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エセイ/戒語 '23

以下、歯に衣着せぬ自省。

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構想が湧いた、よしいっちょ小説でもと思えばそこで既に負け戦なのである。エセイと随筆の隙間でちょちょいと筆を動かすから、愚にもつかぬポエムが出来上がるのである。棺桶の型に嵌める覚悟が失せて、細かな行替えと聯立てでどうも分からぬ事を書けば詩、な訳がないのである。存在、事象、言語、認識、認知、社会、文化、鏡像、形式――以上の語をすべて用いて文学の本義を述べよ(二十点)。しかる後それに有意の反駁をほどこせ(三十点)。PV は personal view すなわち街中で人から見られる定量的指標であるから、スーパーモデルも靴下いっちょの丸裸で歩く変質の者もひとしなみなのである。スキをもろたからお返しに二三ほどぽぽっとスキスキ、生存証明だか出席確認だかをし合ってどうするというのだ、スカン。投資陰謀Qアノン自己啓発にフォロー0、こんな偏屈のアカウントをやにわにフォローしてどうしたいのだ、スカン。当方、思いつきの感動もお仕着せの涙も厚顔の勇気も有償の愛もほつれた絆も間に合っております、と看板打たねばならんのか。虎の子の勲章ぶらぶら下げて闊歩するのも、傍から眺めりゃしまらないことありゃしない。

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こんなことばかりを底意地悪く生成する前頭前野のあたりに餅でかたく封をし、だが寒い日には乾いた餅がぺりとひび割れもし、にゅるとその悪臭は四囲を覆う。まったく面倒にも程がある。事は単純なのであり、すべての文は乾坤一擲の恋文なり。大事な人を見つけたい。大事な人をさらに知りたい。大事な人に読ませたい。かくひとりの人さえ見つめられずに、皆皆様に向けて、など、できたものか。

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よし、気合いが入ってきた。
今宵も張り切って日記を書こう。その前に追加の餅でも食べよう。

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