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ミュージシャンのためのWEBマーケティング講座【基礎】

広告業界でマーケティングの仕事をしている私から
素晴らしい作品を作っているのに、
上手に広報できていない人たち(例ミュージシャン)に向けて
知っておいてもらいたいWEBマーケティングのコツと基本的な考え方を
簡単にまとめました。

例として音楽活動をしている人向けに書きますが
お店のアカウント運用や、音楽に限らない創作活動をしている人にも
考え方、見せ方、留意点の参考にはなると思います。

結局のところ、
「強み」を「一目見てわかる」形に(アプリ内で完結)
拡散されやすい形を意識して(引用しやすい動機を与える)
公式が投下していく必要があるという話です。

当たり前のことを書いている箇所も多いのですが
どこか参考になりましたら幸いです。

◆認知施策、新規施策、既存施策を分けて考える

例えばTwitterで、フォロワーに向かって「ライブ告知」したとします。

「明日はライブです。ここでやります。出番は20時です」

これを情報として必要としているのは、
「ライブに行こうかな?」と考えているファンのみです。


「どこで何時からやるんだっけ?」
「ライブハウスの地図が見たい」
「対バン誰が出るの?」
などを知りたくなったら、あなたの告知ツイートを見るためにTwitterを開きます。

例えばフォロワーが1000人いたとして、
ライブに来る見込み客50人と仮定します。
*ライブに足を運んでくれる意欲のあるファン=既存客(ファン) と定義します。

それ以外の950人のフォロワーには、「ライブ告知」は直接の情報として作用しません。
「活動してるんだね」
「元気そうでよかった」
「タイミングあったら行こうかな?」など
*ライブに行く予定はないけれど、存在を認知しており興味はある客=新規客 と定義します。

*そしてあなたをフォローしていない、あなたの活動を知らない、存在を知らない人へまず認知してもらうこと=認知施策 と呼びます。

◆認知施策

① ターゲットを想定する

存在を知らない人にとにかく認知してもらえればいい!
みんなが知っているほど知名度があれば売れる!

企業とか商品とか、そういった「誰にでも関係がある」ものならそれでいいですが

受け取り手を選ぶ音楽とか芸術とかであるならば、
「受け取り手の素質が必要=素質のある客層を狙っていく」
のが効率がいい方法
になります。

渋谷の駅前で老若男女問わずチラシを配るよりも、
同じジャンルのバンドの出るロックイベントに参加して
対バン相手の客を奪う方が見込み確率が高いという話です。
(当たり前な話ですが、大事なことなので、最初に書いておきます。)

なので、「認知させるターゲットを想定」する必要があります。

これは、同ジャンルのバンドの対バンをすると、
「こっちもいいかも」と好みが似ている他バンドのファンが
ついでに好きになってくれやすい、という点で、
一般的によく実行されている施策でもあります。

※個人的には音楽性で縛るよりも、ツボが似ているファンがついている対バン相手を選ぶべきでは?とも思います。
ギターソロのファンが多いとか。歌詞の言葉が刺さりやすいとか。昭和歌謡っぽさがあるとか。振付が激しいとか。
ライブを見る動機のツボが似ている対バン相手を狙ったほうがいいと思います。音楽性とかジャンルよりも。
客は暴れたいのか? 萌えたいのか? 面白がりたいのか? 踊りたいのか? 集中して聴きたいのか? 演奏をガン見したいのか? という話。
やる側がロックなのか、ラップなのか、弾き語りなのか? よりも
客が「何が見たいか」が共通しているほうがいいと思います。
これは個人的な意見ですけど。
(PAを考えると同系統の音楽じゃないと大変なんだろうなってのも思いますが。)

一般的に行われている認知施策として

・ライブハウスで対バン相手のお客(実際に演奏を見せられるチャンスがある)に好きになってもらう
・ネット上でRTなど、横展開(同タイプの未認知ユーザーが見込める)を狙う

が二軸としてあるかなと思います。

ここで注意するべきことが、上記の「ライブ告知」「新曲発売」についてファンにRTを頼んでも、認知施策としてはあまり有効でないという点です。

前述のとおり、「ライブ告知」「新曲発売」は、見る気のない他人にとっては「自分に関係のない情報=ただのノイズ」でしかありません。

なので、流れてきたからと言って目を止める理由がない場合がほとんどです。
まれに「一度見たかったんだ、ライブ行こうかな」という客は現れますが、当てにしないほうがいい数字でしょう。

② 既存客(ファン)に何をRTしてもらうか?

その答えは
ファンが「私の推しとして友達に知ってほしい」と思いやすい(魅力が理解しやすい)動画 です。

YoutubeのURLの貼付けはNGです。
NGじゃないけど、わざわざリンクを踏んでアプリを遷移して、
知らないバンドの曲を見に行くほどたいていの人は暇じゃないし、
そもそもアプリ遷移してまで見に行く理由がありません。

ただ、TwitterのTLで流れてきたかわいい猫の動画は、軽い気持ちで再生されます。
それはなぜかというと、
「Twitterの中で完結しているから(アプリを切り替える手間がないから)」
です。
なので、一定数のフォロワー(1000人程度)がいる前提で話をすれば
URL貼付けをやめて、動画投稿にするだけで、
「流れてきて暇だから見る」
という客を大量に見込むことができます。

そして動画投稿の「再生のハードルの低さ」は、
ファンの横展開のしやすさにもつながります。

・メロディーの強い曲のサビ
・歌詞にインパクトがあり、共感しやすいなど、引用したくなる部分
・映像として面白い部分

など、「フックのある個所」を2分20秒以下に切り抜いて、
公式から動画投稿すれば、
「この曲好き」
「ここの歌詞がやばい」
「共感できるから聴いて」
「私の推しかわいいから見て」
などファンが友人に拡散する動機・理由を与えることができます。

この時、「歌詞が初見で聞き取れない(意味が理解されない)」ことを見越して、動画投稿の際にテキストで添えると良いです。
動画の画面内にあるとベストです。

当然ながら、「横展開させやすい分かりやすさ(インパクトの強さ)」は
バズりやすさに直結
します。
バズりを狙う場合も、地道に上記をやってたら、
フォロワー数の多いアカウントにRTされた時に、バズりに至ります。

※再生されやすい動画投稿は、mp4ファイルを手元に持っている本人
(公式)にしか不可能なので
 可能な場合、公式は絶対やったほうがいい施策です。

③ 動画投稿の後、何をするべきか

何をするべきか? というと、
「動画投稿の2分20秒」を見終わって興味を持った客が
「フルバージョンの曲聴きたいんだけどどこ?」と思うことを想定して
「フルバージョンはこちら」とYoutubeのURLを動画投稿の返信に貼ることです。
まずは。

※別ツイートにしないと、YoutubeURLのサムネイルが表示されないで
文字列になってしまう(気付かれにくくなる)ので、
別ツイートにするべき。

・投稿した動画を再生し、興味を持ってくれた客に、
Youtube(遷移するべき場所)への導線を示すこと。

これが一番大事なことになります。

※前提として、Youtubeには、最低数曲のMVがあるべきなので、
 ない場合にはそちらを先に準備したほうがいいです。

「撮影とか手間がかかる」と言うなら、「ライブの録画」でも「アコギ弾き語り撮って出し」でも「映像なしの黒背景に歌詞のみ」でも「CDジャケットの試聴用動画」でも、受け皿として存在しないよりはましです。

興味を持って流入してくれた人に、
「存在を覚えさせる=認知させる」インパクトを与えられるのがベスト。
そうなると、未認知ユーザーが新規客にランクアップします。(おそらくTwitterもフォローされます)

存在を認知し、Youtubeを一通り見て、曲を気に入ったら、
ライブにも足を運ぶ動機ができて、既存=ファンと見ていいと思います。

④ 横展開させやすくするために

再生/横展開させやすい形(動画投稿)を公式が投下 すべきという話をしました。

他に何ができるか? 何をするべきか? と考えると
「Twitterは、関連性のないユーザーの表示を自動でミュートする仕組み」
であることを踏まえて考えたほうがいいと思います。

関連性のないユーザー=フォロワーであるが、何か月も相手の投稿を「詳細表示」「動画再生」「リンク先に遷移」「いいね」「RT」などの反応をしていないユーザー だと思ってください。

なので、フォロワーが1000人いたとしても、あなたの投稿はフォロワー全員に届くことは多分ないです。
あなたに興味を持っている人にだけ、表示されていると認識したほうがいいでしょう。
これを踏まえてツイート下部の「ツイートアクティビティ」を参照しましょう。
「Impression」が他人のTLに表示され、他人の目に触れた回数となります。

認知施策=Impressionを上げやすくする/上げていくための施策 
と理解してもらってOKです。

そして同時に、フォロワーの関連性を下げないために、
「詳細表示されやすい投稿(画像だったり)」を意識して
日常的な投稿をしていくといいと思います。
動画再生はフォロワーの関連性を下げさせないためにも有効である点、添えておきます。

◆新規施策

新規客とは? という疑問を持っているかもしれません。
存在を知っていて、Twitterをフォローするくらいには興味があるのに、ライブには来ない客。

新規客を既存客(ファン)に転化させることを、新規施策では考えます。

① 新規客は、なぜファンではないのか?

その答えはざっくり言うと
「『認知』『興味』の段階で認識がストップしているから」となります。

例えば、ライブの対バンで見かけて気になって名前を覚えたとします。
それでも本命ほどの愛情を注ぐほどではなかったとします。
そうなると「ライブ見たことある」「ちょっといいよね」「本命と対バン被ったら見たい」という、優先度の低い客を獲得した状況になります。
これらを新規客と呼びます。

活動が長くなると、自然と認知度は上がるので、
新規客が増えやすくはなっていくと思います。
でもそこで新規客がファンにならないなら、
何か原因があると思ったほうがいいと思います。

仮説① 代表曲のインパクトが強すぎて、「あの曲の人ね」というイメージが固定化することにより、それ以上の興味を持つ必要がないと思われているパターン。

ライブで盛り上がる強い曲を、代表曲にしてしまって、対バン時に毎回それを用いると起こりやすい状況だと思います。
有名なバンドの代表曲が1曲しか知られていないなども、これと同じ状況です。

仮説② 「友人の好きなバンド」として存在を知っているが、それ以上の興味はない状況

仮説③ 対バンで見て気になったが、「ちょっといいな」と思ってそのまま忘れたパターン

新規客が新規客止まりである理由として、想定される状況をざっくりと仮説①②③とまとめてみました。

で、①②③に共通して言えることは
「存在を認知しているが、『not for me』だと判断されている」
「魅力が届いていない」

点が挙げられると思います。

それを解決するには、どうしたらいいか?というと、以下になるかなと。

・「こんな曲もあるんだ?」という驚きを与えること(曲の魅力を伝える)
・「(歌詞で)いいこと言うじゃん」という共感を与えること(歌詞に共感させる)
・「こんな面があるんだ?」というインパクトで再び興味を持たせること(一度固まっていた認識を覆す)

共感は、最も確実で手っ取り早い「not for me」状況の解消法方法です。
共感=自分に関係がある という認識が生まれるので、信頼性が上がり興味を持つ理由になります。
一番大切なのは「何を言ってるのか」を理解させる点です。

なので、共感しやすい部分(例えば歌詞)を、見せていくこと。
聞き取れない場合理解されないので、文字で歌詞を見せること。
もっと言えば、そこを目的に切り抜いた動画投稿が、最も手っ取り早い方法と言えます。

・共感させやすい部分(MV動画、歌詞、日常投稿でも可)を、フォロワーに見せていく
・意外性のある曲、動画、シーン、ソロなどの見せ場になる強みを片っ端から動画で投下
・フックのある個所を、そこにクローズアップする形で動画で投下

② 興味を持った新規客を、ファンに誘導する

「何かに興味を持った人」は、何の行動をするでしょうか?
答えは、「情報を得るための検索」です。

例えば「あの曲の歌詞、何て言ってるんだろう?」と思ったファンは
「バンド名 曲名 歌詞」でググります。
そうすると、歌詞サイトで歌詞が読めて、理解が深まる(目的達成)となります。

ここで大切なのは、「知りたい」と思った情報に、
「公式が答えを用意しているか?」です。


例えば、

「この曲は、どのCDに入ってるの?」→ディスコグラフィー、過去作紹介
「この曲の歌詞を読みたい」→歌詞サイトへの登録、なければサイト内ブログ内に記載
「次はいつライブする?」 →告知をSNSに限らずサイト内でもしているか
「この曲のMV、Youtubeにある?」→ライブでやる程度の代表曲は映像なくてもYoutubeで聴けるようにしてあると良

などのユーザーニーズにあなたのサイトは答えられていますか?

検索して、その答えが用意されていなかった場合、がっかりして興味を失う=関心度が下がる と思っていいと思います。

「物理的にライブに行ってCDを買って歌詞カードを読まなければ、曲の意味が分からない」という状況では、興味を持っても、そこに至る前に興味を失って離脱してしまう新規客が多く見込まれますので非常にもったいない状況です。

想定されるユーザー行動に対して、必要とされる答えを準備しておくことが必要となります。

検索窓の中に「バンド名 ○○」などと候補が上がることがありますが、
それはユーザーが多くその単語で検索をかけているため候補として上がっている状況です。
(これを関連キーワード、検索窓に記載された単語をクエリと呼びます。)

除外されるワードが上がる場合もありますが、
「○○」の部分には答えを用意しておくと、
期待に応えられる場合も多いと認識すると良いと思います。

☆公式サイトを検索で優先的に表示させたい

GoogleやYahooでの検索に対する表示順は、規則があります。
そのルールを守り、高得点である順に表示されているので、
企業サイトなどは、ルールを守り、優先的に表示させるための工夫を
サイトに凝らしています。
それは一般に「SEO(サーチ・エンジン・オプティマイゼーション)」と
呼ばれます。
検索エンジン最適化という意味です。

これ説明すると長くなるので、SEO勉強したい人は
SEOの解説サイト読むといいです。
そういうもの(SEO)が存在すると認識してください。
例えばこんな。

◆既存施策

やっと既存施策の話です。
既存施策は、ファンが必要とする情報を、ライブ前に投下するなどの投稿を指します。

なので、まじめに活動している場合、ここはすでにクリアしている場合が多いと思います。
逆に言えば、まじめにやっていても、施策の大半が既存施策にとどまっている場合が多く、大変もったいない状況のことも多いです。

・新曲発売告知
・ライブ告知
・ライブの予約のREMIND
・ライブのお礼ツイート
・仲いい他バンドの人との自撮り写真
・ブログの更新
・ツイキャス他トーク配信

など、これら全部既存施策です。
ファン以外には届いておらず、これらが横展開をする可能性もほぼないと思います。

ただ、これらを手厚くすることで、
ファンのロイヤリティー(忠誠度)は上がります。
既存の人に忘れられないために、既存施策が手厚い人は、
たとえ活動が多少止まっていてもファンが離れにくいと思います。

単純接触回数の多さ=好感度の上がりやすさ というデータもあります。
(単純接触効果/ザイオンス効果)
詳しくはこことか読んでください。

回数と間隔に注意しないと、マイナスに働く場合もあるので要注意です。



ざっくり気になっていた点をまとめました。
参考になる点があれば幸いです。

あと、気になってる点、ついでに一気に書いておきます。

・大学生とか若い世代の人は、CD聴くための機械を持っていない場合が多い。
・パソコン持っていたとしても、CDドライブ付いているような大きくて重たい機種えらばずに、持ち運びしやすい軽量PCを選ぶ傾向が強い。
→だからCD読み込みをせずに音楽が聴けるサブスクが主流になっている

・サブスク登録は、自分で申請出せば可能 やれるならやるべき
・サブスクへのリンクを張っても、会員以外は視聴できない場合離脱するので、ワンクッションとして同曲を試聴のために動画投稿してからサブスクへの誘導をするべき
・コロナで通勤しなくなってから、イヤホンで外出時に音楽聴くことがめっきり減った体感。

・サブスクと並んで音楽を聴く主流となっているのがYoutube
・ライブで頻繁にやるくらいの定番曲は、Youtubeで聴けるようにしておいてほしい
・トーク配信とかやるなら別チャンネル立ててやらないと、せっかくのMVが埋もれる
・既存曲は全部Youtubeで聴けるようにしていいくらい(広告配信で稼げ)
・Youtubeのコメント欄に書くべきは、普遍的な(放置しても古くならない)告知内容。公式サイトへのリンクとか。
 あと歌詞書くのも正解。

・ライブに来たことのない新規に向けて、ライブのたびに短いライブ映像の動画投稿するのは有効。もっと見たいと思わせられたら、ライブに足を運ぶ動機付けになる。

・情報量の多い曲だけ動画で投下されても、歌詞聞き取れないと意味わかんないので、真顔で聴いてもすべて忘れます。歌詞ください。

概ね、この記事、
「強みを動画投稿すべき」「歌詞読ませろ」
「興味を惹いたら受け皿を用意して誘導しろ」以外のこと書いてないですが、参考になれば幸いです。

あと気にするべきは、ターゲットの生活環境の前提です。
生活の中にCDを聴く習慣があるか?
ないなら、その生活スタイルの中に存在させる手段を模索するべき。

「拡散してね」と頼まれたから拡散するよりも、
「面白い」「人に見せたい」と思って自発的に拡散するほうが
その意図は、初見の人に伝わります。

気にするべきは「行動する動機の有無」です。
ないなら、動機になるきっかけを与えてあげれば、自発的に動きます。

興味を持ったら次に何をするか?
その時に見せるべき情報は用意してあるか?
そういうことを考えていけば、
興味を持った人を逃さずファンに誘導できる導線が作れるんじゃないかと思います。

Twitterでなくても、インスタでもストーリーズでも、TikTokでもいいんですけど、横展開しやすいのはTwitterなので、施策として優先すべきはTwitterです。

インスタ投稿するならは#付けといたほうがいいですよ、そこで横移動が発生するから。

Youtubeは受け皿として充実させとくと、いざバズった時に、新規からの離脱を最小限に抑えて、多数のファン獲得に繋げられると思います。

そして、バズりやすいコンテンツの話をすると
「強みA×強みB」の2つの要素のかけ合わせを考えることがお薦めです。

孤独のグルメは「キャラクター×グルメ情報」とか
ブラタモリは「キャラクター×街歩き/歴史」とか
キャラクターを立てると、もう片方の要素をついでに見る動機になります。
なので、認知施策を手っ取り早くやる方法は、キャラクターを立てることかもしれません。
売れ方は音楽じゃなくてタレントになっちゃうかもしれませんが。

すごく参考になったのでこちら、引用させていただきます


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