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左利きに自由を!!

インタビュアーの鯨井啓子です。

先月まで表参道の自由大学で、「自分の本をつくる方法」という講座を受講していました。

自分で本を出版するなら?というお題で出したアイデアの中で、最も苦し紛れだった「左利きあるある」日本人の10人にひとりは左利きなのだそうで、私もそのひとりです。

それなりに数も多いし、そこまで大きな不便があるわけでないとされている左利き。それでもじっくり振り返ることで、結構いろいろと出てくるな、左利きあるある!ということに気が付きました。そんな内容を、まずは記事にしてみたいと思います。

人生最初にして最大のハードル、教室

あんまり暗いこと書いてもしょうがないしなーと思いながら、自らの左利き生活を振り返ってみたのですが、これが暗い(笑)。どうしようもなく暗い!特に人生の初期の頃、学校での不便がものすごく多かったことを思い出します。

公立学校の場合、教室の左側に明り取りのための窓を設置するのは、ルールになっていると聞いたことがあります。そのために、基本手元が暗いんです。横書きのノートに鉛筆で文字を書くと手がドロドロに汚れるし、席によってはとなりの席の子に「肘があたるんだけど!」と怒られる。我が家は教育方針で利き手は直さないことにしていたのですが、直す方針の家庭の子に「お前はいいよなぁ!!」と言われ、数少ない仲間とも分断(!?)が生まれる

せっかくの資質なのだから活かさないと!と思いつつも、サッカーや野球のできない運動音痴の私には、大した活かし方も見当たらない。私の左利き人生のスタートは、地味だけどヘビーなものでした。

左利きに自由を!!

今振り返ると、左利きが生み出す不便のいくつかは、自由のない環境だから起こるといえます。どこに座ってもいい。どんな道具を使ってもいい。ノートも全部縦書きでいい。とかになれば、だいぶ不便は軽減されるし、より快適な方法を自分なりに見つけ出すものなのです。

左利きの私にとって、書き順というものはその通りに書くとものすごく書きにくいもです。なので、字をひとつの絵としてとらえて、その形の絵を描くつもりで字を書くことにしました。おかげで書き順はめちゃめちゃなので、今でも向かい合った位置にいる友達が私を字を書くところを見ては「うわっ!酔いそう!!」とかいって発狂する、ひとつのアトラクションに成長しています(笑)。でも、読めるからいい。大事なのはそこです。機能しているかです。

編み物や刺繍も、本や動画は右利き用にできているので参考にできません。でも、編み物や刺繍が上手な人にそばにいてもらって、何度も繰り返して身体に叩き込むことで、できるようになりました。自分なりの方法で編める、縫える。ここでもかっこいいか悪いかより、機能していることが大事です。

調理道具は、フライ返しやスープを注ぐおたまなど、右利き専用とは書いていないものの、左利きにはほぼ使用不可な道具が結構多く潜んでいるジャンルです。

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上の写真のフライ返しとか、左利きの人は絶対使えないやつです(笑)。左利きが使いやすいものは、角度がついてなくて、どこの角度からでも使用感が一定なもの。右利きの人でも使えないものではないので、ここはユニバーサルデザインのものを選ぶのが左利きの人がいる家族円満の秘訣だと思います。

今振り返って、左利きで良かったなと思うこと

私が今左利きでよかったなと思うのは、自分の中に大多数の人とは違う部分があったからこそ、ちょっとまわりの人にやさしくなれる想像力が身に付いたことです。左利きであるということは、私にとっていちばん最初のマイノリティ体験になりました。左利きであることは、ぱっと見では分かりません。でも地味に不便です。同じように、外見からではなかなか分からない身体的特徴からくる不便さや、コンプレックスを抱えている人は、私が知らないだけできっとたくさんいるのだろう。みんなきっと、何かしらの不便と抱えているのだから、おたがいちょっとやさしくし合おう。そんな思いで世界を見つめるようになれたことは、左利きで良かったと思えるいちばんのポイントです。

また、左利きが右利き主導の世界で生きるのは、結構地味に大変です。だからこそ、自分のやり方を少しずつ工夫して、より快適に過ごせる方法を考え出す癖が、自然と身に付くようになりました。左利きの人にインタビューしていけば、誰からでも必ず小さな工夫のアイデアが聞けるはず。これこそがまさにクリエイティビティ!それが、日々当たり前に過ごしているだけで発達する、左利きの恩恵なのだと思います。

人は誰しも、世間一般から見てマイノリティだと感じる点を持っているものなのだと思います。それが世界への想像力、寛容さ、創造性を生む。そう考えると、「違う」ということは決して悪いことではないのだと思います。不自由さも、きっと世界をやさしく、より便利な場所に変えていく力になる。だから、分断なんてしてないで、一緒に快適な世界を作り上げていこう!全国の左利きの友に、そう呼びかけたい気分です。(ちょっと熱くなってしまった。笑)




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