきだ。
「どう改善したら買ってもらえますか?」と聞いてみたら良い。
改善した商品・サービスのモニタを募集するのも良い。

数の暴力で利益を上げるのは、完成した良質の商品・サービスを持つ企業の専売特許だ。
最低限「それなりに頑張れば売れる」という商品・サービスを用意しないと勝負にもならない。
それをなくして、販売量を営業担当に依存するのは、経営者の甘えだ。


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