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はじまりのおはなし。

だいすきでしょうがない街、長崎。
嫌いで嫌いでしょうがない街、長崎。

この街で生まれ育って、何不自由なく、育ててもらい、
家族にも、友人にも、先生にも恵まれた。情緒にあふれ、個性的。
すごくいい街だと思う。

出会った人も、いいひとばかり。私の世界には、私を知る人しかいない。
みんなが僕を知っていて、僕もみんなを知っている。
このまちが世界の全てだった。
すごく田舎でもあり、すごく都会でもある。

そんな世界の全てを捨てたくて、高校卒業と同時に、長崎を出た。
みんなのことも街のことも、大好きだったけれど、私の本当を知れば、みんな私を嫌いになる気がしていた。

でも、街を出てもなにも変わらなかった。
悩みは悩みのままで、不自由は不自由のまま。

大切なのは、場所ではなく、私自身だった。

色んな出会いや経験を経て、私はこの街にお店を出す。
海と山に囲まれた街。

傲慢に聞こえてほしくないが、私がみんなを知っていて、みんなが私を知っている。
そのみんなとは、僕の周りの小さい世界の中のこと。
大切なのは私が私であること。私が私らしくあること。

そして、お菓子に想いをのせること。いつも美味しいお菓子には、大切な人への想いがあった。

そんないろいろなお菓子と人との想い出を、紡ぎながら、様々なお菓子を作ろうと思う。僕のお菓子にはそれぞれ物語がある。

私は長崎で、物語とお菓子「masafu.」を開店する。

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