まさこ

キャプロア出版にて執筆中。エッセイ、ショート小説集はこちらで発売中→ https://www.amazon.co.jp/dp/B07PHDQQNN/ 演奏活動はこちら→ https://masako-kanaderu.jimdo.com/

裏側から

アルバイトの経験はあまりない。
学生時代にパン屋さんでアルバイトをしていたぐらい。小さなパン屋で、値段がなかなか覚えられず、パンを切る機械が怖くて食パンは切れず、生地を丸めるのだけは上手くなり、年に一度、実家で年末におもちつきをするときにだけ、役に立っている。
私が丸めたおもちが一番、きれい。

そんな私が友人の経営するカフェにお手伝いに行ってきた。
ライブがあるので、ウェルカムドリンクの準備をす

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ライブの夜

久しぶりのライブ。
やっぱり歌はいい。
いい顔をして聴いているお客さんを見るのも好き。
歌は生き方そのもの。
魂そのもの。
もう表現するという域をたぶん超えている。
そんな歌を聴いてきた。
忘れないでおこうと思う。

#エッセイ #ライブ #歌

蝉の声

雨の降る音を毎日聴いているけど、案外飽きないなぁと思う。
今日は傘を差して神社まで歩いた。
少し雨があたっていたのに、神社の木の下を通ると蝉の鳴き声が刺さるように降ってきた。
前に八日目の蝉、という本を読んだけど、すごかったなぁ。蝉の鳴き声を聞くと思い出す。
角田光代さんの文章は好きだなぁ。いい意味で女性的だと思う。
何もかも失ったのに、まだ何か残っている気がする、と主人公が思うところで泣いた。

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命を運ぶのが運命

ずっと占いに興味があったのに避け続けていた理由は、占いに支配されたくなかったからだなと思う。
振り回されてしまうのなら知らない方がいい。
朝の占いや雑誌の占いも見なかった。
だから、まさか自分が占いを習ったりするなんて思わなかった。
きっかけはよくよく考えると出産、育児だ。
育児にマニュアルはない。
初めてのことばかりでイレギュラーばかり。
戸惑ったし相談する人もいなくて、体が悲鳴を上げた。たまた

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小さい頃のわたし

子供の頃のことは割とはっきり覚えている。
楽しかったことよりも、いたずらして怒られたり、誰かを困らせたりしたことの方を思い出す。
ちょっとした出来心の大半は好奇心だと思う。
私から好奇心を取ったらおそらく何も残らなかったんじゃないだろうかというくらい、身の回りの大人たちをよく観察していた。
こっそり水飴をなめたり、梅酒の瓶を開けて中の梅を食べたり、張りたての障子を破ったり。
サボテンに触ってみたり

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7月のうた

蝉の声はまだまばら。
障子に透ける光は午後から白っぽくなって、
うっすら汗ばむ背中とうなじ。
風はどこか遠慮がちに、それでも湿った匂いを運んでくる。
ざらついた小学校の廊下に漏れる声。
並んだホウセンカの植木鉢。
夏休み前の懇談を待つ間、静まり返った校舎に耳をすます。
電車の音。
誰かのスリッパ。
カバンの中で乾いた音を立てる通知表。

夏が、来た。

#エッセイ #夏