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がんばってる雨の日

自分で決めたくせに、雨の日にわざわざ出かけなくてもと思いながら玄関を出た。
図書館には駐車場がないので、ショッピングモールに車を停めて図書館へ向かう。折り畳み傘がしっかりと開かない。仕方なく手で上を押さえながら、交差点へ向かう。途中、ポストに封筒を投函する。雨でぬれにくいように投函口にはちゃんと雨避けがつけられていると気づく。
傘は思いのほか小さくて、左肩を濡らしながら、もうこれ捨てなきゃだめかもなぁと思う。自転車に乗る人、傘をさす人とすれ違う。
本を返し、新たに2冊借りる。帰り道、どうしてか傘はちゃんと開いた。

ショッピングモールで注文していたものを受け取り、少し買い物をしてエレベーターに乗った。平日の午前中だからか、赤ちゃんを連れたお母さんが多い気がする。2歳か3歳ぐらいの女の子が、ガラス張りのエレベーターから地下の催事場をみて、
「うごいてる」と言った。おそらく働いている人を見ているのだろう。お母さんらしき人が、「また次の催事の準備かな」と答えた。
小さい子にサイジという言葉がわかるのかなと思いながら、ドアのほうを向いた。
「がんばってる」
女の子の声が聞こえる。
そうだね、みんながんばって動いているね。
心の中で言った。
女の子はお母さんと2階で降りた。髪を後ろでくくった目の大きな子だった。
警備のおじさんも雨の日はレインコートを着て誘導している。頭を下げて駐車場を出た。
雨は止まない。昨日もその前も雨だった。
注文した服、ちょっと小さかったかも。あの女の子、かわいかった。借りた本、1冊はちょっと読めないかもしれない。
雨の日は学校に行きたくないとぶつぶつ言っていた娘の理由が、くせ毛で前髪がうねるからだと気づいた。
いつもわたしはずいぶん後で気づく。雨の日は水分が多くなるからか、余計にそんなことを思う。

悪くない1日だった。
たぶん、わたしもがんばってる。

○写真はみんなのフォトギャラリーからお借りしました

#エッセイ #雨 #日常 #図書館

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