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【読書感想文】イギリスが舞台の3シリーズをお勧め

【ミステリといえばイギリス】という勝手な思い込みで生きてます。
こんにちは。

そんなはずもなく、アメリカでもフランスでもドイツでもいろいろな国や地域が舞台であるミステリも乱読しています。

でもコナン・ドイルやクリスティ、セイヤーズといった代表格の作家がいるせいだと思ってる。

そんな私が図書館で出会ったこの3シリーズ。
ずっと追って読み続けている。

どれも主人公(たち)が女性。

☆☆☆☆☆

第二次世界大戦間近のイギリスで、一人で生きて行こうとするアメリカ出身のヒロイン。

だが当時は女性が就ける職業は限られており、学生時代の人脈でやっと手にしたのが【チャーチル閣下の秘書】というポスト。

理系の有能な女性もタイピングを押しつけられる。
だがその素質および当人が知らない理由で、思いもよらなかった任務を遂行する事に。

当時のイギリスの様子が丁寧に描かれていて、対ドイツ&ナチスへの世論の揺れもあった事が伺い知れる。

現在の日本から振り返れば「えぇっ、そんな感じやったん!?」なのだけれど。
日本はドイツと手を組んだし、その延長線の大雑把な私の知識には全く無かった近代史を知れるのが嬉しい。

ただ、主人公やその周囲にとってはどの瞬間も苦しい選択の連続でもあった。

聡明だからこそ悩み苦しむ主人公と一緒に、どんな戦争にも(戦勝国でも敗戦国でも)犠牲者一人一人のドラマがあり悲惨と苦悩しかない事を知るシリーズ。

ぜひ!

☆☆☆☆☆

身分は高い(ヴィクトリア女王の身内)が財産は無く、兄嫁にいびられている貧乏お嬢様が主人公のシリーズ。
身分だけが高いのも大変なのね。

先に紹介したシリーズより前の時代が舞台。

大恐慌の影響が色濃く残り、超上流(王位継承順位32位)の血筋ではあるもののスイスのフィニッシングスクールが最終学歴で専門職に就ける何かは無く、家の財産は長子の男子相続のためスコットランドの土地財産は兄が相続して、兄嫁からは厄介者扱い。
かと言って、緊張すると必ず失敗してしまうのもあって内気で、当時としては婚期を逃しかけている主人公。

自立・自活を目指して、とりあえずロンドンに出てきて求職の新聞広告を出す。
だがその広告が王妃様(エリザベス女王のお祖母様、現チャールズ国王の曽祖母様)の目に留まりウインザー城に呼び出しを喰らう。

『いくらなんでもメイドはないでしょう。』と王妃様に頼まれた仕事は...。

当時のイギリスをはじめとするヨーロッパ各地や当時のイギリス植民地を舞台に、王家の表沙汰にしたくない小さな事柄を解決していくうちに、視野が広がり結婚相手にも出会い成長していくストーリー。

革命の影響で亡命してきたロシア貴族やら、現在は共和制になっている諸国の貴族や王族やらも入り乱れ、なかなか煌びやかな舞台での、内気で堅実な主人公の行動や価値観の対比が面白い。

日本では【王位を懸けた恋】とロマンティックの象徴のように言われてたように記憶してる、エリザベス女王の叔父にあたるエドワード8世が身持が悪くナチスドイツ寄りでその上に当時は許されていなかった離婚歴のあるアメリカ人女性と(離婚確定前から)ヨーロッパ中を遊び歩いていたと、この作品のようなフィクションにさえ出てくるように記録・記憶されているのだとは知らんかった。

貧乏ではあるが聡明なお嬢様の活躍を楽しんでいただきたい。

ぜひ!

☆☆☆☆☆

第二次世界大戦が終わったものの、ロンドンには空襲の跡がまだ癒えきらない頃の二人の女性が主人公のシリーズ。

一人は戦争で夫を亡くし、そのショックで精神的に不安定になったと夫の家族から無理矢理子どもの親権を奪われて、親権奪還のため自立を目指して。

もう一人は戦争中スパイとして活動していたケンブリッジ大学卒の美人だが、スパイ活動によるトラウマに苦しんでいるが生きていかなくてはならないので。

そんな二人が偶然出会い、起業したのが結婚相談所。

食べ物も着るものもまだ配給制が続いていて、闇のルートでストッキングを手に入れたり。

日本も、戦後の闇市や配給のことを親世代から聞いたりドラマで見たりするが、戦勝国だったイギリスもそうだったんだと知った。

実父が施設に入って、賃貸だった実家を処分というか返還したのだが、片付けの際大量に出てきた白砂糖。

腐るものではないにせよ一人暮らしでなんでや?だったが、闇市経験がある世代の人としてみれば『何かの時に現金代わりになる』とでも思っていたのかもしれない。

まあ、確認するつもりはないが。

☆☆☆☆☆

現代に繋がる時代のイギリスがストーリーの後ろから立ち上る3シリーズ。

ヒロインたちも魅力的で、なおかつ推理にスパイ活動を絡めてくるのはやはり007を産んだお国柄か。

どうぞ手に取って、ご一読を。

☆☆☆☆☆

ではまた。

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