月平均賃金、3年ぶり増加の裏側を考えよう
この記事によると、2021年度の月平均賃金が3年ぶりに上昇したと言う。
一見コロナで落ち込んでからの回復のように思えるが、日本でのコロナ初感染者を確認したのは2020年1月15日で約2年前。
ちゃんとコロナ前から景気が落ち込んでいたようですね!笑
記事にもあるよう、下記のページでは毎月勤労に関する統計をUPしている。(データに関しては約2か月程度のラグがある模様)
正直、私はこんな統計があることを知りませんでした。今後景気を見るにはわかりやすいツールになりそうです。
さて、ここでいう月平均賃金とは「現金給与総額」のことを挿しますが、そもそもどのような定義なのでしょうか?
★現金給与総額とは★
手取り額でなく、所得税、社会保険料などを控除する前の額のこと。 基本給、各種手当(通勤手当など)、残業代も含まれる。
私が注目したのは、各種手当についてです。
ここについては、テレワークが推進されて通勤手当は減っているはずです。
大手であれば別途リモート手当が支給される場合もありますが、中小企業についてはなかなか難しいのではないかと思います。(筆者の会社も手当無し)
そこを踏まえて、以下のデータを見てみたいと思います。少し古いデータですが、日本の平均的な通勤状況です。
◆定期代の一ヶ月平均…15,170.8円
コロナ前であれば、これが1年分の「現金給与総額」加算されるので、単純計算で約182,000円/年がコロナ前であれば乗っかってきてるはずですよね~
そこで、都内のテレワーク実施率を見てみましょう。(ほんとは全国がいいですが、今回は【企業の母数多い×大企業数が多い】東京で考えてみます。緻密にやるとキリがないのでざっくりと!)
※大企業はテレワーク率が高いので…!
なんと57.2%がテレワークを実施している状況です!
フルリモートでなくても、筆者の肌感的に週2~3日はリモートのところが多いイメージです。
そうなってくると、定期券ってだいたい15日程度使って元が取れる計算になってくるので、上記の通勤回数だと購入は渋いですよね…
じゃあ、この57.2%の母数となっている東京で働く人口ってどれぐらいなのかというと…
!8,027,000人!
仮にこれだけの人が、定期代の一ヶ月平均(15,170.8円)をロストしたとしましょう。
ちょっと計算はめんどくさいので省きますが、なかなか「現金給与総額」の平均値を引き下げそうな気がします。。
<おまけ>県外からの移動で一番多いと思われる東京への移動人口は291万人とされています。物価が高いにも関わらず都内在住×都内勤務者の方が圧倒的に多いんですね…!お金より時間を取る人が多いのか、単に都内の平均賃金が高いからなのか気になります!
話を戻しますが、それでも平均賃金が上がるということはまぁまぁ日本の企業が活気を取り戻している兆しなのかな~なんて思ったり。。
そしてどこの業界がこの平均値引き上げに貢献したのか気になるところ…!
報告書を見てみると、一番盛り上げてたのは「電気・ガス事業」、次いで「情報通信業」でした。
これ、めちゃくちゃテレ―ワークの煽り受けている気がするのは筆者だけでしょうか笑
まぁちょっと囲いがざっくりなので明言はできませんが、他にも上位には「教育、学習支援事業」なども入っていて、リモート授業システムの提供も含まれているのかなぁなんて思ったりして、コロナのこの時代だからこその結果とも受け取れると思います。
一方、手放しで喜べない点もあります。
注目したのは、「現金給与総額」に含まれる残業代についてです。
在宅勤務による長時間労働化って、かなり散見されませんか??
実際、在宅勤務を行った全国の18歳~65歳の労働者1,000名にアンケートを取った結果、在宅勤務によって長時間労働になったと答えた方が51.5%いました。
そしてこれは、筆者自身も心当たりがあります。
人によるとは思いますが、例えば時短で働いているはずのママさんワーカーはタイムリミットが「子供のお迎え」だったりするんですよね。
で、出勤であれば移動時間を考慮して少し早めに上がれますが、在宅だと出勤時より移動時間に余裕があったりして時間ギリギリまで働いてしまうというやつです。
他にも、家という環境に居ることでメリハリが無くなってダラダラやってしまったりとかね。
まぁ話を戻すと、テレワーク前よりも残業が多くなり、その残業代が手伝って平均賃金UPに多少なりとも貢献している可能性は有ると思います。
とはいえ、報告書を見る限りは日本の企業が売り上げ伸ばしつつあるのは確かとは思います。が、ここで残念なお知らせが…
ニュース記事にもあるのですが、実質賃金(賃金の伸びに物価の変動を反映した)は前年と同水準でした。
なんで、社会の豊かさ的には全然活気戻ってません!!笑
ここ最近特に物価の上昇がすごいですよね…
物流の重要さをひしひしと感じています。
石油原産国も出荷をセーブしてしまってますから、しばらくは原油価格高騰による物価上昇は避けられないでしょう。。
<まとめ>
★定期券代を差し引いても2021年の月平均賃金は3年ぶり増加したというのは、これまでの賃金増加データ以上に良い兆しと考えられる(超独断)
★一因にはテレワーク化による長時間残業も多少関与がありそう
★結局物価も同時に上昇してるので、実質的な社会の豊かさは前年同様。まだ景気回復は難しい状況だ。
<おまけ>なんで最近石油はこんなに高いの??
理由は複合的ですが、中でも以下3つのような理由が考えられるでしょう。
①アラブ首長国連邦の国営石油会社施設で爆発が起きたり、その他石油関連の施設で事故が多発している⇒復旧に追われ供給量が減少
②経済活動再開への期待がふくらみ、原油の先物価格が上昇※先物価格=将来の売買についてあらかじめ現時点で約束をする取引のこと
③ウクライナを巡るロシアと欧米との緊張状態が続き、供給することへの懸念が強まっている⇒戦争に使われるかもしれないという憶測が広がっている
↓ちょっとこれは奥が深いので別途説明させてください↓
【前提】エネルギー価格は、需要供給バランスだけでなく、流動的な資金によって左右される傾向がある。つまり、十分な供給量があったとしても、石油にお金をつぎ込む人が多数いれば株のように価格高騰につながる。(理由②で見られるような、実際の需要供給バランスに依存しない価格設定のことです)
今回は理由①のように供給が追いついていない現状もあるが、上記の1つとしては、そもそも昨年の春ごろからエネルギー事業は投資家たちから注目され資金がつぎ込まれ始めていたので、すでにこの時点で価格高騰のリスクがあったといえる。
そして、もう1つが、このウクライナ情勢による「戦争が起きるかもしれない」という憶測。
戦争が起きると、当然石油は軍事必需品として莫大な需要が生まれ、同時に石油の価値は上がります。投資家達にしてみればビジネスチャンスです。彼らは投機的に資金を注ぎ込むはずです。
この2つの掛け合わせによって、ぐんぐんと原油高が高騰をし続けている状況です。
ウクライナ情勢問題については日々緊迫度が高まってきているので、今後の動きには要注目です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?