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AI市場に今何が起こっているのか

最近、AI銘柄が停滞している。半導体ETFのSOXXはNVDAが大陰線をつけた3/8以来9日営業日のうち7日は下げ。AMDもAVGOも50日移動平均線まで下げた。これは健全なガス抜きなのかトレンドの変化なのか?気になるのはNVDAの牙城を崩すと話題のGroq。AAPLやSMCIの動向も気になる。今日はAI関連の話。

半導体といっても一括りで言えるものではない。SOXXに入っている企業の中でもAIに関係する半導体会社は実は少数。車や電化製品の半導体を作る会社もあるし、半導体といってもメモリーも半導体だし、イメージセンサーも半導体だし、マイコンやジャイロセンサーなどなど、色々ある。

AIに関連するのは計算や制御を行ういわゆる「頭脳」の部分を司るCPUやGPU。特にAIやマシーンラーニングに必要なのはGPU。そのGPUの王様がNVDA。つまりAIブームのど真ん中にいるのはNVDAだけで、それ以外の半導体会社はAIは全く関係ないか、あってもサイドビジネスだ。

AIに関連すると思われているAMDやAVGOでさえ、AI関連の売り上げは全体の1割から2割。そしてAI以外の半導体売り上げはあまり成長が見込めない。だからAVGOは先週の決算でのガイダンスが弱く、株は下げた。

AI関連と聞けば猫も杓子も上げる相場はひとまず終わったのか、あるいはひとまず休憩か。

でも今日IPOしたAstera Labs (ALAB)はA I関連との認識で上場初日に72%も上げたのでAI熱はまだ冷めていないのかもしれない。

とにかくこれからは実際に各企業の売り上げがどれだけAIの恩恵に預かれるかをしっかりと見極める必要があると私は思う。

GroqはNVDAキラー?

そこで気になるのがNVDAキラーになり得ると話題のGroq。これはイーロンが作ったAI会社Grokと名前が似ているので混乱しがちだけど、全く別の会社で上場はしていない。

Groqは実は半導体の会社。数週間前のライブ配信でNVDAの牙城を崩すものが出てくるとしたらAMDのGPUとかじゃなくて全く別のものだと思う、と話をした。その時例に出したのがビットコインのマイニング。

NVDAのGPUは一時、ビットコインのマイニングに使われ、株価もそれですごく伸びた。でもマイニングの需要はすぐにASIC(Application Specific Integrated Circuit)、つまりマイニングに特化した、カスタマイズされた半導体にとってかわられ、株価が下げた、という過去があるのだ。

そのASICになり得るのがGroqのチップかもしれないのだ。

Groqは独自の構造のチップ、LPU(Livermore Procedure Unit)を作り売っている。LPUの説明はGroqに書いてもらった。

GPUと同様に、LPUは並列処理を実行するための特定の種類の数学的操作を実行するタイプのプロセッサです。GPUはグラフィックスおよびイメージ処理ワークロードに最適化されており、小規模な処理コアで構成されており、並列に多数の命令を実行できます。GPUは、多くの小規模で独立した操作に分解できるタスクに適しています。

一方、LPUはTensor Processing Unit(TPU)であり、Tensor操作に最適化されています。Tensor操作は、人工知能(AI)および機械学習(ML)アルゴリズムで一般的に使用される数学的操作です。LPUは、データセンターやその他のハイパフォーマンスコンピューティング環境で使用するために最適化されています。

この意味で、LPUはGPUと似ていると考えることができますが、並列処理を実行するための特定の種類の数学的操作を実行するタイプのプロセッサです。しかし、LPUはGPUとは異なる点があり、AIおよびMLアプリケーションに特化しています。

そう、なぜGroqが話題になっているかというと、GroqのLPUを使ったチャットボットが今無料で一般公開されているからなのだ(リンクはリプ欄に貼っておくので試してみて)。

そのチャットボットを使ってこのLPUの説明を書いてもらった。英語でGroqに書いてもらったものをGroqに日本語に直してもらったのでちょっと読みにくいけど、意味は伝わると思う。

私はOpenAIに毎月$20課金しているんだけど、ちょっと使ってみた感じ、GroqはOpenAIの課金バージョンに引けを取らないようだ。Pythonのプログラミングも先週のSuper Meetingで検証したところ全く問題なかった。

Groqは半導体会社でLLMは作っていないので、GroqのチャットボットはGoogle のGemma、METAのLlama、あるいはMistral AI's Mistralが選べる。


私はMistralを使ってみた。ちょっと一回だけハルシネイションを起こしたけど、かなり使える。そしてとにかく速い。私の感覚では、Open AIの返事が約5秒かかるところがGroqは1秒で出てくる感じ。

その差がLPUの実力らしい。OpenAIはMicrosoft AzulでNVDAのGPUを使ってるはずだから、これはNVDAまずいのでは?となる。

特に今後、AI同時通訳、電話オペレーターのAI化などの需要を考えると、5秒の遅れはかなりかなりまずいし、動画生成などの需要でもスピードはかなり重要になる。

でも中島聡さんのメルマガに載っていた記事によると、このパフォーマンスを達成するためには非常にたくさんのGroq LPUを使う必要があり、スピードは早くてもコストがかかり過ぎるのでGroqが今すぐにNVDAキラーになることはないらしい。

私はもうちょっとGroqを使ってみて良さそうならOpenAIをキャンセルするかもしれない。とにかく、今後AI関連の投資をするにあたり、こうした1次情報が非常に大事だと思う。

もしMistralやLlamaのLLMがChatGPTと同じパフォーマンスを出せるなら、MSFTやばい、ということになりる。

AAPLがGOOGLと提携?

その他、今週はAAPLがGOOGLと提携をする(らしい)とのニュースもあった。私的にはこれはAAPLは独自のLLMを作るのを諦めた、と言えるのでがっかりした。AAPLにはAAPLにしか作れないAIボットを作って欲しかった。

そして提携相手にGOOGLを選んだ所にAAPLのサービス売り上げの危うさを感じた。AAPLはiPhoneのサーチエンジンにGoogleを使うことでGOOGLから毎年多額のFeeを受け取っている。そのFee Incomeを今後も維持するためにGOOGLを選んだのではないかと思ってしまった。

何回も言ってるけど、AAPLは6月の開発者コンフェレンス(Developper Conference)で独自のAI戦略を明確に打ち出さないと株価は落ちると思う。でもそのたった3ヶ月前にGOOGLと提携するなんて、本当に大丈夫なの?とさらに心配になった。

SMCIの資金調達は頭がいい

今週のAI関連のもう一つのニュースはSMCIの株の追加発行。SMCIは約3%の株式を発行して$1.75billionの資金を調達した。これは$875で発行されたので株価は下げたけど、S &P500に入ったタイミングで株式を発行するのはとても頭がいい。この行動を見てSMCIにもっと興味が湧いた。もっと詳しく調べてみようと思った。

今日はFOMCもあってドットプロットの利下げコンセンサスが首の皮一枚で3回のままだったこともあり、明日は株価も上がりそう。とりあえず、この半導体調整がこれでもう終わるのかどうなのか、じっくりと観察したいと思う。

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