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「イワンの馬鹿」をわかりやすくする
「イワンの馬鹿」は、レオ・トルストイが書いた小説です。日本でもたくさんの翻訳本があり、「馬鹿者イワン」や「イワンのまぬけ」などのタイトルで出版されています。今回は、菊池寛さんが書いた文藝春秋版のものを引用しました。
直前では、イワンは魔法が使えるようになります。麦束からは兵隊を、樫の葉を手で揉めば金貨を生み出します。そうやって長男のイワンには兵隊を、次男のタラスには金貨をあげました。しかし、2人
魯山人をわかりやすくする
今回は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)さんの作品「だしの取り方」という作品を取り上げます。
日本にはかつおぶしがたくさんあるので、そう重きをおいていないが、外国にあったら大変なことだ。外国人はかつおを知らないし、従ってかつおぶしを知らない。牛乳とか、バターとか、チーズのようなもの一本で料理をしている。しかし、これは不自由なことであって、かつおぶしのある日本人はまことに幸せである。ゆえに、か
「檸檬」をわかりやすくする
梶井基次郎さんの名著「檸檬(れもん)」を取り上げます。檸檬は自身の随筆的な小説で、言い回しが詩的なのが特徴です。
いったい私はあの檸檬が好きだ。レモンエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたようなあの単純な色も、それからあの丈の詰まった紡錘形の恰好も。ーー結局私はそれを一つだけ買うことにした。それからの私はどこへどう歩いたのだろう。私は長い間街を歩いていた。終始私の心を圧えつけていた不吉な塊が
「陰翳礼讃」をわかりやすくする
谷崎潤一郎さんの有名な随筆文「陰翳礼讃」を取り上げます。読み仮名は「いんえいらいさん」と言います。
この作品では、陰翳、つまり「影」について述べています。例えば食器について、西洋食器は光りすぎるので日本家屋に合わないだとか、漆器にある緊迫は日本家屋と調和していて、緊迫がわずかな光を反射することでよりいっそう美しく見える、といった趣旨の話が続きます。
引用した以下の文は、わりと冒頭に登場します。
「高瀬舟」をわかりやすくする
「高瀬舟」は、森鴎外さんの代表的な短編作品の1つです。これから遠島(島に流されること)を申し渡されたにもかかわらず、晴れ晴れしい表情をしていた喜助。それに対し、一緒に舟に乗り込んだ同心の庄兵衛が、不思議に思うことから物語は始まります。
今回取り上げるのは、その冒頭部分です。
高瀬舟は京都の高瀬川を上下する小舟である。徳川時代に京都の罪人が遠投を申し渡されると、本人の親類が牢屋敷に呼び出されて、
「人間椅子」をわかりやすくする
今回は、江戸川乱歩さんの小説「人間椅子」を取り上げます。引用文が少し特殊(?)なので、先にあらすじを紹介します。
ある小説家の女性の家に、家具職人の男からの手紙が届きます。小説のほとんどは、この家具職人の独白になります。各職人は、醜く貧しい境遇で、ふとしたことから自分が作った椅子の中に入り込むことになりました。初めは、夜になると椅子から出て盗みを働いていましたが、そのうち椅子に化けた自分に誰かが
「山月記」をわかりやすくする
中島敦さんの「山月記」を取り上げます。この作品は、学校の教科書に掲載されている短編小説です。短いので、すべて読んだ方もおおのではないでしょうか。
自分は直ぐに死を想うた。しかし、その時、眼の前を一匹の兎が駈け過ぎるのを見た途端に、自分の中の人間は姿を消した。再び自分の中の人間が目を覚ました時、自分の口は兎の血に塗れ、あたりには兎の毛が散らばっていた。これが虎としての最初の経験であった。
(中島敦
「蟹工船」をわかりやすくする
今回取り上げるのは昭和初期に出版となった「蟹工船」です。有名な作品ですが、これまで読んだことはありませんでした。東北地方の方言で会話する部分以外は、わりと読みやすい作品なのではないかと思います。
「おい、地獄さ行ぐんだで!」
二人はデッキの手すりに寄りかかって、蝸牛が背のびをしたように伸びて、海を抱え込んでいる函館の街を見ていた。ーー漁夫は指元まで吸いつくした煙草を唾と一緒に捨てた。巻煙草はおど
「人間失格」をわかりやすくする
太宰治さんの代表作の1つ「人間失格」を取り上げます。この作品は戦後まもなく執筆されましたが、最終回の掲載号が発表になる直前に著者が自殺をしてしまいます。読者の中には「読んでいてつらくなる」との感想が多いなど、誰しもが抱いている劣等感などをつまびらかに表すその作風は、現代でも高く評価されています。
自分は子供の頃から病弱で、よく寝込みましたが、寝ながら敷布、枕のカヴァ、掛蒲団のカヴァを、つくづくつ
「銀河鉄道の夜」をわかりやすくする
宮澤賢治さんの有名な小説「銀河鉄道の夜」を取り上げます。この作品は昭和初期ごろに書かれたもので、作者の死後に、未完成の原稿として発表されました。幻想的な内容は、その後の様々な作品に影響を与えたと言われています。
そして、カムパネルラは、まるい板のようになった地図を、しきりにぐるぐるまわして見ていました。まったく、その中に、白くあらわされた天の川の左の岸に沿って一条の鉄道線路が、南へ南へとたどって
「堕落論」をわかりやすくする
坂口安吾さんの名著「堕落論」を取り上げます。戦後まもなく書かれたこの作品は、今なお読まれ続ける名著と言えます。戦後に自信をなくしている日本人に向けて、未来に向けて踏み出すよう訴えた作品だと思っています。
要するに天皇制というものも武士道と同種のもので、女心は変わりやすいから「節婦は二夫に見えず」という、禁止自体は非人間的、反人性的であるけれども、洞察の真理において人間的であることと同様に、天皇制
ダメなテーマはスルーされる、ヘタ文は2行目から読まれない
小林正宗(こばやし まさむね)といいます。ものごとをわかりやすく伝える仕事をしています。わたし自身がとても飲み込みが悪いので、どうしたら理解しやすいのか?と考えているうちに、わかりやすさに興味を持つようになりました。
もともとは、新聞やテレビ、雑誌などの記者を10年ほどしていました。雑誌や書籍の編集者としても5〜6年ほど勤めていました。大学の教師としても8年以上教鞭を執っています。その経験から「