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フィルムらしさってなんでしょう?デジタルで再現する方法を考える

フィルムっぽい、とはなんだろう?

あなたが思うフィルムらしさとはなんですか?

ノイズ感?ざらざら感?偶発的なエモーショナル?壊れたレンズフレア?

映像業界に勤めているとフィルム信仰の様なものがかなり強い。フィルムで撮るということが一つのステータスにもなっている。

僕はそんなこと思ってない。なぜならばフィルムというアナログな物質は、デジタルという技術を使えば原理的に再現できるのでは無いのだろうか?と思っているからだ。

とはいえ深く考えたこともあまりないので、いつもフィルムノイズを乗っけるぐらいで終わらせているが・・・

そんなフィルムっぽさを自分なりに解釈してみる。


まず、定義を決めよう

あなたはクリストファーノーランの映画を見てフィルムっぽいと思うだろうか?

僕は思わない。間違いなくimaxフィルムで撮影されているにもかかわらず、フィルム的な感覚よりもデジタル的なシャープさを感じる。

では万引き家族は?

ノーランよりもフィルムさを感じるがそれでもまだ綺麗だな。デジタルでも表現は変わらないのでは?と思う

ではこの映画は?

ここまでくるとフィルムだな。と思う。

皆はどうだろう?もしこれでフィルムっぽいと思わなければおそらく

ここまで行けばフィルムっぽいと思うだろう。

なぜそう思うのだろうか?

ノーランは70mm imaxフィルム、万引きはsuper35、JackieはSuper16mmフィルム、藤井風のMVは8mmフィルムだ

上からどんどんフィルムのサイズが小さくなっている。

マトリョーシカの様なもので、倍々で考えると下に行くにつれフィルムを拡大している様なものなので、1ピクセルあたりの解像度は減り、ノイズの粒のサイズは大きくなっている。


このことから考察すると、フィルムの粒状性の悪さ(ノイズ感)フィルム解像度がフィルムらしさを生み出している。と考える

フィルムって解像度いいんじゃ無いの?

35mmフィルムの解像度は約6000万画素などと書いてある記事もあったがどうも信じられないのでここからは、主観的な考察だ

アナログのフィルムは確かに画素は良いのかもしれない。ただ我々が映画として視聴する際には、

撮影
ネガ現像
ポジプリント
複製
映写

という大まかに5個のプロセスが挟まれる。マスターのネガを我々は見ているのではなく編集後ポジに焼かれた状態のフィルムをさらに複製したフィルムを、映写機という機械を通して見ている。

つまりどんだけ元が良くてもどこかのプロセスでは解像度が劣化していると考える。

もちろんポジまではよくても、例えば街の映写機が古かったり、何度も何度も映写され何度も走行したフィルムは物理的に傷がついたり汚れているといった問題が起きていることもあるだろう。

この様な状態で映画を見ることがあった我々のフィルムらしさとは、解像度の悪さと粒状性の悪さだと思う。


スチールの写るんですが、レトロだと人気になりフィルムらしさが多く広まったのもそもそも写るんですのレンズはプラスチックであり、そもそも解像度など考えて作られているものでは無い。

あなたがオールドレンズを何本も購入して、それを作品に使っても、フィルムっぽいとは思わないのは、そもそも解像度のよかったレンズを、劣化のしていないモニター上で、解像度の良い状態で見ているからだと考える


そしてあなたは古い映画のロゴを覚えていますか?

ジャッキーチェンの映画とかで流れるタイトルロゴを見てみると微かに揺れている。

そしてスティーブンスピルバーグなどに影響を受けている「stranger things」のロゴを見ると、こちらはデジタル作品にもかかわらず揺れている

なぜ揺れるのだろうか?

フィルムとはコアに巻きつけられた長いフィルムをスプロケットという歯車と爪をパーフォレーションという穴に入れ、巻き上げて露光させていく。

一秒間に24コマを走行させるためどうしても細かな揺れなどがおき、微細な絵ブレが起きる。

この揺れが映像の場合どうしても発生していて、無意識のうちに映画っぽい、フィルムっぽいと思っているはずだ。


またデジタルでは絶対に起きない現象の一つに

『ハレーション』がある

ハレーションとは、写真フィルムに強い光が当った時に感光フィルムを通り抜けた光が再度フィルムベースの裏側で反射されてフィルムに当ることで写真が白くぼやける現象。

フレアと似ているので良く同一視されるのだが、ハレーションは物理的にフィルムに起こる現象でデジタルでは起こり得ない。

なにも直接レンズに光を当てるだけではなく

露出差の大きな被写体を撮影する場合にその境目に、フィルム面に反射した光が赤色などのにじみを生む現象だ

ブラックプロミストなどで起きる光のにじみがフィルムっぽいと感じるのはこのせいである。なにも意図してない場合でもフィルムの場合は起きていたことなのだ。


ここまでをまとめると

フィルムらしさとは

1.粒状性

2.解像感

3.絵ブレ

4.明暗差のある場合のエッジの被写体のにじみ

の4項目で説明できるだろう。


ではデジタルで再現したい場合はこの4項目を意識すれば良いということになる。

長くなったので実際の作業は次の記事にする。

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