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一流のディフェンダーはクリアも一流であるという話

日本にいる間に、元明治大学の監督を務め長友選手を育て、現在は鎌倉インターナショナルFCのアドバイザーをされている神川さんの指導を受けさせて頂いたことがある。

神川さん曰く「一流のディフェンダーはクリアも上手い」そうだ。

一見なんてことのないように見えるクリアは何をもって上手く、効果的であるとみなされるのか

「高く、大きく、外へ」

神川さん曰くクリアは「高く、大きく、外へ」するのが正しいという。

その3つについてそれぞれ考えてみたい。

「高く」

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*ここでの高くというのはクリアボールの純粋な高さだけではなく、対空時間の長さも指している。

なぜクリアは「高く」しないといけないのか。

理由は3つ。

クリアは高ければ高いほど、
クリアボールを5分5分へと近づけることができる
■クリアが相手に渡った場合でもトラップが乱れる
味方の陣形を整えることができる

クリアボールを5分5分へと近づけることができる

クリアは高ければ高いほど、対空時間が長くなるので、選手が落下地点にたどり着く時間に余裕ができる。

ということは、味方も相手も落下地点に辿り着ける可能性が高まるので、結果的に5分5分のボールに近づくのだ。

そもそもクリアとは味方陣地の危険なエリアでパスの出しどころがなくて(十分な視野が確保できず)仕方がなく行うものなので、クリアが5分5分の状態になればなるほどこちらとしては望ましいのだ。

*ポジショニングの良し悪しに左右されずに5分5分のボールに近づくとの意味で5分5分という言葉を使っています。

■クリアが相手に渡った場合でもトラップが乱れる

クリアは高ければ高いほど、そのクリアボールのトラップの難易度を高くすることができる。

高いボールは低いボールやグラウンダーのボールより視野も確保しづらくトラップの難易度が高い

ということは、たとえ相手にクリアが渡ったとしてもトラップが乱れる可能性が高まるのだ。(味方も同様ではあるが)

なので、上で書いた5分5分の状態へとさらに近づけることができるのである。

味方の陣形を整えることができる

クリアは高ければ高いほど、対空時間が長くなるので、味方が守備の陣形を整える時間が稼げる。

そうすれば、セカンドボールを相手に拾われたとしても相手の二次攻撃、波状攻撃に対して思い通りに対応できる可能性が高くなるのだ。

「大きく」

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なぜクリアは「大きく(遠く)」しないといけないのか。

こちらも理由は3つ。

クリアが大きければ大きいほど、
■陣地を回復させることができる
■ディフェンスラインを押し上げることができる
味方の陣形を整えることができる

■陣地を回復させることができる

クリアが大きければ大きいほど、ボールが自陣ゴールから離れるので陣地を回復させることができる。

2019年ラグビーワールド杯を観た方も多いと思うが、ラグビーが陣地取りのスポーツであるようにサッカーも陣地取りのスポーツである。

相手ゴールにボールが近づけば近づくほど得点の可能性は高まる。そして、味方ゴールにボールが近づけば近づくほど失点の可能性が高まる。

なので、なるべくクリアを大きく遠くに飛ばすことで陣地を回復すれば、失点の可能性を下げて得点の可能性を上げることができるのだ。

ディフェンスラインを押し上げることができる

クリアが大きければ大きいほど、ボールは相手陣地へと押し戻されるのでディフェンスラインを押し上げることができる。

こちらもラグビーの例えになるが、ラグビーではボールより前に出てプレーしてはいけない。(オフサイド)

それと同じように、サッカーにはルールは違うがオフサイドがある。(ボールが出る時点で相手DFより相手ゴールの近くにいてはいけない)

ということは、どういうことだろうか。

サッカーではディフェンスするときに、オフサイドというルールに守られているのだ。

ディフェンスラインを上げればそのディフェンスラインより後ろにいる相手を無効化できるのである。

なので、ディフェンスラインを押し上げることは相手の選手を相手陣地へ押し下げることにも繋がり、結果的に失点の可能性を下げることができるのである。

味方の陣形を整えることができる

クリアは大きければ大きいほど、自分たちのゴールからボールが遠くなるので味方が守備の陣形を整える時間が稼げる。

なぜ時間を稼げた方が良いのかは一番上最初に説明した「高く」のところと同じであるので説明を省く。

「外へ」

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なぜクリアは「外へ」しないといけないのか。

こちらの理由は2つ。

クリアが(中ではなく)外であれば外であるほど、
■サイドラインを割る可能性が高まる
■ボールがゴールから遠ざかる

■サイドラインを割る可能性が高まる

クリアは外へすればするほど、当然サイドラインを割る確率が高まる。

場合によるが味方の陣形が崩れていて押し込まれ続けている状態や本当に危険な場面はクリアはピッチの中央ではなくなるべく外に出してサイドラインの外に割るべきである。

なぜなら、一旦プレーが切れるからである。

しかしこれは一概に正しいとは言い切れないので、クリアをサイドラインの外に割るメリットとデメリットを確認しておこう。

クリアをサイドラインの外に割るメリット
・プレーを一旦切ることができるので味方の陣形を整える時間ができる。
・相手の攻撃のリズムをストップさせることができる。
クリアをサイドラインの外に割るデメリット
・100%相手ボールからリスタートになる

以上のメリットデメリットがあるので今回は一概にはクリアはサイドラインを割るべきとは言えないが、場合によってはクリアはサイドラインを割るべきであろう。

■ボールがゴールから遠ざかる

クリアは外へすればするほど、自陣ゴールからボールを遠ざけることができる。

ゴールはピッチの中央にあるのであるから、相手をなるべく外へ外へと追いやってゴールから遠ざけることは一般的な守備のセオリーである。

また、相手を外へ外へと追いやる理由は、相手のプレーできる角度を制限することにも繋がる。

中央でプレーされると相手がプレーできる角度は360度、サイドであれば180度、コーナーフラッグ付近であれば90度である。

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相手がプレーできる角度を狭めて相手の進める方向、動ける方向の選択肢が狭まれば狭まるほど、当然相手のその次の手が予想しやすくなるので守備はしやすくなるのである。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

もちろんサッカーは不確実性が高すぎるスポーツなので絶対に正しいマニュアルなど存在しませんが、ある程度はあらかじめ思考してマニュアル化して対応できるというのが私の考えです。

分かりづらいところや間違っているところがあるかもしれませんが、その場合ぜひコメントや質問を頂けると嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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