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仕事の生産性を上げる方法

前回の記事で生産性の優劣がキャリアの可能性の差を生むという話をしたが、今回はその生産性の上げ方について書きたいと思う。

と思っていたが、安宅和人氏の名著「イシューからはじめよ」に言いたいことはほとんど書いてあった

なので、今回はこの本の内容に絡めつつ、僕が個人的に仕事の生産性を上げる上で意識していることを書こうと思う。ちなみに今回の記事は、どちらかというと今の仕事のクオリティを上げたい!という人よりも、やることいっぱいあってやばい!という人向けの内容かもしれない。

仕事にとりかかる前に、アウトプットの受益者にとって、今答えを出さないといけない事かどうか?を考える

生産性の定義は前回の記事でも言及したが、今回の話をする上で重要なのでもう一度説明したいと思う。生産性は以下の式で定義される。

生産性 = アウトプット(成果) ÷ インプット(投下した労力・時間)

生産性を上げたいなら、同じかそれ以下の労力・時間でより多くのアウトプットを生み出さないと行けない。「イシューからはじめよ」(以下、"この本"と呼ぶ)では、アウトプットの価値は、イシュー度の高さ×解の質の高さで決まる、という。価値のあるアウトプットとは、図でいうと右上の部分にあたるところだ。

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そして多くの人は「解の質」がアウトプットの価値を決める、と考えているが、本当に大事なのは「イシュー度」だ。イシュー度の低い仕事は、どんなに「解の質」が高かろうと、受益者(顧客・クライアント・評価者)から見た時の価値はゼロに等しいからだ。

僕は新卒一年目の時にこの本を初めて読んだ時、
「なるほど、これはすごく納得だ!」
と思った。しかし同時に、
で、イシュー度ってなんなんだろう、、、、?
と思った。

この本では、よいイシューの3条件として
・本質的な選択肢である
・深い仮説がある
・答えを出せる
を挙げているが、このなかで「本質的な選択肢である」を理解するのが難しかった。本質的かどうかは、それを評価する主体や状況によって異なるからだ。この本では、それを「イシューは動く標的」と表現している。

僕はそのイシューが本質的かどうか迷った時は、
「アウトプットの受益者にとって、今答えを出さないといけない事かどうか?」
を考えるようにしている。ここで注意しないといけないのは、アウトプットの受益者は必ずしも仕事の依頼主とは限らないという事である。ここを見落とすと後でしっぺ返しに合う。

例えば、上司である課長Aさんからとあるデータ分析を依頼されたとする。この場合依頼主はAさんだが、実はその分析結果をもとに部長Bさんが事業方針の意思決定をしないといけないのだとすると、受益者はBさんになる。

したがって、仕事に取り組む際には、「そのデータ分析によって答えが出せるイシュー」は、Bさんが今答えを出さないといけないものになっているだろうか、という事を考えなければならない。

前職のリクルートや現職のアクセンチュアで、ジュニアの頃に口酸っぱく
2つ上のポジションの立場に立ったつもりで物事を考えろ
と言われたが、それはこれに通じる部分があると思う。

50点でいいから早くアウトプットを出す

イシュー度の高い仕事だと確定した後、作業を進める上でも生産性を上げるコツがある。50点でいいから早くアウトプットを出すことだ。理由は3つある。

i.早く出せばフィードバックがもらえる

50点でもいいから早く出せば依頼主やレビュアーからフィードバックがもらえるので、ギリギリまで一人で作るよりも最終的なアウトプットの質が向上するし、もし仮に間違った方向に進んでいたとしても軌道修正ができるので、結果的に投入するインプットの節約ができ生産性が上がる。

慣れないうちは、50点のものを上司に見せるのはかなり恥ずかしいし勇気がいる。「こんなレベルの物を持ってきたのか」と思われるんじゃないかと不安になる。

しかし、いきなり時間をかけてアウトプットを作り込んで上司に提出し、「うーん、なんかちがうんだよなぁ。やり直し」と言われるほうが悲劇だ。そもそも、上司も締切が差し迫っていないのであればアウトプットの出来が悪くてもそんなに気にならない。むしろ早く軌道修正する機会を設けてくれて助かる、と思う。これは僕も部下に仕事をお願いするようになってから常々思うことだ。

余談だが、投入できるインプットが限られるシード期のスタートアップは、完成形の製品をいきなり作らずにMVP(Minimum Viable Product: 実用最小限の製品)を作り、サービスの価値を確かめる、ということを行う(Problem Solution Fit: サービスが顧客の課題を解決するものかの検証)。
これは、その企業が顧客に提供するものは製品ではなく本質的にはアウトカム(成果)だという事を表しているし、50点でもいいから早く出してフィードバックをもらい修正する、という事を表している。
有名な話だが、Amazonが買収したザッポスは創業当時、ウェブサイトだけ作って在庫や販売体制は用意せず、ウェブサイトに注文が来る度に創業者が靴屋に靴を買いに行っては梱包し、配送するというプロセスを手運用で行なっていたらしい。

ii. 仕事にもパレートの法則が当てはまる

パレートの法則とは、「全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出している」というもので、80:20の法則とも呼ばれる。

仕事においても、最初の10%のインプット(投下した労力・時間)で生み出されるアウトプットのほうが、最後の10%で生み出されるアウトプットよりも多い事がほとんどだ。

そして、アウトプットの受け手が仕事の完成度(解の質)を90%以上求めることはまずない。「受け手にとって十分なレベル」を理解する&それに気づかずに過剰品質のために膨大な時間を使わないためにも、早くアウトプットを出すことが大事だと思う。

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iii.時間が経てば経つほど、受け手の期待値は上がる

仕事をしている当人の視点では生産性の構成要素であるインプットは「投下した労力・時間」だが、アウトプットの受け手にはそれが認識しづらい事が多い。依頼主にとっては「待っている時間」がインプットに相当するので、時間が経てば経つほど受け手は勝手にアウトプットの質に期待をしてしまう。

例えば、依頼主から仕事の依頼を受けた作業者が、依頼を受けて1ヶ月後に1時間くらいで作ったアウトプットを提出したとする。作業者からすると、1時間で作ったにしてはいいアウトプットだと思ったとしても、依頼主からは「一ヶ月も待ってこの程度か、、、」となりかねない。

生産性を上げるには、時間経過による自分のアウトプットの完成度と相手の期待値の上昇のバランスを意識することが必要だ。

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そのような考え方から、僕は仕事相手や友人から相談や依頼があった場合に即レスするようにしている。ろくなアドバイスができないかもしれないが、とにかくスピードだけは担保する。最悪、「この人に聞いても解決しない」ということが瞬時にわかるだけでも相手にとっては価値があると思うようにしている。

僕からの返事を待っている間にも、相手は他の人に相談できる人を探すといった代替案を考えているかもしれないので、早くレスポンスを返す事で、相手の時間が節約できる。仮に僕が的確なアドバイスや解決策を提示することができなかったとしても、少なくとも「誰々に聞けばいい」とか「これはなかなか難しい問題だから足が長い取り組みになりそうだ」とか、何かしらの情報を伝えるようにしているので、即レスすることで相手は「じゃあこの人に聞こう」とか「これは重いからちょっと今はいいか、、、」という判断がいち早くできる。

お金の時間的な価値の考え方に割引現在価値というものがある。端的にいうと、”1年後にもらえる1万円よりも、今すぐもらえる1万円の方が価値が高いよね。今すぐ欲しいものが買えるし、それを元手に1年後にさらに増やしておくこともできるしね”という事だ。アウトプットも割引現在価値で考えるようにしている(逆に、時間的な価値を考慮にいれてもじっくり考えないといけないケースもある)。

まとめ

とりとめもなく書いてしまったが、ポイントは2点。
・仕事にとりかかる前に、アウトプットの受益者にとって、今答えを出さないといけない事かどうか?を考える。
・仕事にとりかかったら、50点でいいから早く出す。


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