ジャニーズ性加害問題と児童相談所
現在、世間を賑わしてるジャニー喜多川氏による、ジュニアと呼ばれる当時、少年であった複数人に性加害を行っていたという件についてですが、ここでは事実関係がどうであったかは論じずに、それと並行して児童福祉の観点から考察してみたいと思います。
ジャニー氏による性加害が事実であったとしたら、これは明確に児童虐待となります。2000年5月12日に施行された「児童虐待防止法」には児童に対する虐待をこう定義されています。
ジャニー氏が行った事はこれの2に該当すると思われます。そしてこうした児童の話を見聞きしたり、行っている事が事実だと認識したのなら
2007年1月23日に改正された、子ども虐待対応の手引きでは
つまり、厚労省としては平成16年(2004年)には児童虐待防止法の改正をして、通告の対象が「児童虐待を受けた児童」から「児童虐待を受けたと思われる児童」に拡大し、一般の人の目から見れば主観的に児童虐待があったと思うであろうという場合であれば、通告義務が生じることとなり、児童虐待の防止に資することを期待していたと。
では、実際に当時の業界ではどうであったのか?X(旧ツイッター)にはこうした発言が出てきています。
https://x.com/maki1202020/status/1700580417412432320?s=20
https://x.com/Yuki_Mats/status/1700781619806920948?s=20
怖いからという保身で通報をしなかったと?
れいわ新選組代表の山本太郎氏は芸能界の中では当たり前の話として取り扱われてきました。と、発言しています。
上沼恵美子氏、山本太郎氏が知っていたという話が噂の範疇なのか、実際に被害にあっていた人物から聞いた話なのかはわかりません。時期も相当前のものなのか、現在被害当事者といわれる人達の話してる時期のものなのかもわかりません。
しかし、このジャニー氏による性加害について文春が報じたのは1999年。当事者の一人が自身が中学生の頃に受けた時が1998年と証言しています。
そして、その前年に当時の厚生省児童家庭局長通知「平成9年(1997年)6月20日児発434号」にて「児童虐待等に関する児童福祉法の適切な運用について」が各都道府県知事、指定都市市長あてに出されています。
これによると「近年、児童や家庭を取り巻く環境の変化等に伴い、児童相談所への虐待相談件数が急増するなど児童虐待が指摘されている。言うまでもなく、児童虐待は人格形成期にある児童の心身に重大な影響を与えるものであって、児童福祉の観点から看過しがたいものであり、迅速かつ適切な手続きによる積極的な対応が求められているところである。」とあります。当時、既に児童虐待は社会問題化していたという事が明らかであり、厚生省は平成(1989年)に入ってから「児童虐待」キャンペーンをメディアを通じて効果的に張っていた事実があります。そしてこの通知から2年後、この434号通知をプロトタイプとし、児童虐待防止法が施行されます。
通知の中には要保護児童発見者の通告義務(法第二五条関係)について、
勿論、こうした通報義務を全ての国民が関心を持って理解していたとは思わないですが、少なくとも当時のこうした状況を踏まえるとメディア関係者は文春記事を見て、自分達が聞いてきた噂が本当ではないのか?と危機感を持っても良かったのではと思います。
それに当時、ジャニーズに入ったきっかけで本人達がよく言っていたのは「お母さんが応募して。」「お姉ちゃんが・・・」「近所のおばさんが・・」というものが多かったと思います。10代の年端もいかない少年達が親や兄弟、姉妹に被害について誰も何も言わなかったのでしょうか。そしてその親から警察や児相に通報も一件もなかったのでしょうか?
当時の厚生省は児童虐待を喫緊の課題として児童虐待防止法制定に強く動いていた時期でありながら、ジャニー喜多川氏による性加害の疑いに目を向けなかった事、当時の児相に一件も通報事案が無かったとしたら、一体どういう事が起きていたのでしょうか?噂はどこまで本当の事であったのでしょう。
ジャニーズ問題から児童虐待防止法と成り立ちの歴史を振り返ってみました。既に加害者とされるジャニー氏は故人であり、文春との民事訴訟は文春側の敗訴で終わっています。民事で有罪という人が少なからずいますが、民事訴訟は犯罪を認定する場ではありません。認定という言葉に騙される事なく、裁判の判決文は読むべきです。現在に至るまで、刑事訴追は一件もされてません。
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