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地域の人口減少は、なぜ起きるのか?

出生数、合計特殊出生率の推移

出典:『令和2年版厚生労働白書』出生数、合計特殊出生率の推移

合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの平均的な人数)
15〜49歳の女性が産んだ子どもの数を基に毎年算出。人口を維持するには2.07が必要。

図に記載されてないのですが、日本では1947〜1949年に第一次ベビーブームが起き、年間の出生数は250万人を超えて、2019年(87万人)の約3倍になります。逆にいうと70年かけて、年間の出生数が1/3になったとも言えます。

また、第一次ベビーブーム期の合計特殊出生率は4.4前後を記録して、2019年の1.36の3倍強でした(当時は子供4人いるのが当たり前という感覚。プライベートなんてあったもんじゃない)。

第二次ベビーブームにより、1971〜1974年には毎年200万人を超える出生数が見られ、合計特殊出生率も2.1を維持してましたが、75年には2を割り込み、89年にはひのえうまの年(1966年)の1.58よりも低い「1.57ショック」が起き、05年には過去最低の1.26を記録しています(05年の最低から合計特殊出生率は上昇傾向にありますが、出生数が減り続けているのは、出産する女性の人数が減少しているため)。

※人口に関しては以下の記事でも説明してます


都道府県別の人口推移(2015〜2045)

出典:『日本の地域別将来推計人口』(平成30(2018)年推計)を元に作成

表は都道府県別に2015〜2045年の30年で、人口がどのように推移されるかを示したものになります。結論からいうと、東京都以外は全て減少していきます(沖縄もほぼ現状維持)。

出典:『政府統計の総合窓口』(都道府県別にみた年次別合計特殊出生率 )を元に作成

この表は都道府県別の合計特殊出生率(1970〜2000年〜2020年)ですが、これを確認すると東京都が出生数を増やしていないことがわかります。なので、日本全体では、人口は減少していきますので、東京に人が集まると言った方がいいかもしれません。


東京都の人口増減(1964〜2020)

では、そんな東京の人口はどのように増減しているのか?
高度経済成長期の真っ只中、東京オリンピックが開催された1964年から、コロナの影響で東京オリンピックが中止された2020年(翌年開催)までの約半世紀を表したグラフになります。

出典:RESAS / 都道府県:厚生労働省「人口動態調査」、総務省「住民基本台帳人口移動報告年報」

赤色が自然増減数(死亡数と出生数の差)を表しており、 これが0より上だと死亡してる人より、生まれてきてる人の方が多いということになります。

緑色が社会増減数(流出数と流入数の差)を表しており、これが0より上だと出ていく人より、入ってきている人の方が多いということになります。

自然増減数を見ると、東京都は2015年から出生数より死亡数が増えているので、現在の東京都は子どもが生まれるより、死亡している人が多いことがわかります。


社会増減数を見ると、1970年以降に減り続けていた流入数が1999年から増えていますが、1970年代のマイホームブームで東京郊外に家を購入して、東京都を離れる人は増えたが、バブルがはじけた1990年代後半には豊富な働き口や高い所得、または大学などの進学のために東京都に移動した人が多いと考えられます。


東京都の社会増減(年代別)

出典:RESAS / 総務省「国勢調査」、厚生労働省「都道府県別生命表」に基づきまち・ひと・しごと創生本部作成

年代別で見ると、15〜19歳→20〜24歳になる5年間で東京都にドドっと入っていますが、これは主に進学や就職をきっかけに東京都にやってきます。

また、20〜24歳→25〜29歳になる5年間で東京都から出ていく傾向があります。これは主に大学を卒業して地元に戻る人たちが多いのですが、2000年以降、就職で地元に戻る人たちが減少傾向にあり、鮭が生まれた川に戻らないという事態になっております。


東京都の転入・転出超過(都道府県別)

出典:RESAS / 総務省「住民基本台帳人口移動報告」2020年

では、どの都道府県から東京にやってきているのか?
2020年の場合、54,444人が転入して、23,319人が転出しています。

転出している上位は愛知県(名古屋市)、大阪府(大阪府)、兵庫県(神戸市)、福岡県(福岡市)、宮城県(仙台市)と、どれも100万人を超えてる都市になります。なので、地方都市から東京都にやってくるパターンが圧倒的に多いように見られます。

また、転出先を見ると、97%が東京近郊(埼玉県、神奈川県、千葉県)になります。なので、結婚や出産を機会に、東京近郊に出ていくパターンが考えられます。


出典:RESAS / 総務省「住民基本台帳人口移動報告」2020年

ちなみに東京都への転出が一番多い愛知県の詳細を確認したところ、転入の60%以上が岐阜県や三重県などの隣の県からで、転出の75%が東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)でした。

田舎から、いきなり東京に行くより、近隣の地方都市に移住して、その後に東京に来る傾向が見られます。


まとめ

  1. 2045年(予想)までに人口が増加するのは東京都のみ

  2. 東京都も2015年以降は流入数が増えている状態

  3. 人口の流れは「田舎→地方都市→東京都」

日本の出生数、合計特殊出生率は第二次ベビーブーム以降は減り続け(つまり、子どもが増えない、生まれない)、さらに子どもが成長して進学や就職を機会に田舎から地方都市、地方都市から東京都などに人が集まる傾向があります。

この流れはそう簡単には変わらないと思いますが、都市に出ることで地元の地域に愛着を持つこともあるので、これからは子どもたちが「いかに自分の地域に愛着を持つか?」が重要だと思います。

子どもは、大人が楽しんでいれば「未来に希望」を持ち、大人が辛そうにしていれば、「未来に失望」を持つと思います。

大人が出来ることは、子どもたちに「人生を楽しんでる姿」を見せることぐらいかなと思います。

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