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【19/20プレミアリーグ第1節】マンチェスター・ユナイテッドVSチェルシー マッチレビュー

こんにちはMasaユナイテッドです。19-20シーズンがついに開幕!好調なプレシーズンを過ごしたユナイテッドは、いきなりチェルシーと激突です。スールシャールとランパードのレジェンド監督対決としても注目のカードですね。開幕戦は書くことがたくさんあり、少々長くなってしまいましたが最後までお付き合い下さい。ではいってみましょう!

今シーズンのユナイテッドの戦術については下記を参考にして下さい。

👿フォーメーション

ユナイテッドもチェルシーも4-2-3-1。ユナイテッドは、加入したばかりのマグワイアをスタメン起用。中盤の組み合わせはポグバとマクトミネイトップ下のペレイラを使ってきた。もう一人の新加入ジェームズと、17歳の神童グリーンウッドはベンチからのスタート。ユナイテッドはバイリーが膝の半月板の怪我で6~8週間の離脱。サンチェスはコパに参戦していたので、まだコンディション調整中でベンチ外。チェルシーは、マウントをトップ下に起用。カンテは怪我明けでベンチから。なお、ユナイテッドのスターティング・イレブンの平均年齢は24.1歳で、プレミア20チーム中最年少だ。

👿前半

お互いに4-2-3-1のフォーメーションで臨んだ両チーム。中盤の噛み合わせを考えると、どちらかは4-3-3でくるかなと思っていたが、お互いにプレシーズンで取り組んできた事を貫いた形だ。試合開始直後はチェルシーがポゼッションしたが、15分ごろから積極的にプレスを掛けたのはユナイテッド。チェルシーの組み立てに対して前線から激しくボールを奪いにいった。昨シーズンは守備をさぼる事で批判を受けていたマルシャルも最前線でプレスを開始し、後のメンバーもそれに連動して追い込み、単にモチベーションが高いためにプレスをしているわけだはなく、チーム戦術として今シーズンのスタイルである事を示していた。

ユナイテッドのプレス戦術は、いわゆるゲーゲンプレスと呼ぶにはロストした直後のリアクションがそこまで鋭くなく、また選手同士の距離も近くはないので普通のハイプレスと位置づけできる。主にチェルシーのビルドアップに対して、まずマルシャルがCBにプレスを掛けてSBにボールを出させる。そこにリンガード(ペレイラ)やラッシュフォードのWGが連動してプレスを掛け、サイドに追い込みWGにパスを出させてSB(ビサカ、ショー)がハーフウェイライン手前でボールを奪うパターンのように、外へ誘導するプレッシングが目立った。

噛み合わないフォーメーションの為に、ペレイラはジョルジーニョとコバチッチの二人を見る必要があったが、右サイドのリンガードが、サポートしていたので、この豊富な運動量を誇る2人は、課せられたタスクを良くこなし、チェルシーのキーマンを封じる事に成功した。ただ、リンガードがコバチッチを見ているときは、どうしてもエメルソンがフリーになりがちだったので、オーバーラップからシュートを打たれるシーンも見られた。

ユナイテッドの攻撃については、いつものようにラッシュフォード、マルシャルが左に寄って攻撃の起点になり、右WGのリンガードも中に絞ることで開けた大外をワン=ビサカがオーバーラップするという形は、ポゼッションで押し込んだ時の新しいスタイルだ。

ユナイテッドのディフェンスは、前記事でも解説しているが、まず前線からのプレス。これが上手く行かなければリトリートして4-4-1-1にシステムを可変させる事が今シーズンの約束事になっている。また相手のWGに対してはSBで迎撃に行き、ボールと逆サイドのSBは下がって3CBを形成する。新加入のワン=ビサカは攻守に渡って自分の良さを発揮できており、右サイドの守備力は飛躍的に向上した。

ユナイテッドのビルドアップに関しては、ほぼロングボールを蹴る場面はなく、しっかり繋いでいた。SBを起点にしているが、上手くボランチの二人に逃げることもできており、チェルシーのプレスがそこまで質が高くなかったこともあるが、昨シーズンから改善が見られる。特にマクトミネイは、組み立て時にマグワイアとショーの間にポジションを取ることが多く、ショーを高い位置に押し上げるのに一役買っていた。これは戦術で決まっていたのか、マクトミネイの気転なのかはわからないが、ポグバにはあまりその意識は見られなかった。

一方のチェルシーは、ポゼッションがチームコンセプトのようだが、開幕戦での緊張感もあったのと、ユナイテッドのプレス圧に押されたこともあり、組立の場面でパスミスが目立った。バークリー、マウント、ペドロの2列目は中に絞ることが多く、空けた外側をSBのアスピリクエタやエメルソンがオーバーラップしていくことが戦術だった。アスピリクエタは、ラッシュフォードがそこまで執拗に追ってこなかったので何度かクロスを上げ、エメルソンも、先述した様にペレイラとリンガードの隙をついて上がってエリア外から積極的にシュートを放ち、デ・ヘアを脅かす場面も何度かあった。

最初はユナイテッドのハイ・プレスに手こずったチェルシーだが時間が経つにつれ、ユナイテッドの第一プレスラインの後ろにボールを入れ、マウントがそこに引いてきてワンタッチでペドロへ叩くなど、ダイレクトプレーでプレスを剥がすようになっていく。また最前線のエイブラハムも引いて受け、付いてきたリンデロフの裏にペドロが走り込むスペースを作り、カバーリングに来たマグワイアの開けたスペースにマウントが走り込みシュートを放つなどのチャンスシーンもあった。

前半17分、狙い続けたカウンターが決まったユナイテッドはズマのファールを誘いPKを獲得ラッシュフォードが決めて19-20シーズンのファーストゴールをゲットする!その後、追加点こそ奪えなかったが、プレスからのショートカウンターを狙い続けたユナイテッド。非常にインテンシティが高く、トランジッションも素早く、アグレッシブに戦った前半を1-0で折り返す。

【前半スタッツ 左ユナイテッド/右チェルシー】(SofaScore参考)

👿後半

前半のハイプレス戦術が、最後まで持つのか疑問だったが、後半に入ると前線からのプレスは落ち着き、チェルシーのポゼッションにはある程度引いて守り、ロングカウンターを狙うようになる。どうやら、ハーフタイムにスールシャール監督が少し落ち着くように言ったようだ。なお、前半も30分過ぎからリンガードとペレイラはポジションをチェンジしているが、後半もスタートポジションだけペレイラがトップ下だったが、すぐにリンガードと変わっている。それにしても、あのマルシャルが、プレスのスイッチを入れ、また、自陣まで戻って守備をする姿を見る日が来るとは感無量だ(笑)。

ここで61分のユナイテッドのCKの場面を取り上げたい。前半21分にもあったシーンだが、ユナイテッドはCKの際、マクトミネイ、ラッシュフォード、マグワイア、ポグバと縦一列に並んだ配置から動き出す戦術を披露している。そこから、ゾーンで守るチェルシーのマウント、ジョルジーニョ、プリシッチにぶつかる形で自由を奪い、大外に移動したマグワイアがフリーになりヘディングする。このセットプレーのデザインは、2018W杯でイングランド代表が使った戦術と同様だ。バスケットボールの「スクリーン」を取り入れたというこの方法をユナイテッドは、マグワイアというヘディングの強いCBの獲得と同時に採用したということだ。

57分にチェルシーはバークリーに代えてプリシッチを投入。試合から消えている時間の多かったバークリーがいなくなった事で、チェルシーは左サイドを中心にボールを持つ時間が増えるが、ユナイテッドは焦らずカウンターを待つ。64分エイブラハムへの縦パスが入ったのをマグワイアが奪い、マクトミネイへ、そこからカウンターに備えて前に残っていたラッシュフォードに繋いで一気にゴール前へ。右サイドのペレイラに繋いでクロス。これをゴール前に詰めたマルシャルがゴール

この試合ラッシュフォードはアスピリクエタの上がりに対して、ギリギリまで戻ることを待っていた。そのため対応が遅れ何度かアスピリクエタにクロスを入れられていたが、全てはこのカウンターの為だった。ペレイラの一度タイミングを外したクロスの質も素晴らしかった。キック精度の高いペレイラが右サイドにいた効果が表れたと言える。

66分にはポグバの裏へのロングフィードからラッシュフォードが決めて3点目をゲット!このシーンもペレイラがボールを奪ってからのカウンターだ。ポグバのパス、ラッシュフォードの動き出しとトラップは見事!

チェルシーの問題は、前線と中盤のプレッシングに対して、バックラインが連動していないように見える点だ。そのため、中盤とバックラインの間に広大なスペースがあり、そのスペースをペレイラやリンガードが上手く使っていた。プレスを掻い潜られ、ジョルジーニョとコバチッチが必死に戻るシーンが何度もあり、エメルソンが中に絞って止めようとするので、その空いたスペースをワン=ビサカに使われるシーンも何度かあった。

72分、チェルシーはジョルジーニョに代えてカンテ。ユナイテッドはペレイラに代えて今夏の新戦力ジェームズをそれぞれ投入。そのジェームズは80分にはユナイテッドデビュー戦での初ゴールを決める。このシーンもチェルシーのFKからのロングカウンターポグバが長い距離を走った。ジェームズはユナイテッド移籍が決まった時期に父親を亡くしている。彼の喜び方が、辛かった気持ちを良く表していたが、その気持ちを理解してジェームズを祝福したチームメイト全員の姿に、私の涙腺は崩壊した(笑)。

85分にはマタと17歳期待の若手グリーンウッドを入れて試合を締めたユナイテッドが開幕戦を4-0で完全勝利を上げた。

【後半スタッツ 左ユナイテッド/右チェルシー】(SofaScore参考)

👿まとめ

新シーズンの開幕を快勝でスタートしたユナイテッド。プレシーズンで取り組んできた新たな戦術、プレースタイルがほぼ100点満点で表現できたと言っていいだろう。スールシャールは就任以来これがやりたかったことだったろう。しかし、昨シーズン後半はフィジカルコンディションの低下によりできなかった。今シーズンは7/1のキャンプインからフィットネスレベル向上に取り組んできた。開幕戦90分を、ほとんどペースダウンすることなく戦えたことは大きな収穫だ。Optaデータによれば、ユナイテッドはこの試合で107.89kmを走っていた。一方チェルシーは106.63kmだった。

また新戦力も実力を存分に発揮してくれた。マグワイアは加入して2、3日の練習だけでユナイテッドのディフェンスレベルを1ランク上げ、ワン=ビサカはまるで以前からユナイテッドの選手だったかのようにフィットしている。ジャームズは最速デビュー戦ゴールを上げるという偉業をやってのけた。

用意したカウンター戦術は面白いように決まったが、それを可能にしたディフェンスの安定とハードワーク、ポジティブ・トランジッションの速さは特筆に値する。これが今季のユナイテッドのプレースタイルとなるだろう。ただ、まだまだシティやリバプールとは質の部分で差があるのも確かだ。今後連携を深め,パフォーマンスを上げていく必要がある。

チェルシーはまだ始動したばかりのチームだ。しかも、大黒柱のアザールを失った上に、補強禁止処分もあり、プリシッチ以外の戦力的積み上げができていない。そういう意味ではユナイテッドの真の実力が試されるのは次節のアウェイのウルブス戦になるだろう。昨シーズン、スールシャール監督になってから、モリニューでのウルブス戦では2敗している。3バックで組織的に戦うウルブスを崩せなかった。今シーズンのウルブスも昨シーズンとほぼ同じメンバーで、安定した戦いをしてくるだろう。引いて守ってからのカウンターが基本戦術のウルブスに対してユナイテッドはどういった戦術を用意してくるのか注目だ。

【ゴール期待値「xG」】(understat.com参照)

【ポジショナル・レポート 左ユナイテッド/右チェルシー】

【トータルスタッツ】(プレミア公式参照)

👿プレーヤー評価

公式のMOMは2ゴールを挙げ、カウンターの起点として機能したラッシュフォードだった。今シーズンはマルシャルを最前線において、左サイドをラッシュフォードが主に担当することになりそうだ。新エースとして期待が大きい。

ポグバも、前半はロストが目についたが後半は素晴らしいプレーを披露。3点目のフィードと4点目のランニングはポグバが如何にチームにとって有益な存在かを十分に示せた。移籍の可能性はまだ0ではないが、今回のような活躍と今の中盤の選手層では移籍を許すことはできないだろう。

そしてマグワイア。個人的にはこの試合で最も評価したいプレーヤーだ。スピードがあるタイプではないが、非常に読みが優れているので、相手より先にボールに触れ、落ち着きがありビルドアップの場面でも慌てることがない。加入後間もないとは思えないほど完璧な守備を披露してくれた。

最後に忘れてはならないのがペレイラとリンガード、マクトミネイのアカデミー3人組だ。ポグバやラッシュフォードが個性を発揮できたのも、彼らがアグレッシブにプレスを掛け続けたからだ。特にペレイラはこの試合のキーマンだったと思う。ジョルジーニョに仕事をさせなかったペレイラはアシストも決めて評価に値するプレーだった。また、マクトミネイは確かにいつもよりロストが多かったが、ポグバとの相性も良く、献身的に守備をし、攻撃面では展開力を発揮した。

次節はモリニュー・スタジアムでのウルブス戦8月20日(火)4:00キックオフ。難敵撃破頼んだぞ!カモン!ユナイテッド!!

最後まで読んで頂きありがとうございました!









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