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映画「HOKUSAI」を見てきました。

 本日は、料理ではない話を書きたいと思う。
と、いうのも、本日は、ある映画を見るために、埼玉県深谷に行ってきたからだ。
 その映画の名は「HOKUSAI」。

映画は、こちら。

 浮世絵で世界的に有名な葛飾北斎の半生が描かれた映画だ。
 この映画の上映については、ネットをなんとなく検索したときに知った。
 葛飾北斎に対する思い出としては、小さなときに家にあった百科事典で彼の作品を見たときに印象的だったのが始まりである。さらに高校のときに、図書館で「北斎漫画」という本に出会い、彼の絵に対する才能や情熱に感嘆して以来、芸術家の中でも関心度が高いアーティストになった。
 そんな訳で、葛飾北斎が、どのような人生を送ったのか、前から興味があった。
 しかし、歴史の勉強は敷居が高いことを言い訳に、あまりしてこなかった。
 映画自体は、東京でも上映されていたのだが、いつの間にか、終わってしまった。あまり大々的に上映されていないようで、関東では各県で数件の映画館で、しかも上映期間も短いようだった。
 今回見に行った映画館は有志でできた映画館らしく、元は酒蔵だった建物を利用して作られたということで、映画館自体にも興味を持った。
 本日が上映の最終日ということもあったし、雨が降っていたけれど、思い切って行ってきた。
 とは言え、出掛ける直前まで、映画を見るためだけに遠出をすることに、罪悪感があったのは否めない。
 時間もお金も掛かるし、見に行くこと自体、無駄なんじゃないか、とも思った。
 でも、結果的に好奇心の方が勝った。これを逃したら、いつ見られるか分からないと思ったから。
 片道、2時間ほど電車に揺られながら、インターネットもない若い頃、見たい映画を見るためだけに電車に乗って見に行ったことを思い出したりした。
 映画館で映画を見るのも久しぶりだった。深谷駅に降りてみてから、初めて渋沢栄一の生誕の地であることを知った。
 やはり体を動かさないと知り得ないことってあるな、と思った。
 深谷の町自体は、閑散とした印象だった。普段、都会に暮らしていると、人混みが当たり前になってしまっているからかもしれない。
 映画館は、駅から、それほど遠くなく、比較的迷わずに行くことができた。
 建物自体は思ったより小さく、入るのをためらってしまうほどだった。
 受付には、少し年配の方が2人立っていて、検温やチケットの販売をしていた。
 お客さんも地元の方らしく、年齢層も高い印象だった。
 館内に入っていくと、大きくはないけど、映画館特有の座席が配置されていた。コロナ感染の予防のために、座席は、間を空けて座るようになっていた。
 館内が暗くなり、予告編が流れて、本編が始まった。
 映画の大まかなあらすじとしては、以下のようなものだ。
 才能はあるが売れない絵師の北斎が、人気絵師の歌麿や写楽、版元(今でいう出版社のようなもの)の蔦屋重三郎と出会い、自身の才能に悩みながらも、次第に才能を開花し、人気絵師として世間に認められるようになっていくというものである。
 また、娶った妻が子を宿したときの、ひとりの父親としての不安や、脳卒中で倒れ、活動もままならなくなってしまったときの、ひとりの人間としての弱さ、その壁を乗り越えていこうとする強さも描かれている。
 そして、盟友でもあった、武家出身である身を隠して作家活動を行っていた柳亭種彦の身元がお上の知るところとなり、世間のの風紀を乱す存在として、お上から命を奪われてしまうというショッキングなシーンもあった。
 いつの世も、大衆の活動に制限を与え、自由を奪おうとする支配的な力はなくならないことの象徴であるように感じた。
 映画のレビューの一部では、史実上、間違った解釈がされているという意見も見受けられたが、物語の一つとして鑑賞し、何かを考えるきっかけにするのがいいのかもしれない。
 映画からのエネルギーを大量に浴び、観賞後は、ふらふらになってしまった。
 北斎に興味がある人ばかりではないと思うが、北斎の情熱や生き様、江戸文化を知るきっかけにしていただけたらと思う。


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