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仔猫のコクシジウム症

もうすぐ春ですね。
これから仔猫ちゃんを迎え入れる家庭も多いのではないでしょうか?

やっとお家に来た仔猫ちゃんが下痢している?!!

それ、もしかして寄生虫のせいかも!?

今回は仔猫の下痢の原因の一つである『コクシジウム症』についてです。
どんなやつらなのか?
感染経路や治療法は?

みていきましょう!!

コクシジウムとは

コクシジウム類シストイソスポーラ属のCystoisospora felisとCystoisospora rivoltaと呼ばれる原虫です。

「原虫」とは単細胞の微生物のことです。中学や高校の理科の教科書でゾウリムシやアメーバなどをご存じの方もおられると思いますが、これらも原虫の仲間です。

原虫とは | 原虫病研究センター - 帯広畜産大学 (obihiro.ac.jp)

猫同士で感染するため、人や犬に感染することはありません。

感染経路は?

感染した猫の糞に含まれるコクシジウムの「オーシスト」が体内に入ることで感染します。
(原虫の卵のような状態のことをオーシストといいます)

コクシジウムのオーシスト
糞便検査で検出できます

感染している猫の糞便が口に入ることで感染するほか、オーシストに汚染された水や食品の摂取による経口感染がみられます。

仔猫の場合は母猫からの感染が多いようです。
よって、衛生環境の良くない多頭飼育や繁殖施設、ペットショップでは感染率が高いと言われています。

https://www.anicom-sompo.co.jp/doubutsu_pedia/node/1071から引用

感染したオーシストは猫の腸の細胞に進入し、細胞の中で分裂を繰り返し、コクシジウムが成長していきます。摂取してから約10日前後で新たなオーシストが糞の中に排泄されます。

オーシストは肉眼では見えないくらい小さく(約4~6μm)、顕微鏡でなければ確認できません。
また、オーシストは感染猫の身体から排泄されてから1〜2日で感染力を持ちます。熱や乾燥には弱いのですが、塩素に対して極めて強い耐性があるため、排泄した糞は速やかに処理する必要があります。

症状は?

一般的に猫のコクシジウム症は病原性が低く、成猫では感染しても症状が現れないことが多いです。
一方、子猫が感染すると、下痢嘔吐、血便、発熱などの症状が強く出る場合があります。
仔猫の場合は下痢が続くことで脱水し、全身状態が悪くなることがあるので早めの治療が必要です。

治療は?

通常『サルファ剤』という抗生剤を経口投与します。
しかし、サルファ剤は苦味があったりと仔猫への投薬が難しい場合があります。

そこで近年犬用のコクシジウム駆虫薬として発売されたのが
プロコックス』です。

https://my.elanco.com/jp/products/procoxから引用

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