【読書録107】致知2023年12月号「敬、怠に勝てば吉なり」感想
致知の感想をnoteに書いて、今回が27回目。ずっと続けていきたい習慣である。
本号の表紙は、とても印象的である。アーティスティックスイミングの井村コーチと乾選手。まさに「敬、怠に勝てば吉なり」を象徴するお二人である。
総リード 幸福の条件
「小学」にある言葉だという。
「敬」には、”つつしむ”の他に”真心を込めてつとめる”の意味もあると言い、続けて安岡正篤師の言葉を紹介する。
「敬」、中国古典によく出てくるが、そう解釈すると、しっくり来る。
ぐっとくる言葉である。「よき人、よき教え、よき言葉」との出会いを大切にしていきたい。そして、内省のために、よき教え、よき言葉をしっかり書き留めて、繰り返し振り返ることで自分のものにして行きたい。
そして、総リードは、永守重信氏から聞いたという、赤字会社の三つの共通項をあげる。
これは、会社だけではなく、個人にも当てはまる。
心を「敬」に向かわせる。その為の3つの秘訣と言っても良いだろう。
いかにして勝利の女神は微笑むか
アーティスティックスイミングの井村コーチと、今年の世界水泳選手権で金メダルを取った乾選手の対談記事。
アーティスティックスイミングと言えば、東京オリンピックで決勝のチケットが当たったが、残念ながら無観客開催になったという思い出がある。
井村コーチの哲学というか、考え方がやはり勉強になる。
そんな井村コーチが、乾選手の強みについてこう語る。
これは、本当に人間として伸びていく人の特徴だと思う。自分も真似したい。
「人の助言を一回試す勇気を持ちなさい」「何でも面白がってやらな」という言葉にも共感する。
そんな乾選手。井村コーチに教わったことで大切にしていることとしてこう語る。
これも素敵な考え方である。常に「自分に何ができるか」という起点で考える。そんな風にありたい。
勝利の女神が微笑んだ、乾選手の言葉で一番、重たいのが以下の言葉だ。
目標を持ち、素直な心で努力しつづけること。すごく学ばされた対談記事である。
チームづくりの要諦は人間学にあり
「致知」を活用した勉強会「木鶏会」を部活に取り入れているお二人の対談。
お一人は、夏の甲子園で優勝した慶應義塾高等学校野球部の森林貴彦監督、もう一人は、中学女子バレーボールで史上初の四連覇を成し遂げた金蘭会中学校の佐藤芳子監督。
「人間力」を高める指導をしているお二人の対談。生徒のみならず、自分自身の成長を目指す姿に共感を覚える。
女子バレーボールの佐藤監督。史上初の四連覇を目指すことに、「監督である自分の我欲ではないか」と悩み、
と語る。
そんな佐藤監督が部の理念として掲げるのが、➀「人間力の向上」と➁「強いチームの創造」である。
人間力の向上の末に優勝があるこの考え方は、お二人共通している。そしてその為に取り入れているのが、「致知」を使った木鶏会である。
致知を通じて、道徳心や自分を省みて己の全力を尽くす「自反尽己」の精神を学んでいることで、チームの問題解決にかかる時間が短縮されたという。
また生徒の視野が広くなって自分を客観視できるようになったとも言う。
これはよくわかる。己を省みることは、視野を広げることに繋がる。
森林監督も佐藤監督も、木鶏会の美点凝視というルールを通じて、お互いの距離が近づいてチームの一体感が格段に高まったという。
森林監督は、木鶏会を通じたチームの変化をこういう。
本気で何かに取り組んでいると、こういう心境になるのだろう。致知から学ぶというのは、自分事にして、行動につなげることだ。
佐藤監督もこういう。
そして、そのベースは「感謝」の心かなと思う。
森林監督は、木鶏会を続けてきた成果としてこういう。
森林監督は、慶応高校出身。大学進学の時に、プレーヤーとしての道ではなく、高校野球部の指導者の道を選ぶ。卒業後は、ビジネスマンとしての道を歩むも、面白くなく、教員免許をとり、母校の高校野球の指導者の道を目指すも、機会がなく、慶應義塾幼稚舎の体育教師になる。小学校の教員をやりながら高校の監督をするという紆余曲折を経た人生だ。
ご自身でこう言う。
勝利至上ではなく、「成長至上主義」を追求したいという森林監督。生徒に人としての成長を追求して欲しいと言い、こうつなげる。
私より1歳年上の森林監督。
致知を読んでいるとこの感覚はよくわかる。年齢は関係なく、成長を目指していく。ものすごく大切である。
致知を通じて、自分と向き合う。その大切さを改めて学ばされた対談記事であった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?