「観光」で「名所」や「名物」より大切なもの。「モノ消費」も「コト消費」ももう古い!私たちが触れたいのは、その土地に生きるかけがえのない「日常」です。これからあるべき「観光」を考える。

国内でも海外でも、どこへ行こうが、私たちは案内されることが大嫌いです。特に地方都市へ仕事で行くと、現地の方が片っ端から案内しようとしてくださるのですが、案内されている間、全ての五感と思考がストップします。脳みそは受動100%稼働だから、ぶっちゃけ最高につまらない。

一方、その土地土地を自分の意思で歩き、見て、話し、考えられる能動100%稼働の状態にこそ、何にも代えがたい楽しみが生まれるものです。これまでのnoteの記事もすべて、そういった状態での気づきが100%だということは言うまでもありません。

さて、ここのところ全国のいろんな都市へ呼ばれることが増えてきた代表の田中は、先日、彦根を訪ねました。今回は、田中による彦根での気づきのテキストをFacebookより引用します。

今回のメッセージは、彦根でもその他の地方都市でも、東京でも当てはまる話です。観光は、名所、名物などのコンテンツ至上主義は終わり。さらに「モノ消費」から「体験型」「コト消費」などと言っているのも古すぎます。じゃあどこへ向かっていけばいいのでしょうか?

(以下、田中元子のFacebookより引用)

彦根の皆さん、きいてください。

異邦人のわたしから見るに、彦根はとってもすてきなまちでした。ひこにゃんで名を馳せた割に、びっくりするくらいなんもない駅前。それでも歩いているうちに、この地域の土着性が色濃く残った民家に、いくつも出会いました。それらを再解釈して商いをしている、センスのある方もいるようです。

さびれた商店街も同様です。ちょこちょこと顔を出してくれている、食器や古本、オリジナルデニムにスイーツといった、個人商店の数々。この街で人生を謳歌する、楽しい人々がいることがわかります。

昔ながらの喫茶店に入ったら、とってもすてきなマスターがあたたかく迎えてくれました。

別の席では、お客さんのおじいさんとおねえさんが偶然会って、久しぶりだねって話し始めました。彼女はわたしにまで、やさしく声をかけてくれました。そんな関係が、どんなにかけがえないか、わかりますか。

一方で、皆さんが観光名所としてたくさんおかねをかけて設えているキャッスルストリートは、ひどい有り様です。そこにはなんの文化も個性も感じられません。

四番街スクエアに至っては、目も当てられません。ここであまりに興ざめして、結局、彦根城の中にも入ることはありませんでした。

博物館前で、ひこにゃんだけは見たけれど、それはグラビアアイドルの撮影会であって、観光ではありませんでした。

夜に再び街に出て、中国の方がされている整体に行きました。これまででベストと言えるような腕前でした。彼はそこで6年ほど店をやっているようで、彼から見た彦根のことを、いろいろ話してくれました。長くやっていると友だちができるのがうれしい、と言いながら、ガラスの向こうの通りがかりのひとと、手を振りあっていました。

ホテルに戻る道すがら、ほとんどシャッターの閉まった静かな商店街に、ベースの音が響いていました。まだそこだけ明かりのついた楽器屋さんで、試し弾きをしているようです。ああ、この街には音楽を演るひとまでいる!

これだけのことを、どんなに短い時間で、見たり聞いたり話したりしたか、わかりますか。この街が、生きているからです。ここが、面白い街だからです。なんにもない街なんてない。でも逆に、名物があるっていう街ほど、それにあぐらをかいて、大事なものを見失う。彦根はいま、そのどちらの道にも歩める、交差点に立っている街でした。

彦根の皆さん、覚えておいてください。

あなた方がそこに生きる上で、何気ないけど大事なもの。それこそが、次の世代の財産なのです。自然も城も城下町もゆるキャラも、他にもあるのです。皆さんの他愛ない、かつかけがえのない日常を彩るささやかなものたちを、どうか大事にしてください。それらすべてが、手放したら二度と戻ってこない、そしてふたつと同じものはない、すてきな生きものなのです。

それと。

全国の市町村の皆さん…わかってください。

異邦人だけが見つけることのできるこれらの財産は、わずかでも自由な時間があってこそ、見つけられたものなのです。お呼び頂いた街に降り立って、間髪入れずにアテンド、ご案内…。お気持ちは本当に有難いのですが、もったいないです。

せっかくわたしのような異邦人を呼ぶなら、もっとしたたかに、利用してください。一日、いや半日でもいいです。街に、自由に泳がせてください。そのとき得たものを、皆さんの街の未来のために、還元させてください。わたしは、地図すらない状況でこそ街の息遣いに気付くことができる、プロフェッショナルなのですから。

田中元子(たなか・もとこ)
株式会社グランドレベル代表取締役社長


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