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イタリア格付けDOC、DOCG、DOPとは?

イタリアの格付けの呼称、DOCG、DOCに加えて、DOPという呼称もちらほら聞くようになりました。
「DOCGは美味しいんですよね」とか「DOCGが好きです」といった言葉を
時々レストランで投げかけられることがあるのですが、
どうもDOCG、DOCなどのワインに対するイメージが様々あるようなので
参考にと思い、まとめました。


「一般的に言われているDOCG、DOC、DOPの定義」

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欧州連合EU法という法律の中で、細かく決められた規定条件を満たしたものがDOCGなどの呼称を名乗ることができ、規定条件としては、品質、生産地域、生産条件、熟成期間などがあります。

・DOC
DOCとはDenominazione di Origine Controllataの頭文字をとったもの。
まず1963年にDOC法が出来、DOC、VdT、IGTができます。
DOCの主な規定内容としては産地、使用品種、が生産量の他、
醸造方法や熟成期間、官能検査(いわゆる色や味、香りを見るテイスティング)での基準を満たさないと名乗れない。現在330銘柄。
有名なものでプロセッコ、ボルゲリ、ランゲなどがある。

・DOCG
DOCGとはDenominazione di Origine Controllata e Garantitaの頭文字をとったもの。
1980年に今まであったDOCの上に付けたしてDOCGという最高位が誕生。
DOC認定されてから最低10年以上経ている事や、全ての過程で化学・物理検査が行われるなどDOCよりも厳しい規定が設けられている。
2019年1月の段階では73銘柄が存在。
有名なものでバローロ、バルバレスコ、アマローネ、ブルネッロなどがある。

・DOP
DOPとはDenominazione di Origine Protettaの頭文字をとったもの。
2009年にEU法が修正されたときにできた呼称で、
ワインだけでなく、チーズ、ハム、ソーセージ、オリーブ、ビール、パン、果物、野菜にも使われる呼称。
有名なものでパルミジャーノレッジャーノ、ゴルゴンゾーラ、プロシュットディパルマなどがある。
DOCとDOCGをまとめてDOPとするという流れになってきている。



「生産者・消費者の考える格付け」

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・消費者の考える格付け
上記の通り、DOCG,DOCといったワインは色んな検査や規定をクリアして作られたワインであることは間違いありません。
しかし、いうなれば
ただ、規定をクリアしたワインの総称であるにすぎないのです。
格付けされたワインはラベルが貼られ、他のものと区別がつきやすく、格付けにより名声を得るので、高い値段で売ることができ、宣伝も容易で売りやすくなります。
しかしそうしたことによって、未だに
「DOCGは重たい、渋い、しっかりしたワイン」
「高級なワインはDOCG」
「DOCGは高くて美味しいワイン」

などいう安易なイメージが先行してしまいました。

・生産者はあえて格付けを名乗らない
生産者の中には格付けしないことによって、色々な規定に縛られることなく、自分たちの作りたいように作る人たちが増え、純粋に美味しいワインを造りたいと考える生産者が増えてきています。
その先駆者であるのがトスカーナの「スーパーテーブルワイン」、いわゆる「スーパータスカン」です。
フランス系の品種を使って一番下の等級でリリースしたものがDOCGよりもはるかに人気を獲得しました。
また純粋な品質での評価ではなく、時には政治的な力も格付けを左右することがあるという事実も生産者と消費者の意識を変えているようで、
去年話を聞いたソアヴェの造り手は「このワインは品質的にはソアヴェを名乗れるけど別に興味ないんだ」と言っていました。
実際にボトルにソアヴェの記載はありませんでした。
格付けしたから売れるという時代ではなく、ワインのそのものに目を向けるようになったという事かもしれません。


「格付けに左右されない判断を」

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格付けされたワインのほとんどが規定をきちんとクリアしたものであり品質が保証されているというのは事実です。
しかし、格付けにこだわらない優良生産者が多く存在するのも事実です。
そしてDOPを名乗るには規制を守り、多くの時間と人件費がかかるので
(ちなみにボトルに貼られているDOC、DOCGの記載があるシールは一枚
1EURO弱すると、2年前、生産者に聞いたことがあります)必然的に生産コストも上がりますが、
DOPを名乗らないワインは最低限の品質管理以外は自由です。
個人的にはむしろDOP以外のワインの方が隠れた名ワインが多いのではと考えています。
DOC,DOCGとは一体どういうワインを指すのか、
格付けというのは一つの目安であって、絶対的な信頼をよせるものではないということを
私たちワイン従事者がしっかりと伝えていくべきと考えています。


こちらではより簡単なわかりやすい記事を書いています。
ご愛読いただければ幸いです。

https://note.com/buonamico

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