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死のうと思い、舌を3センチぐらい根元から切りました(A)


ソーソーなバンクーバーに到着

2005年5月。27歳。

タトゥーを生涯の仕事にしようと動き出していた時、カナダのバンクーバーに向かった。

1人で向かった。

ひとり旅はアムステルダム以来で、とにかく何か違う自分になりたいという想いと、カナダのWEED文化にも興味があった。

昔の話だ。今は全く興味がない。

当時は、むしろ後者の方が興味があったのかもしれない。文化に興味があった。

ネットで調べ上げ、合法非合法で闘っているショップが一件あって、そこではネタも普通に買えるし、その店で吸えると書いてあった。

日本では考えられないスタイルの違いに驚き、アムスだけの事かと思っていたら、その当時はちゃんと法整備が整っていないカナダで、販売と使用を実行している店があるなんて、、、

とにかく無性に行きたくなった。

宿はカミさんがネットでなんとなく探してくれたガスタウンという街にあるホテルを選んだ。

デザイナーが部屋それぞれにデザインを施した作りになっていて、全ての部屋が個性的でカッコ良かった。

その頃、カミさんのお腹には息子がいて、約2ヶ月後は出産予定日。


そのタイミングでのひとり人旅だった。


普通に考えて、そのタイミングで身重のカミさんを1人にして海外など夫としておかしい、仕事でもないのにと考える方もいるとは思うが、もうすでに本格的に脳の崩壊が起こり始めていたのを薄々自分でも感じ取っていた時期で、何が何だかわからない行動も増えていた。

カミさんは耳鼻咽喉科の医師で歩いて1分のところに勤務先があった。

だから、何かあれば目の前の勤務先に駆け込めば大丈夫だと、確かカミさんも俺に言っていたと思う。


今思うと出発前から完全に壊れかけていた。


成田で出国手続きをしている最中もチェックし、手続きをしてくれている女性がスパイとか、国家秘密警察のような特殊任務を遂行している行為に見え、その時点で自分のコントロールの効かない長旅が始まっていた。


統合失調症の症状だ。


パスポートにチェックを入れられたとその時に勘繰っていた。


**そういう類いの勘繰りはその旅行中、何度も自分を苦しめることになる。 **


飛行機に乗ってからの記憶はあまりないが、長いフライト時間を終え、バンクーバー国際空港に到着し、喫煙所でたらふく買い込んできたマイセンのスーパーライトを深く吸い込んだ時、頭が溶けて下に落ちるぐらいの粘り気を感じ、ニコチンのスゴさを感じたのを覚えている。

当時はタバコを吸わない生活など考えられなかったが、禁煙外来を使い、1回目は失敗し、2回目の通院で禁煙に成功している。


ふと横を見ると悪そうな顔つきをした年も同じぐらいの日本人2人もフライトによる一時的な禁煙を解消し、開放的に晴れ渡っていた空に向かって大きく吐き出したり、ゆっくり煙を体に染み渡らせながら、これから始まる旅に備えてか、作戦会議のような計画を立てている絵を思い出す。

その2人とはまた再開することになる。

しかし、空港で2人を見ていた事は、旅が終わってかなり経ってから思い出した記憶だった。


ひとり旅の時は、アムスもそうだったが、空港からホテルまでタクシーを使ったと記憶しているが、定かではない。

ここもあまり記憶がない。

が、旅の最初のスタートは、早く目的地に到着して、やりたい事をすぐにやりたい性格なので、お金で時間を買う感覚でタクシーを利用したと思う。

どうやって行き着いたか、やはり今となっては思い出すことができない。

このコラムは、ある荒廃した家庭に挑んだ、1人の青年の記録である。新宿に生まれ育った無垢な小学生時代に、アルコール依存症とバイセクシャルという特異な両親に囲まれ、酩酊した母親と強制的に初体験をさせられ、その後30年近くに渡り自身もアルコール依存症に苦しみ、その中で設けた我が子との絆を通じ、寛解するまでと、その原動力となった信頼と愛を余すところなく完全実話で書き下ろしたものである。

保護施設のようなデザイナーズホテル

予約したホテルは見た感じ高級そうでもなければ、特別不潔そうにも見えなかったし、中に入ってロビーを見ても特別感もなく、可もなく不可もなくの感じだ。チェックインのカウンターに立っていた女性も柔らかい対応で優しく、気持ちよく部屋に向かうはずだった。。。エレベーターがない建物だったので上のフロアには階段を利用した。

階段を登ろうと前を見ると幅広の階段を数段上がったところに日本では見たことのないような表情のティーンのカップルがポンプ片手にぶっ飛んでいた。

当時の自分はそんな光景でびっくりする思考ではなく、むしろヤベー所に来たとテンションが上がって、

そのネタは何だ?

と片言の英語で喋りかけていた。


回答はヘロインだったと思う。


絵に描いたようなヤク中の兄ちゃんがそうだそうだと頷きながら、暫しのダウナータイムに向けて期待値の高い出発時のイマジネーションを膨らませていたに違いない。

側にいる彼女は、彼氏なのかわからない男のネタの順番待ちをしていた。

そんなカップルを後にして、先に目をやるとお次は中年で身なりの整わないオッチャンが話しかけてきた。

階段の上から大きな声で呼び止められ、無視して通り過ぎようとしたが、笑顔で手を横に振って話しかけるなとジェスチャーしたが、しつこく背中に向かって気になるワードを投げかけてくるので、立ち止まり話を聞いた。耳を英語に慣らすのも悪くないと思ったと思う。

何かあればホテル内だし、騒ぎ立てれば誰か来るとも思ったし、体格で勝る俺がこいつに負けるわけないと。

見せたいものがあるというオッチャンの部屋にニヤニヤしながら向かった。部屋は思っていたより狭く、2人でいると少し気味が悪い。

2人の距離感にやられる感じの狭さだった。

オッチャンをざっくりとしたイメージでいうと全身マッチャッチャだ。

とにかく清潔感がない。

こういう見た目にはなりたくないという典型的なオーラを放っていた。

結局話を聞いてみるとマリファナのセールスマンだった。

しかも騙されて買わされたのか、肝心の商品が不人気商品だった。

おっちゃんの部屋に入るなり、2つの頭陀袋に入った大量のクサのリーフを見せてきて、これを買えと言ってきたのだ。

何も知らない日本人だと思ったのか、ハイクオリティだから自分で使用しても良いし、転売しても儲かるから、全部買ってくれと押し売りが始まったが、何処となく心配な事があるのか弱気な表情がチラホラ見えた。

俺が欲しいのは心地良くクオリティの高い刺激だからこれは要らない。と適当に断り、弱気ながらも引き下がらないオッチャンの部屋を強引に出て行った。


チェックインし、渡されたキーに書かれた部屋にたどり着いた。


あの若いカップルがホテルに出入りしている事はカウンターのスタッフは知っているだろうに、、、

かなり刺激的なホテルに来たんだと、やはりこのタイミングでも刺激的な環境から受ける空気感が生きている証だとでも思っていたのか、この環境をむしろ歓迎するような自分がいた。


<TOP写真>戸山公園箱根山付近(教会幼稚園)

苦しんでいる人に向けて多くのメッセージを届けたい。とりあえず、これから人前で話す活動をしていきます。今後の活動を見守ってください(^^)