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福岡県で診療している獣医師です。 日々の診察での疑問や手術手技のコツを後輩のために残そ…

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福岡県で診療している獣医師です。 日々の診察での疑問や手術手技のコツを後輩のために残そうと考え始めました。 自分の備忘録でもあります。 主観が入りますので詳細は教科書などで確認をお願いします。 お役に立てれば幸いです。

最近の記事

仔犬の下痢~パルボウイルス感染症~

桜が咲き誇り陽気な季節になってきました。 春に仔犬を迎えて新年度を迎える家庭も多いのではないのでしょうか? 一緒に散歩に行ったり、レジャーに行ったりと心躍るイベントが控えているのに… なんか、すごく下痢している?!! 今回は仔犬の下痢の原因になる『パルボウイルス感染症』についてです。 原因や治療、対策などをご紹介します。 一緒にみていきましょう!! 原因 イヌパルボウイルス感染症の原因はその名の通り『イヌパルボウイルス』が原因となります。 このウイルス1978年に

    • 仔猫のコクシジウム症

      もうすぐ春ですね。 これから仔猫ちゃんを迎え入れる家庭も多いのではないでしょうか? やっとお家に来た仔猫ちゃんが下痢している?!! それ、もしかして寄生虫のせいかも!? 今回は仔猫の下痢の原因の一つである『コクシジウム症』についてです。 どんなやつらなのか? 感染経路や治療法は? みていきましょう!! コクシジウムとは コクシジウム類シストイソスポーラ属のCystoisospora felisとCystoisospora rivoltaと呼ばれる原虫です。 猫同

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      • 仔犬の咳~ケンネルコフ~

        新しくワンちゃんをお迎えして、これからの新生活に胸躍らせていたら… あれ?咳している?!! 今回は仔犬でよくみられる『ケンネルコフ』についてお話します。 よくみられる病気ですが、酷くなると肺炎にもなる病気です。 一緒にみていきましょう!! ケンネルコフって? ケンネルコフは仔犬の呼吸器感染症で、高罹患率ですが死亡率は低いといわれています。 1つの病原体が原因ではなく、細菌やウイルスが複合感染して発症する病気です。 アニコム『家庭どうぶつ白書2023』の仔犬の病気では

        • 急に起こる!アナフィラキシーショック

          アナフィラキシーショックは急に訪れます。 適切な対応をしないと命を落としてしまう恐ろしい病態です。 アナフィラキシーショック、どこまで知っていますか? 一緒にみていきましょう!! アナフィラキシーショックとは アナフィラキシーショックは、急速かつ重篤なアレルギー反応(Ⅰ型アレルギー)の一形態であり、しばしば生命を脅かす病態です。 アナフィラキシーショックは通常、個体が特定のアレルゲンに曝露された際に免疫系が異常反応することによって引き起こされます。 異物が体内に侵入し

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          猫の心臓病~肥大型心筋症~

          2021年の論文を参考に書いています。 【臓器の写真を載せていますので抵抗のあるかたは閲覧をお控えください】 ねこちゃんを飼育している方なら聞いたことがある『肥大型心筋症』。 肥大?心筋??心臓の筋肉が肥大するの??? ・実際のところ心臓はどうなっているのか? ・心筋症になるとどんな症状がでるのか? ・どうやって診断するのか? ・治療法はあるのか? みていきましょう!! 実際のところ心臓はどうなってるの? 肥大型心筋症は主に左の心臓の筋肉が内側へ肥大し、内腔が狭

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          かかると怖い!レプトスピラ症

          最近増えてきているレプトスピラ症。 どんな病気か知っていますか?? 犬を飼っている家庭では問題になるこの病気。 一緒に勉強していきましょう!! レプトスピラってなに? レプトスピラはグラム陰性らせん菌という細菌の仲間です。 250種類以上のレプトスピラが存在し、そのうちの7種は家畜伝染病予防法で定められた届出伝染病*です。 人にも感染する人獣共通感染症でもあります。 犬では毎年22~52件の感染の届け出があるようです。 *『届出伝染病とは』 防疫上重要な伝染病で、

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          胆嚢の病気~胆嚢粘液嚢腫について~

          胆嚢粘液嚢腫 聞いたことがある病気だけど、実際はどんなことが身体の中で起こっているのでしょうか? 胆嚢粘液嚢腫とは『胆嚢の中に粘液状の物質が溜まってしまう病態』のことです。 読んで字のごとくですが(笑) では、なぜ胆嚢の中に粘液が溜まるのか? 溜まると何が問題になるのか? 診断方法は? 治療法は?などをお話していきます。 なぜ胆嚢の中に粘液が溜まるのか? 胆嚢は元々胆汁を貯めておく臓器ですが、何らかの理由で胆嚢の壁からムチンが過剰に作られることで粘液が溜まってしまします

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          犬や猫の麻酔に関する漠然とした不安について

          自分のペットに全身麻酔をかけることに対して漠然とした不安があると思います。 それは麻酔が『怖い』、麻酔で『死ぬのではないか』という疑問が原因と考えます。 それでは全身麻酔にはどれほどの死亡リスクがあるのでしょうか? 2つの論文を紹介します。

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          犬や猫の麻酔に関する漠然とした不安について

          犬と猫の麻酔下での歯科処置について

          *出血を伴う写真が出てきます。抵抗のあるかたは閲覧をお控えください。 歯科処置は基本的に麻酔をかけて行います。 全身麻酔と聞くとどうしても『怖い』『もしものことがあったらどうしよう』と漠然とした不安があると思います。 私たち獣医師がわざわざ麻酔までかけて歯科処置を行うのには理由があります。 それは… ”麻酔をかけないと詳細な歯の状態がわからない”からです。 下の写真の子のように、歯石の付着があまりないようでも プロービング(歯周ポケットの深さを測る検査)をしてみると

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