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【読書録105】「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」10月編

「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」(致知出版社)を毎朝読むことを日課にしているが、今回は、10月の中で特に自分のなかで気に入ったものについて取り上げる。


10月1日 勝負の神様は細部に宿る 岡田武史

 
 日本サッカー代表監督を務めた岡田さんの言葉は、本当に心に響く。自身の体験の中で考え、振り返りながら体得してきたものだからであろう。

「運」というものは誰にでも、どこにでも流れていて、それを掴むか掴み損ねるかだと。僕は掴み損ねたくないから、そのために本当にベストを尽くしてきた。

自分にできる限りの準備は全部する。そのあとの勝負の結果についてはもう分からない部分ですから。

「運」を掴むにも、準備がいる。自分にできることはすべてやるという心意気。置かれた環境を嘆かず、自分に何ができるか。

 そんな岡田監督、勝ち負けを分けるのは、ほんの小さなことだという。

僕は感覚的に八割ぐらいは「小さなこと」が勝負を分けているように思うんです。

 ちょっとしたことが運命を分ける。ちょっとしたことが運を掴み損ねることに繋がる。そう考えると、一日一日、丁寧に生きないといけないと思う。

10月2日    本当の商人の謙虚さ 矢野博丈

 
 ダイソーの創業者である矢野氏。
イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊氏が、売り上げが1兆を超える中、細かいことにまで気を使い口を出す、「そこらの酒屋のおやじ」と変わらない姿が強烈だったと言い、こういう。

本当の商人の謙虚というものは、生きるために必死になっている姿。それこそが商人の謙虚だと思いました。

「月に一度は潰れる夢を見る」という伊藤氏の話が忘れられないとも語っている。

そういう危機意識を持っている人でないと、起業などできないし、あそこまで会社を大きくできないんだろうなと思う。

10月5日 人間がかかる四つの病 高原慶一郎

 
 ユニ・チャーム会長の高原氏。

 いくら組織を整えても、やはり経営者自身が高い志を持ち続けていないと難しい

トップの「志」。これを基軸に置くという考え方には共感する。
そんな高原氏が、トップが身につけるべきという4つのスタンスをこう紹介する。

「一生勉強、一生危機感、一生青春、一生情熱」

 素晴らしい考え方である。そしてここからが素晴らしい所なのであるが、人間は頬っておくと心が病気になるとして4つの症状を紹介する。
 
「自惚れ」、「驕り」、「マンネリ」、「甘え」

失敗している経営者は必ずこの心の生活習慣病にかかっていますから、絶えず自制していかなければならないということです。

 これは、経営者のみならず、人間誰しも陥りがちな「生活習慣病」である。
絶えず、新たな事に取り組み、成長を目指すこと。大事である。

10月6日 いかに忘れるか、何を忘れるかの修養 新井正明

 
「ノモンハンで右脚をなくした」という新井氏。安岡正篤師の言葉に救われたとして紹介している。
 ドイツの諺「どうにもならないことを忘れるのは幸福だ」を受けての言葉である。

我われの人生を輝く文字で記すためには確かに忘却の黒いページを作るがよい。いかに忘れるか、何を忘れるかの修養は非常に好ましい

新井氏は、この言葉を受けて、右脚を失ったことについてどうにもならない、いくら言っても元に返らないという心境に到ったとしてこう言う。

それを忘れ去って、今日ただいまから将来を切り開いていかなきゃならないという気持ちに到達したわけです。

これで終わると、「気持ちの切り替えがうまい方だ」で終わるのかも知れないが、そうそう割り切れない。こう続く。

だけど、時にはやはり、あの時はあれがなきゃよかったということもあります。ありますが、いまから考えると、そういう体になったのは一つの宿命である、と。
安岡先生はよく運命というのは自分で切り開いていけるけれども、宿命というものがあると。私はそういう宿命を負った。そしたら、これからの自分の運命はどう開いていったらいいだろうかということです。

 私も過去のことをウジウジと考えがちである。
宿命と運命というように考えると、気持ちを切り替え、前向きにやっていけるような気がする。運命を切り開くことができるのは自分だけである。

10月7日   人間は努力する限り、迷うものだ 森本哲郎


「人間は努力するかぎり、迷うものだ」

 ゲーテの「ファウスト」の中の言葉だという。

何かを成し遂げようと思った時、迷うことなく目標に達することなど、決してあり得ません。高い目標を掲げれば掲げるほど、何かを成そうと願えば願うほど、人はあれこれ悩むものです。

ゲーテは迷いこそ生きている証拠であり、迷ったあげく目標に到達するところに人間の真実がある、と確信していたのです。

 とてもよい言葉である。
迷うこと、これは成長の証なのかもしれない。
人生迷いっぱなし。あまり悲観的に捉えず、成長の証と捉えたい。

10月19日 脳にベクトルを持つ 加藤俊徳


 医学博士で「脳の学校」代表取締役の加藤氏。脳を成長させていくにはまずは脳にベクトルを持つことが大事としてこんな事を言っている。

人間というのは、得意な脳番地でものを考えます。人生において何らかの明確な目標を持ったり、自分の得意な分野をつくりあげていくことは、そこで活性化される脳番地を中心に物事を考えることに繋がります。そしてそれがその人の思考の視点となるのです。強い目的を持ってまっしぐらに進んでいく人の脳が著しく活性化され、成功を掴むことができるのは、脳の観点からも得心できるのです。

 明確な目標があることによって、それに対応する脳番地が活性化される。
なにか燃えていることがあると、アドレナリンがでる。そんな感覚だろうか。

そして「前向き」という言葉についてこう語る。

その本当の意味は、前向きに計画を立てることです。先にやることは、できるだけ明確で、また長く継続できるものがいいでしょう。そして、そのことを通じて社会とかかわることが大事です。
社会と関わることは、脳を働かせる最も簡単な方法だというが、本当にそうなんだろう。脳に定年はないとも言っている。
社会との関わりをもつこと、不条理なことも多いが、それも脳を働かせるコツなのかな。

人間との関わり、面倒なことも多いが、人は人との関わりのなかでしか生きられないと考えると、脳もそれによって活性化されるというのは分かる。

私もこれからの社会との関わり方、生き方は、考えないといけないと思わされた。

10月22日 繁栄の法則 北川八郎


 陶芸家の北川八郎氏。物事の繁栄のためにまず大切なのは「喜びを与えること」と「感謝する」こととして、熊本地方の方言をあげてこういう。

熊本地方の方言に「モチ投ぐる(投げる)とダゴ返る」とあります。誰かにモチをあげると、あんこの入った団子になって返ってくる、つまり人に善意と好意を与え続けていると、それ以上のものになって自分に返ってくるという普遍の法則が働いてきます

「繁栄は、まず喜びを与えることから始まる」

いわゆる、先義後利の精神である。多くの人が同じようなことを言っていることからも、「普遍の法則」と言ってもいいのだろう。

儲け優先のお店には何かしら、「鋭さ」があり、お客の喜びに参加するお店には「安らぎと居心地のよさ」がある。

人間も同じだろう。「安らぎと居心地のよさ」を感じさせる人間になりたいものだ。

10月24日 人生の問題は一つ一つ解決していく 佐々木將人


 合気道本部師範の佐々木氏のお話。とても面白かった。

スポーツ記者時代に、年賀状は、書くほうは、何百枚だけど、もらうほうは一枚だと教わり、こう思ったという。

ああ、人生もそうだなと思いました。人生は、結局、今日一日の連続ですからね。それと、どんなに問題がたくさんあったとしても、一度には一つのことしかできないんだ。だから、人生は一つ一つ解決していく

一つ一つの事に集中してやっていく。とても大事だ。手を抜かなければ問題も解決できる。

生きているうちは花ですよ。問題は解決するためにあるんです。

そして、物の見方には、三つあるとして、「百年単位で見ること」「立体的、生命的に見ること」「根源的に見ること」と言う。「百年単位で見ること」についてこんな風に語る。

人間、百年経ったら白骨ですよ、だから何を残すのかということ。それから人間万事塞翁が馬ですからね、いいこともあれば、悪いこともある。だから、人間は明るくなかったら駄目なんです。暗いときは寝た方がいい。人間は明るいところで生きるんです。地球だって半分は暗いでしょう。だから、常に、どんなことがあっても明るく生きることです

人間、あるがままの中に、明るく思うこと。これだけです。明るくなかったら、これは人生じゃないですよ。暗いところを暗いままにいると人生も暗くなる。

「明るさ」、これは私にとっての指針でもある。人間は明るいところで生きる。とても好きな言葉である。

片目を失いながらも明るく生きてきた、佐々木氏ならではの言葉で締めくくる。

私の前半生はもう波乱万丈でしたけど、一つ一つ乗り越えてきた。悪いことをしたなあという気持ちもあるが、道は歩けば道になるんです。人生は出会いにして、幸不幸は巡り合わせの人の善し悪しでしょう。どんなことがあってもへこたれず、あるがままの中に明るく思って、わが道を生きていくことですね

「あるがまま」、「明るく」、「わが道を生きていく」

そんなやさしい事ではないが、それが人として楽しく、そして崇高に生きていくコツなのだろう。

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