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経営者のワークバランス

経営者は、仕事とプライベートのバランスをとるのが難しい。
私自身も、未だにバランスに迷う毎日だ。
残念ながら、仕事にバランスが偏り過ぎて、離婚にまで発展する人も多い。
プライベートに偏り過ぎて、廃業に追い込まれる人もいる。
今回は、経営者のワークバランスについて書き綴っていく。


仕事と家族のどちらが大切か?

恐ろしいことに仕事とプライベートのバランスは、仕事と家族のバランスにほぼ直結する。

仕事が上手く行かない時期が続くと、フィジカル面(金)、メンタル面、共にダメージが蓄積されていく。
そして、どうしても家庭にも不穏な空気が流れてしまう。

私の経験上、経営者の離婚の原因は「不倫」を除けば、会社が経営難であることが圧倒的に多い。
今から経営をはじめる人は、この現実を知っておいた方が良い。

「仕事と家族のどちらが大切か?」
と聞かれたら「家族」と即答する人が殆どだと思う。
しかし、どちらか片方のみを選ぶことは難しく、関連性が極めて強い。

金と時間のバランス

仕事とプライベートのバランス関係に最も関わってくるのが「金と時間」だと思う。

例えば、開業当初は殆どの経営者が金がない。
最も自由に振りかざせる資本は、時間だ。
これを金を生み出すことに使わないと、仕事が上手く行かない。
また、金が足りないプライベート生活もストレスの原因になる。

つまり、開業当初は「バランスを選ぶことができない」ということになる。
今から経営をはじめる人は、覚悟をしておいた方が良い。
事前に家族から理解を得ることが重要だと思う。

ある程度の金を生み出すことができるようになっても、まだまだバランスをとるのは難しい。
ある程度は「安定して金を生み出す体制」を整えないと、プライベートの時間をとることに恐怖心が残る。

ある程度の金を安定的な体制で生み出すことができるようになった。
ここが、金と時間のバランスを自分の意志で調整できるスタート地点だ。
ここからは、金を選ぶのも良いし、時間を選ぶのも良い。

ここまでの道のりは「可能な限り早く到達」した方が良い。
ここに来るまでの時間が長いと、プライベートが犠牲になることが多い。
事前に家族の理解を得たとしても、永遠に許されるとは思わない方が良い。
残酷な話だが、今から経営をはじめる人は「あきらめるまでの期間」をあらかじめ定めて、家族に宣言をした方が良い。
(私の経験上、リミットは3年程度)

どちらか片方を優先する時期

金と時間のバランスをとれるようになったとする。
しかし、これは「一時的なもの」だと思った方が良い。

問題が起きるのは、金を生み出す体制の安定性が崩れた時。
その時は、再び仕事に時間を全投入する必要がある。
このタイミングで、プライベートの時間を優先することは実質的に不可能だ。
(普通の感覚の経営者なら)

このようなタイミングは、周期的に起きる。
仮に、仕事に時間を全投入し続けたとしても、金を生み出す体制が崩れることもある。
殆どの会社、経営者は、周期的に仕事に時間を全投入することを余儀なくされる。

そうなって来ると、プライベートにしっかりと時間をとれる時に、意図的に時間をとっておくことが重要になる。
少なくとも、仕事に時間を全投入せざるをえないタイミングでは、選択肢はない。

安定的にプライベートの時間をとるためには、会社を常に安定した状態にしなければいけない。
もしくは、会社が安定した状態の周期を長くするしかない。
そして、そのためには、かなりの時間を仕事に投入する必要がある。

――― これが、多くの経営者が抱える葛藤だ。

経営者がワークバランスをとるのは難しい。
多くの経営者がワークバランスの良い経営者を見て憧れるのは、それが難しいことだからこそ。

ワークバランスを安定させる方法

まず、大きなリスクを抱えて事業を拡大する中では、ワークバランスは安定しない。
意図的に事業拡大を狙う場合は、それも承知の上だろう。
しかし、自転車操業的なビジネスモデルを扱うと、ワークバランスを安定させることは難しい。
このようなビジネスモデルは、事業の拡大を前提で成り立つことが多いからだ。

社内外問わず、仕事で関わる人とは、良好な関係を築くことも重要だ。
安定した経営は、安定した人間関係がもたらす。
逆に、突然キーマンが去ると、一気に安定性が崩れることがある。

リスクを分散することも重要だ。
社内で言えば、特定の人しかできない仕事を減らす。
外注先は、余裕をもって開拓しておく。
顧客は、常に新規開拓をして、売上を可能な限り分散する。
複数の事業を持って、収益源自体を分散させるのも良い。

情報の共有も重要になる。
言うまでもなく、顧客情報や取引の履歴は可能な限り詳細に記録しておく。
社内の業務ノウハウを視覚化して保存しておく。
外注先の特徴、評価、取引の履歴、できれば納品された成果物も記録しておく。
それらの情報を既定のルールで一定の場所へ置き、共有する。

経営には「攻め」と「守り」がある。
この2つのバランスを普段から考えておくことも重要だ。
どちらかに偏りがあると、逆側の担当に負荷が掛かり、事業が安定しない。
攻めに寄り過ぎると、気づいたら自転車操業状態に陥ることがある。
守りに寄り過ぎると、売上が足らないという事態に陥ることがある。

――― 結論、ワークバランスの自由は、能力に依存する

家族を崩壊させない。
自分の時間を大切にする。
そのために、経営者は日々是精進だ。


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