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働き方改革によって試されているのは会社(だけ)ではなく僕たち従業員のほうだ


働き方改革が国をあげて推進されている中で、生産性を上げよう、業務を効率化しよう、と言われる機会が増えたが、「効率化のためにバックオフィス業務にRPAを導入しよう」、「○○の会社は残業時間が半端じゃなくてブラックだ」、「○○の会社はワークライフバランスがしっかりしている」といったように、どちらかというと会社の方がクローズアップされることが多い。

しかし、実は働く側の僕たち従業員のほうも働き方改革で試されているな、と日々仕事をしている中で思う事がある。今回は今まで漠然と思っていたことを記事化したいと思う。

生産性とは?

生産性は一般的に以下の式で定義される(みんなとっくに知っていると思うけど、、、)。

生産性 = アウトプット ÷ インプット

ざっくりいうと、生産性とは、仕事で産み出したアウトプットと、それを産み出すために投入したインプットの比率だ(詳しい説明はこちら)。

インプットとは、アウトプットを出すために費やした時間(労働時間)だったり、お金だったり、何かしらの資源だったりする。

また、"アウトプット"という言葉は"具体的なもの(製品とか分析結果とか資料とか)"を想起しがちだが、ここでは"成果(売上が上がるとか提案が通るとか意思決定ができるとか)"としたい。
その意味では、アウトプット(Output)ではなくアウトカム(Outcome)という言葉の方が適切かもしれない。が、面倒なのでここではアウトプットという言葉で統一する。

アウトプットを何と定義するかによって生産性が激変するが、これについては次回以降、生産性の上げ方について書く際に改めて触れたいと思う。

企業は、従業員というインプットからどれだけのアウトプットが取り出せるかを考えている

働き方改革だ、ワークライフバランスだ、というのは、ただ単に「業務が効率化されて仕事の時間が減ったから早く帰れて嬉しいね」という話ではない

企業側の視点で考えてみると、かつては期待するアウトプットを得るには、従業員の能力や生産性が多少低かったとしても、彼らに頑張って残業してもらい、インプットを増やす事でカバーできた。

しかし国が推進する働き方改革の流れでこれまでのように従業員に残業をさせることができなくなったし、仮に残業させることができたとしても、事業環境の変化のスピードが圧倒的に早くなった昨今、いかにクイックに価値のあるアウトプットを出せるかが事業競争上重要になった。

そんな状況の下、業務プロセスの見直し・RPAの導入・ノウハウの共有といった業務の効率化はもちろん、それ以上に、生産性が高い人材を確保することが求められている。

なぜならば、企業にとって人材とは、とても高価であるにもかかわらず品質のばらつきが大きい資源(インプット)であり、他の資源にも影響を及ぼすため、企業活動の生産性に大きなインパクトを与えるからだ。
有名なマーケター音部大輔氏も著書「なぜ「戦略」で差がつくのか。」で人材という資源について以下のように述べている。

組織にとって、優秀な人材の確保はもっとも難しい資源調達である。同時に、他の資源と違って効用の安定性が低い。
頭数で何人、と数えられるものの、必ずしもこちらの1人とあちらの1人は同じ1人分ではないことが多いし、今年の1人と来年の1人も同じ1人分でないことがある。
具体的には、
個体間の均質性が低い
②適材適所という概念が示すように、配置によってその効用が大きく変化する、
③状況や働きかけ次第で成長し、費用(人件費)の上昇よりも大きな資源になりうる反面、士気や調子によってはその力が削がれることもある、
④効用についての指標が乏しく、それぞれの人員についての客観的な評価が簡単ではない、
などが特徴として挙げられる。
また、⑤他の資源の効用に対して、係数的な影響を及ぼすのも特徴的である。
優秀な人材が運用する1億円とそうでない場合の1億円では効果が異なることがある。
よく考えれば当然のことながら、現実では見逃されることの多い効用だといえる。

企業は、従業員というインプットからどれだけのアウトプットが取り出せるかを考えているのだ。

生産性の優劣がキャリアの可能性の差を生む

例えば、同じ給料のAさんとBさんがいて、Aさんは正規の業務時間100時間のインプットで200のアウトプットを出すとする(生産性は2.0=200/100)。

一方、Bさんが同じ200のアウトプットを出すには、100時間残業して200時間のインプットが必要だとする(生産性は1.0=100/100)。

となると、企業側である上司からすると、当然BさんよりもAさんに仕事をお願いしたくなる。
そして生産性が低い人と高い人の差は、仕事の難易度が上がれば上がるほど顕著になるので、難しい仕事はAさんに集まる事になる。

そして知的労働の仕事においては、難しい仕事≒面白い仕事であることが多いので、面白い仕事に携わるチャンス・活躍するチャンスはBさんではなくAさんにどんどん回ってくる

さらに、生産性が高い人は、仕事の難易度(アウトプットの価値)が上がっても、必要な作業時間(インプット量)はそんなに増えないことが多いので、難しく面白い仕事が増えるにつれてAさんの生産性はさらに上がる
*ただし、その人のポテンシャルの上限を超えるととたんに生産性が落ちる。というか、機能不全になる。いわゆるピーターの法則だ。

そして生産性がある一定の値を超えると、アウトプットとインプット(給与)のギャップを是正するために「そろそろAさんの給与を上げないとまずいな(他所の会社にいかれるな)、、、」となり、Aさんは昇給・出世する。

これは少し極端な例かもしれないが、稼働する時間に応じてクライアントにチャージ(請求)する&高額が故に一人ひとりのパフォーマンスをギリギリと見定められ続けるコンサルタント業ではあながち間違っていないと思う。

では、明日から自分の仕事の生産性を上げるにはどうしたらいいのか?
生産性は地頭の良し悪しだけで決まるのか?
後天的に生産性を向上させる方法はないのか?
それは次回の記事で書きたいと思う。

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