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マネーフォワード式リーダー研修のつくり方

マネーフォワード取締役執行役員、マネーフォワードビジネスカンパニー COOの竹田です。

マネーフォワードでは、”Talent Forward”「社員の可能性をもっと前へ。」をテーマに、社員の可能性を最大限に引き出すための、さまざまな施策を行っています。

今回は、その施策の一つとして実施している、 リーダー育成のための「Leadership Forward Program」について、ご紹介します。 

「Leadership Forward Program(LFP)」とは?

「Leadership Forward Program(通称LFP)」とは、グループを牽引するリーダーを目指す方の成長を後押しするために、2021年からスタートした、マネーフォワードグループのLeadership育成プログラムです。

Leadership育成プログラムをスタートした背景の一つ目は、組織が成長して仲間も増え、リーダーの担う役割や難易度、重要性が増してきたことです。

マネーフォワードの従業員数は2021年中盤で1,000名を超えましたし、事業やプロダクトの数も拡大傾向にあります。そんな中で、ビジョンの策定や戦略実行、組織づくりやエンゲージメント向上など、多岐にわたるリーダーの役割が重要になってきています。

二つ目は、組織拡大に伴い、経営者との対話・接点が減り、経営の視座や意思決定に直接触れる機会が減ってきたことです。組織が大きくなり、リーダーの数が増え、さらにリアルの場が減っている状況下において、経営者とリーダーとの距離が遠くなってきた実感があったことも、LFPを開催した背景でした。

2期目となった「Leadership Forward Program 2022」では、「経営メンバーとのディスカッション」と「参加者であるリーダー同士の対話」を重点テーマとして据え、People Forward本部を中心に、企画運営を進めています。

ご参考までに、LFP 2022の全体像は、下記の通りです。


  • 対象:マネーフォワードグループの正社員 全職種の組織をリードしている方、していきたいと考えている方

  • 選考方法:社員から自主応募を募り、意気込み等応募フォーム記載事項を鑑み、事務局・経営陣で参加メンバーを決定

  • 実施期間:6月〜10月

  • プログラム詳細:


Day3「チームビルディング」

私は、昨年に引き続き「チームビルディング」をテーマとして、Day3のセッション講師を担当しました。

タイトルは大袈裟ですが、内容は私自身の経験・・というよりも、数々の失敗から学んだことを中心に、このサブタイトルにあるような「人を活かし、共に最高のチームをつくる」という考え方に自分自身がどうやってたどり着き、実践しているのか、その道筋のようなものをまとめた形になっています。

アジェンダをちょっとだけお見せすると、こんな感じです。

ご覧のとおりの長丁場なのですが、各項で個人やチームでのワークショップも交えながらのインタラクティブスタイルになっています。

全体構成としては、下記のスライドを使って説明しました。

チームビルディングにおいて、私としては一番重要だと感じている「目標設定」からスタートし、「メンバー選び」「コミュニケーション」「エンゲージメント」「意思決定」、そして最後に「リーダーシップ」をテーマに進めていきました。

ここで、セッションの内容を少しだけご紹介したいと思います。

「1.目標設定」のセッションでは、まず

「目標設定」の目的は、「すべてのメンバーが、意義・目標を正しく理解し、それに向かって自発的に行動して成果をあげるチームになる」こと

を確認しました。

その上で、「チームは何のために存在し、どんな影響を与えてゆくべきなのか?」という投げかけをしながら、具体例として、私がマネーフォワードにジョインしてすぐの「2018年 事業推進本部のチェンジマネジメント」についてお話をしました。

ここで参加者のみなさんにお伝えしたポイントの一つは、「正しい目標設定は、その時置かれている状況や事業フェーズによって異なる」ということでした。

例えば、SaaS事業において、セールスの目標に「ACV」という指標を採用するのは一般的だと思います。また、セールスが「新規受注に最大注力する」というのも、なんら違和感のない、むしろ当たり前の話だと思います。

しかし、その目標を設定したのが、事業をスタートした時点であり、それから数年経過していても特に見直しをせず、まったく同じ目標のままだったとしたらどうなるでしょう。

当然、あらゆる状況が変化しているわけですから、各所で違和感やズレが発生したり、場合によっては最もしてはならない「顧客の期待に応えること」を蔑ろにしてしまうような状態にすらなりかねないわけです。

このような体験談をお伝えしたのち、「あなたの部署の目標と、その目標を掲げている理由」をテーマに、個人ワークやグループワークを進めていきました。

Miroを使ったワークの様子

質疑応答パートで感じた、学びの質の高さ

各セッションの最後に必ず質問を受け付ける時間を設けたのですが、この時間がとても印象的でした。

というのも、受講者の皆さんから出た質問に対して私が回答すると、その回答に対してさらに質問が積み重なってディスカッションのような様相に発展してゆくことが多々あったからです。

受講者からの質問に対して、私はその場で思考を整理して回答をする。すると、また違う視点からの質問が飛んできて、今度はこれまでの体験から応用したお話をする・・・といったイメージです。

まさに「共創」の場の中で、私自身も多くの学びを得ることができました。

ちなみに「共創」というのは、マネーフォワードの根幹にある価値観でもあります。本社オフィスのコンセプトは「Let's make it !(共に創り、実現しよう!)」です。

研修の効果というものは、その内容による影響ももちろんあると思いますが、何より大事なのは受講者の臨む姿勢だと思っています。

私自身の経験を振り返っても、日々の課題に対して常に考え続けていて、その解決のための糸口を得たい、と明確な目的を持って参加した時の得られる学びは非常に大きいものです。

そういう意味では今回の参加者はみな、さすが当社のリーダーでした。非常に前のめりな姿勢の個人が関わり合うことで、大きな「共創」の場が生まれた感覚でした。

LFP全体のプログラム構成は、6月に開催したDay1-2で「リーダーとしての軸と目標」を設定し、7月以降にはメンバー同士の隔週グループコーチングで「自分らしいリーダーとなるために、自身の目標と目標を踏まえた現状・課題を言語化し、ネクストアクションを決める」ことを行っています。

その最中に実施したDay3だったので、参加者の皆さんの中で、日々の課題が既に言語化されていて、その結果、非常にリアルな質問が出てきたのだと思います。

出てきた質問内容は、私の講義内容に関する深掘りだけではなく、リーダーとして自分自身が日々感じている課題を、仮説とともに投げかけていただいたように感じました。

質問への回答は、もちろん事前に用意できるものではないので、私自身も非常にエネルギーを使いましたが(笑)、とても充実感がありました。

Day1-2の合宿については、まつこさんがnoteで書いていますので、ぜひご覧ください。

また、質疑応答の中で、「アジェンダセッティング(課題設定)」のお話をしました。事業や組織の責任者には、課題発見だけではなく、何を課題として設定するのかが求められると思っています。

課題設定は、とても難しいと思っています。

ただ、参加者の皆さんはまさに、LFPのプログラム全体を通じて、自分自身のリーダーとしてのアジェンダセッティングを試行錯誤している最中だったため、多くの「芯を食った」質問が出たのではないかと感じました。

参加者としてどのような課題感を持ってDay3に臨んでくださったかについては、luccaさんがnoteで書いてくださっていますので、こちらもぜひご覧ください。

LFPを通じて感じたこと

このLFPのプログラムは、私だけではなく、当社の経営陣が深く関わってつくり上げているものです。

発起人は代表の辻さんで、全体の企画立ち上げから、Day1、Day2、Day4以降に帯同、Day3は私がコンテンツをゼロからつくって担当し、Day4以降はCFOの金坂さん、CSOの菅藤さん、CTOの中出さんも担当しています。

言うまでもないことですが、事業は人会社は人です。マネーフォワードでは、経営陣がリーダー育成に強くコミットするのは当然のことだと考えています。

「育成」というと、「育てる」とか「教育する」といった一方向からのイメージがありますが、私個人としては、本来人は育てるものではなく、育つのを邪魔しないくらいがちょうど良いと思っています。

なので、相手のことを理解しようと努力し、 仮説を立てたり、自らが気づきを得られた体験を思い出して抽象化したりして、その人にとっての変化のきっかけになるような機会を提供できたら、それが一番良いのではないかと思っています。

マネーフォワードでは、これからも経営陣がリーダー育成に強くコミットし続け、その手法としても常にベストな解を模索し続けていきたいと思います。

今回のnoteでは、マネーフォワードでのリーダーシップ向けプログラムの一部をご紹介しましたが、もし、リーダーシップ育成について検討されている方がいらっしゃったら、一部でも参考になれば嬉しいです。

Work illustrations by Storyset

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