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最低賃金と生活が成り立つ給与

経営者であれば自社で働いている人に給与を払う。
経営者にとっては「スタッフにどのくらいの給与を支払うべきか?」という問題は大きくて深い。
今回はこの辺りのことを書き綴っていく。


最低賃金での雇用

先日、私がフォローしているTHE LATTE TOKYO 店主氏がこんな記事を書いていた。

ぜひ記事を読んで欲しい。
私も深く同感する内容だ。

最低賃金は年々上がってきている。
私が学生時代は時給600円台だった記憶がある。
今はその倍近い時給の職場もあるから、学生アルバイトやパートタイムの人にとっては良い環境になったと思う。

しかし「正社員」となると話は違う。
会社にフルコミットをする人たちの給与はなかなか上がっていかない。
現実問題としては、社会保険料だけが上がり、会社も正社員も負担は増えるばかりだ。

生活が成り立つ給与

自社にフルコミットしてくれるスタッフは、基本的に自社以外からの収入がない。
つまり、自社が「生活が成り立つ給与」を支払わなければいけない。
しかし、現実問題として都内でも月給20万未満での求人はたくさんある。
これでは一人暮らしで生活はギリギリ。
家族4人(扶養者3人)だと、生活は暗い。

私の会社は新卒を募集していない。
正確には、新卒も中途も区別が無い。
結果、既に十分な教育を終えている人しか採用していない。
これは大変有難いことだ。
どこかの会社が教育費を負担してくれたことになる。

業種にもよるが、新卒は基本的に戦力にならない。
肉体労働の比率が高い業種で有れば、そこそこ戦力になるだろう。
しかし、頭脳労働の比率が高い業種の場合、数年間は十分な戦力にならない。
本来であれば、給与をもらうどころか、仕事を教わるための費用を会社へ支払う必要があるのかもしれない。
だが、現実にそんなことは起こらない。
つまり、新卒の給与には、会社の未来への投資分が含まれている。
そして、その給与で生活が成り立つということになる。

ところが、これが最近は上手く行かない。
新卒が会社に定着しない傾向がある。
逆に言えば、昔は誰も会社を辞めなかった。
だから成り立っていただけというのが現実だ。

――― 新卒に生活が成り立つ給与を与えること。

これは、経営者にとって義務に近い。
これを実現できないのであれば、新卒を募集してはいけないと思う。

あと、できれば新卒の人には、無茶をしてもらいたい。
一刻も早く、自分が所属する会社の利益に貢献できるようになってあげて欲しい。
新卒の給与は、先輩たちが稼いだ利益の裾分けだ。

経営者と給与

多くの経営者は、自社で働くスタッフへ少しでも多くの給与をつけたいと考えている。
これは、本当だ。
しかし、会社で働くスタッフの給与は、経営者に依存する。
特に中小企業は、その影響を大きく受ける。

まず、会社の成績。
同じ業種、同じ規模の会社でも、成績は全く違う。
そして、成績の良い会社は給与が高くなる。
つまり、同じ仕事をしていても、給与が変わる可能性がある。

ちなみに、私の経験上、給与は利益率に比例する。
大きな会社は一般的に利益率が高く、給与も高い。
しかし、小さな会社でも利益率が高い会社の給与は良かったりする。

例えば、売上総利益(人件費を含まない)を従業員数で割った値。
この値が500万以下であれば、赤信号。
1000万以下であれば、黄信号。
2000万以上あれば、給与は夢に溢れるものになる。

経営者の考え方によっても給与額は変わる。
例えば、他の同業社よりも高く設定するという考え方を持った人がいる。
本人の実力や成果に応じて給与額を決定するのがフェアだと思っている人もいる。
退職を阻止する最低限の金額が良いと考えている人もいる。
本当に様々だ。

どこかの会社へ勤める人は、この現実を知っておくことが重要だと思う。
職場を選ぶ時は、可能な限り、この2つの基準を冷静に分析した方が良い。

どれだけ職場の空気が良くても、成績が悪い会社では給与に夢が無い。
どれだけ成績が良い会社でも、経営者の考え方一つで給与への夢は消える。

逆に、経営者は、少しでもスタッフに良い給与をつけられるように必死になるべきだ。
「ユメクイ」も「やりがい搾取」も今時は流行らない。
夢を語るだけでなく、現実の経済社会の中で数値を出すべきだ。

――― まぁこんなもん(給与)でいいだろ。

そう思った報いは、後から現れる。

幸福感の高いスタッフに囲まれれば
きっと経営者も幸福感に包まれる。
そんな自己満足と青い理想論を持っていても罰は当たらないはずだ。


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