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京都大学「国際開発プランニングコンテスト」、社会課題解決にデザインのアプローチを


はじめに

みなさま、はじめまして。
インダストリーワン(以下IO)でリードデザイナーをしております五代です。

IOは企業だけでなく地方自治体や教育機関とも繋がって、様々な枠組みの活動を行っています。
私が所属するDesign事業部はUIUXデザインを専門とする部隊ですが、新規事業開発の上流でのアイディエーションワークショップ、DX人材育成のための研修、STEAM教育授業などを行う機会が増えております。

そして先日、京都大学産官学連携本部が主催する「国際開発プランニングコンテスト2023」の一部講義&ワークショップを担当させていただきました。今回はその様子をお伝えしたいと思います。

国際開発プランニングコンテストとは

イベントポスター

京都大学産官学連携本部が、国際開発の仕事に興味を持つ高校生・大学生を対象に行う3日間のプログラムです。集中講義とグループワークを通じて、国際開発に求められるスキルやキャリアパスについて理解を深めることを目的としています。

詳しくは公式サイトをご参照ください。

そして今回、参加者のみなさんが取り組むテーマは、

「民間企業の立場から、ネパールの保健セクターの課題を事業で解決するための、新規事業のアイデアを立案」

ガイダンス資料より抜粋

ということで、正直尻込みしてしまうくらい遠い世界のお題設定なのですが、デザイン×国際課題でどんな結果が出るのか、楽しみにしながら行ってまいりました。

デザインシンキングの位置付け

今回、IOのDesign事業部がコンテストのプログラム設計に参画した理由の1つとして、「サイエンスとデザインを掛け合わせること」の可能性模索がありました。

サイエンスによるアイディエーションアプローチは京都大学特任准教授の真鍋希代嗣先生がロジカルシンキングを活用し、デザインによるアプローチを我々IOが支援させていただきました。

デザインシンキングの講義&ワークショップは「仮説構築」「仮説検証」の手法の1つとして位置付けられています。担当するIOとしては、参加者が自分たちの課題解決に利用できる考え方のツールを提供するようなイメージです。

濃い青のところを担当しています

コンサルタントお馴染みのロジカルシンキングの手法も並列に置かれ、参加者はチームごとにそれらの手法を自由に用いて最終的な提案に繋げていきます。

IOでもサービスのアイディエーションを行うにあたり、サイエンスとデザインの両方が必要であると考えています。

事実を積み上げ現実的なゴールを目指すサイエンスと、主観を大切にし、失敗を繰り返しながらゴールを模索するデザイン思考を掛け合わせることで、
多様化する問題やニーズを解決するアイデアの創造に取り組んでいます。

Part1: 気づきから仮説を立ててみる

2日目のプログラムはホテルの会議室を借りて行われました。

まず最初のパートでは、ネパールのデータや写真などの事実から気づきを得て仮説の着想を得るワークショップを行いました。

グループごとにネパールの保険セクターの課題の中で、特に扱いたいテーマを1つに絞っていたので、miroを使いそこからどのように着想を得るかワークショップ形式で進めました。

使用したmiroのワークシート

参加者の皆さんは最初、馴染みのないデザインの考え方に戸惑う表情も見せていましたが、いざスタートしてみると着手が早く、チームごとに活発に議論をしていました。

水の問題や若年結婚の問題、貧困問題など、チームごとにさまざまなテーマを設定していることがわかります。

次に、集めた事実のどのような点に違和感を感じたのか、どのような状態が理想なのか、用意したフレームワークに合わせて言語化を行います。
自分たちが問題だと感じたことを、あらためて言語化することで問題の本質を見つけることが目的です。

Part2: ストーリーでアイデアを検証する

今度は立てた仮説を検証するパートです。アイデアをストーリーにして検証するワークショップを行いました。

  • どんな人が使うのか?

  • どんな時に使うのか?

  • どういうことを言ったり、考えたりするのか?

  • どう嬉しいのか?

アイデアを具体的なストーリーにするにはこのようなことを考える必要があります。
その過程で自分たちのアイデアに欠けている視点を発見したり、本質的でない要素を省いたりして磨き上げることが目的です。

現物で立体的にストーリーを表現することでチームで議論ができる
並べてみると改善点が見える

最後はグループごとにプレゼンテーションを行います。
今までチーム内で議論してきた内容を初見の人にわかりやすく説明するのは思っている以上に難しく、スムーズに運べないチームもありましたが、そのこと自体が大事な発見です。

1チーム5分で発表。多くの質疑が飛び交いました。

まとめ

最終発表ではチームごとに、民間企業の立場から課題解決の事業企画をスライドをまとめ発表しました。

  • 妊産婦の死亡率改善

  • 女性の人権・雇用の改善

  • 杜撰な医療情報管理の改善

  • 貧困と栄養不足問題の改善

などなど、さまざまな課題解決のアイデアが出揃っており、中にはストーリーを活かして、サービス利用のフローをスライドに入れているチームもありました。

利用フローを使ってサービスを説明

今回、真鍋先生のロジカルシンキングとIOのデザイン思考を掛け合わせたことで、現実を見据え、かつ創造性にあふれたアイデアが各グループから発表されました。

デザインの力を活用することで、各自の思いを素早く見える化することができ、チームビルディングやアイデアのまとまりのスピードUPが達成できたと、真鍋先生からもご感想をいただきました。

IOではデザインの力をコンサルワークに取り入れ、サイエンスとデザインが融合した支援サービスを提供しています。今回のワークショップから、その一端を読み取っていただければ幸いです。

国際開発プランニングコンテストに関わったみなさま、どうもありがとうございました!


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