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もしも高校生に戻れるとしたら?

オフィスを出た途端、まとわりつくような蒸し暑さが肌を撫でる。

お盆のせいか、いつもより人が少ない。

空いた電車に揺られ、開放感と疲労感に襲われながら帰路に就く。

玄関の鍵を開け、靴下を脱ぎ捨ててソファに寝転がった。

(はあ...今日も疲れたな...明日も暑い中外で撮影か...)

連日のロケ撮影や草野球...動画編集や仕事の撮影に追われて疲れ切っていた...


(はぁ〜高校生に戻りたいな...)


僕の最近の口癖だ。

甲子園、花火、海、旅行、高校生たちの眩しい青春の数々が、SNSで流れてくる。

あんなに「早く大人になりたい」と思っていたのに、いざ大人になってみるとやはり「戻りたい」と思うものだ。

人は「今」の幸せに気がつきにくい。

それゆえ、失ってからその幸せに気づくのだ。


もしも1年間、今の記憶のまま高校生に戻れるとしたらあなたは戻るだろうか?


そんな質問を投げかけてきたのは、漫画「ReLIFE」だ。

2013年から漫画アプリcomicoで連載が開始され、27歳のニートが1年間限定で高校生をやり直しながら、社会復帰を目指して新たな自分と向き合う青春漫画である。

当時大学1年生だった僕は、毎週の新作を待ちわびていた。

しかし、大学生活が忙しくなるにつれて徐々に読まなくなっていく...

そして、時を経て2019年8月。


僕は再びReLIFEにハマった。


(...もしも自分が高校生に戻ったらどんな生活をするのだろう)

現実には起こりえない妄想ばかりが頭の中を駆け巡る。

(...1年しかない貴重な時間をどのように使うのだろう)

変わり映えのない毎日を反省しながら、そんなことを考えた。

日々の仕事に追われ、毎日同じ作業の繰り返し。

幸せな仕事をさせてもらえていると思う一方で、どこか生活の新鮮味を求めていたのだろう。

1年間限定の高校生活という設定は、とても眩しく、そして羨ましく思えた。

恋愛・部活・受験と、最高の高校生活を送ってきたつもりだったが、もう一度やり直せるとしたらやり直したい。

漫画の主人公と自分を照らし合わせながら、今の自分を振り返る。

(...僕は、今しかないこの時を必死に生きられているのだろうか)


この答えは...まだ出ない。


惰性で過ごすのは楽だ。

挑戦しなければ何も失わないし、思いを伝えなければ傷つかない。

行動しなければ結果に失望することもないし、"いつか"に希望を託し続けるのは幸せだ。

そして、いつか変わりたいと思いながらも、変わらない今に満足している。


だから僕は、noteを始めてみることにした。


僕は人の目を気にする。

そして、自分の言葉で人を傷つけてしまうのを避け、他人の言葉で傷つくのを恐れる。

このnoteを書いている今も、何度も投稿するのをやめようと思った。


でも、ReLIFEを読み終えた今だからこそ、noteを通じて自分の意見を発信したいと思った。

自分の感情にもっと正直に生きたいと思った。


きっと、誰もがみんな弱さを抱えている。

そして、ほとんどの人がその弱さを隠しながら生きている。

辛いことや悩みを隠して、周りに笑顔を見せている。

このnoteを読んだ人も、きっと愛想笑いで弱さを隠しながら今日を生きているだろう。


だからこそ、弱さを晒け出して生きていきたい。

今しかないこの時を必死に生きていきたい。

そう思った。



(...うわ、12時から書き出してもう2時かよ。。)

何度も文章を読み直しては、書き直す。

眠気に襲われながらなんとか書き終えたnoteの1ページ。

(...う〜ん。やっぱり公開する前に一応誰かに読んでもらうか)

そう思ってLINEを開いたところで手が止まる。

(...誰になんと思われてもいいじゃないか、もう公開しよう)



周りが寝静まった真夜中の一室、緊張と期待を胸に抱えながら僕はエンターキーを押した。

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